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医療から介護へ、切れ目なくケアしていくために

2016-07-13

各都道府県で「地域医療構想」の策定が進んでいます。介護の側でも、高齢者の退院直後からすぐに在宅介助や介護が生活を支えていかなければなりません。どうすれば、地域の人たちに合ったサービスを整えていけるでしょうか。この「地域医療構想」の中で、高齢者の介護をどのように組み入れていけばよいのか考察していきます。

地域医療構想と介護

効率よく病院を運営するために、「高度急性期」「急性期機能」「回復期」「慢性期機能」のうちどれを前面に出していくのか。都道府県に申告、それを住民に周知していくことになりました。ガイドラインでは、各都道府県が在宅医療の推進に取り組むことも強調されています。その中では人材育成支援や在宅医療を担う医師確保、研修支援、24時間体制の構築支援など、都道府県が取り組むべき具体策があげられているのです。

しかし、同じ区でさえ町や学校区毎でニーズが違っているというのに、都道府県のレベルでニーズにきめ細かく対応することができるでしょうか。「どのような病気にかかりやすいか」などは都道府県単位で分かりますが、退院し後の生活環境まではなかなか分かりにくいと思います。

これまでさまざまなサービスで、住民に近い、身近なところできめ細かく行っていくことが重要とされてきました。都道府県にとってこうした細かいニーズを掴むことは、難しい課題と言えるでしょう。

地域医療構想の内容は?

次に、いくつかの自治体が作った構想を見てみます。

A市では地域医療ビジョンをA市医師会に委託。医療の側から見た、医療と在宅の切れ目のないサービス提供方法を考えたようです。従来のかかりつけ医Bと中核病院(Cアセスメント病院)、基幹病院(Dハブ病院)の役割をはっきりさせる方法を確立していくため、各病院の予想患者数を割り出し、病院数を整備していくことにしました。

かかりつけ医Bは、自分が診ている患者が在宅療養準備を続けられるかどうかについて基本情報を持っています。そして在宅が難しい状況になったら、情報を「Cアセスメント病院」に送るのです。Cアセスメント病院は患者の状態に合わせて、自分のアセスメント病院で治療するか、それともDハブ病院に送るかを決定。Dハブ病院にかかって治癒すれば、Bアセスメント病院またはかかりつけ医Bへと戻ります。このプランでれば、B・C・D間における連携について責任を持って行うコーディネーター役が必要ではないでしょうか。

次にS市では、郵送や戸別訪問で情報を収集し、高齢者の個別データベースを作ったそうです。その情報にもとづいて市の職員や地域包括センター職員、看護師、理学療法士、管理栄養士が話し合う「地域ケア会議」を設置。在宅療養を進めるため、情報を共有していくことにしました。

医療系のみで考えるより、地域生活で利用するサービスの関係者と共に考えていく。その方が、高齢者のためになるのではないかと思います。

介護の出番は?

基幹病院を退院すると、その後は在宅や介護老人ホームに行くということになります。高齢者が在宅で暮らすためには、介護福祉士やホームヘルパーと信頼関係を結んでいくことが大切です。しかし医療従事者が中心となって作られた構想では、退院後の生活のことがあまり頭にないのかなという気がします。

また、食が細い方をはじめ「塩分少なめ」「糖尿病食」といった介護食は、自分の家で急に作れるわけではありません。できれば退院前に、栄養士からのアドバイスが欲しいところです。あるいは、自宅だと急な階段を上り下りするならば、それに合ったリハビリや介護機器の準備も必要となります。これだけでも、多くの専門職が関わってくることでしょう。

地域医療構想において、医療だけでは「治ったら終わり」でした。しかしこれからは、退院後の暮らし方も考えていくことが必要です。介護の側からも、「このようなサービスが必要」ということについて医療分野へ働きかけていくことが必要だと思います。

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