カイゴジョブに 登録

“香り”は脳を元気にする

2016-06-17

最近、アロマオイルと脳との関係、特に認知症との関係について話題になっています。一般にはアロマテラピーについて、「いい気持ちがするだけ」と思っている方も多いことでしょう。しかしフランスなどでは、保険対象の医療として認められているのです。いったい、“香り”は脳に対してどのような働きがあるのか。詳しく調べてみました。

エッセンシャルオイルはなぜ効くのか

五感のうち「嗅覚」は、大脳新皮質を経由せずに大脳辺縁系へ直接働きかけ、喜怒哀楽や「お腹が減った」などの本能に基づく感情を支配しています。大脳辺緑系は外から情報や刺激を受けて情動反応を起こす扁桃体と、記憶を貯蔵してそれを管理する海馬が中心。認知症を発症すると、大脳辺縁系にある海馬が萎縮するということは、以前から知られていました。

この海馬には香りの信号を受け取り、高度な判断ができる大脳皮質の「嗅覚野」に情報を伝達する働きがあります。そして、海馬は嗅覚神経と繋がっており、嗅覚の衰えがアルツハイマー型認知症の前兆と言われることも。2003年には、アメリカで『アルツハイマー病においては、記憶が障害される前に嗅覚が障害される』という論文が発表されました。アルツハイマー病にかかった14人のうち、12人に嗅覚障害が認められたそうです。

嗅神経は高い再生力を持っています。そのため、香りが海馬に働きかけることで、認知症の予防や改善が見込めるのではないかと注目されるようになりました。どのエッセンシャルオイル(精油)が海馬を刺激し効果が得られるのかについては、今も研究が進んでいるところ。そして実用化されているのが、鳥取大学医学部の生体制御学講座で研究された、「四種類のエッセンシャルオイルを使う」という方法になります。現在はレモンとローズマリーの組み合わせを朝に、ラベンダーとオレンジスイートの組み合わせを寝る前に嗅ぐのが良いといわれています。それぞれの香りの持つ特徴は、次の通りです。

本当に効果があるのか

効果があるのか否かについては、まだあまり信用度が高くありません。しかし実際に、その作用を実感したことはあります。例えばユーカリは蚊などの虫除けとしてとても有効で、薬局でも売られているでしょう。しかしこのユーカリ、高血圧にはタブーとされているのです。蚊を避けるため部屋にユーカリのオイルを焚いたところ、手足の震えと息苦しさを感じ慌てて換気しました。

他にも香りを用いる際には、注意が必要となる場合があります。例えば先にご紹介した中でローズマリーのエッセンシャルオイルは、高血圧・てんかんを持つ人には不向きです。また、レモンやオレンジなど柑橘類のエッセンシャルオイルを塗った肌は、日光を浴びるとシミになってしまうことがあります。

施設によっては、空調から香りを出すなど本格的に取り組んでいることも。香りを満たすため、さまざまな道具も販売されています。オススメなのは、殺菌効果のあるエッセンシャルオイル。清拭する際のタオルをオイルの入った水で作ったり、ココナッツオイル等に混ぜてハンドマッサージするなど。他にも食欲がないときには、レモンとジュニパーベリーを2:1でブレンドした香りが効くとされています。

気をつけること

例えばレモンやラベンダーでも、その香りがすれば何でも良いというわけではありません。必ず、“本物”のエッセンシャルオイルを使う必要があります。

香りについては、柔軟剤の匂いが問題になっていますが、人工の香りは合成したもので、体に強い作用を起こす場合があるのです。エッセンシャルオイルを購入する際には専門店を選ぶようにしましょう。尚、上記にあげたものは比較的クセがないエッセンシャルオイルですが、嫌に感じる方もいるはずです。そうしたときは、無理に使わないようにしてください。

日本アロマセラピー学会は、アロマセラピーを医療行為として位置づけています。そして、安全で確かな治療効果を上げるエッセンシャルオイルの成分・効果について研究が進められているそうです。香りの持つさまざまな効果が分かり、高齢者の心や体に優しい処遇の一つとして考えていければ良いと思います。

カイゴジョブで介護の求人を 検索