死を受け入れるための援助……誰がどのように寄り添っていくのか

2016-05-27

担当していた人の死。多くの介護関係者は、耐えがたい悲しみを抱くと言います。あるいは仕事と割り切りつつ、「これでいいのか」と悩む人も。これまで、看取る側と人生の最終段階を迎えた高齢者を、精神面からサポートする医療・介護人材が必要ではないかという問題提起がありました。そんな中、在宅の専門医らが一般社団法人エンドオフライフ・ケア協会を設立し、「認定援助士」の育成を発表。さらに国内の仏教関係者も、積極的に医療と関わっていく活動を始めました。では一体、死に向かう高齢者に対しどのような支援ができるのでしょうか。

死に至るまでの段階と認定援助士の役割

最近はホスピスの発展や尊厳死の考え方が広まり、身体的な痛みはコントロールされるようになってきました。しかし“心の苦しみ”への援助については、個々の関係者が悩むだけというのが現状です。

死にゆく人への援助というと、1967年に発表されたエリザベス・キューブラー・ロスの『死ぬ瞬間』を思い起こします。これによれば、死の瞬間には死を受け入れ、死に至るまでに以下の5段階があると書かれていました。

ではその中で、認定援助士とはどんな役割を担うのでしょうか。基本的なこととして、死へ向かう自然経過や苦しい症状を緩和する方法、意思決定支援などの基礎知識、さらには身体的・精神的苦痛に対するケアを知る人材です。また、WHO憲章の健康の定義に加えられた、「人間の尊厳やQOLにかかわるスピリチュアルな苦痛」をケアするための方法も、ロールプレイも使いながら学んでいきます。

宗教と死にゆく人への支援

死にゆく人の支援のために、仏教関係者も活動しています。ここで、具体的な活動について2つ取り上げておきましょう。

1.「医療現場に仏教的視点を」をスローガンとした「西本願寺 医師の会」の発足

本願寺の信者である医師が集まり、医療と仏教という2つの視点から医療現場の課題を話し合い、医師同士が交流を図ることが目的とされます。

2.臨床宗教士の養成

関西の仏教関係者を中心に、東北大学や竜谷大学で「臨床宗教士」養成プログラムが開設され、動きは全国に広がりつつあるそうです。

認定援助士のケアは「懺悔」の役割を果たせるか

キリスト教徒は死にゆくとき、生前の自分の行為を神父や牧師に「懺悔」をすることによって神の国(天国)に入れると信じています。これは、先に挙げた5段階のうち3つ目の「取引」に当たります。自分が神の国に受け入れてもらえたと安堵することで、4・5段階をクリアできるのでしょう。

多くの日本人は、特に決まった宗教を信仰していません。そのため、欧米のように「最後の懺悔」を行う神を持っていないのです。また、一神教を回避する人たちも多いのが現状。宗教色が少ない認定援助士としての技術は、日本独自の宗教観やメンタリティに合っているのではないかと思います。

認定援助士をケアスタッフの一員として受け入れる体制を作るとすれば、一つの機関としてケアプランに組み込んでいくことになります。ケアマネージャーは医師・看護師をはじめとした医療スタッフ、ヘルパー、介護福祉士などと連絡調整し、「どのようにケアしていくか」とカンファレンスを実施して周知しなければなりません。医療・介護関係者が「認定援助士」が行う支援スキルを持った方が、よりスムーズにケアが進められるのではないでしょうか。

現段階で、そのスキルや心構えがどのような形で展開していくのかは分かりません。もっとも難しい問題は、キリスト教徒における懺悔に等しい“拠り所”になれるかどうか。また、死の恐怖に苦しむ人に対して、宗教ではない救いを提供できるかどうかでしょう。これは難しいことですが、じっくり研究し研修・報告会などを行いながら、よりよい看取りができるように訓練していかなければなりません。

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