高齢者住まい法を背景とした“暮らし”の現状と課題

2016-08-12

現在、独居または夫と2人暮らしの高齢者が増えています。慣れた地域で暮らすためには、借家での独居、もしくは老夫婦を対象にしたサービスを想定しなければなりません。このため、民間賃貸住宅への援助やサービス付き高齢者向け住宅の提供を中心とした住居対策が必要です。この点について、高齢者住まい法などに基づき、その現状と課題を考察していきましょう。

民間賃貸住宅で暮らし続けるためには

高齢者が住むと場所を失ってしまう理由として最も多いのが、「改築の際、一旦アパートを出てしまうと他のアパートを契約してもらえない」ということです。この原因は、オーナー側が「家賃の滞納」「孤独死」を警戒しているからでしょう。そのため、この2つをクリアしていくための方策が必要です。

・「家賃」の対策として

2005年12月に「高齢者専用賃貸住宅(高専賃)」の制度が始まりました。これは、自治体が賃貸住宅の新築や改装費用などを支援し、高齢者の入居を拒まないようにするための制度です。「家賃が払えないかもしれない」というオーナーの懸念を払拭する効果が期待できると思います。

・孤独死を防ぐ

アパートのオーナーにとって一番怖いのは、やはり「孤独死」ではないでしょうか。もし起きれば以後は「事故物件」と明示しなければならず、賃料も下げざるを得ません。この対応を進めていく必要があり、「死んでも誰にも気づかれない」という事態を防ぐためには次のような方法が考えられるでしょう。

1. 毎日届けてくれる配食サービスを利用する

サービス提供側が「声がけして安全確認する」ことまでを業務の一つとし、何かあった際にはケアマネージャーと直接連絡するところもあります。

2. 何かあったとき知らせてくれるセンサーを使う

一日のうち必ず使う場所(主にトイレ)が一定時間使われていないことを察知して、家族に連絡がいくシステムがなど。民間の警備会社のいくつかが、このサービスを提供しています。

こうした対応は個人負担ではなく、自治体から助成金をつけてオーナーや近所の人の心配を払拭してほしいと思います。また介護保険ではありませんが、ケアマネージャーからも利用を勧めたいサービスです。

サ高住の住み心地は?

高齢者の住まいを提供する資源の一つとして、「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」が挙げられます。「住居がバリアフリー」「安否確認サービスを行う」ということが最低条件となり、サ高住の供給促進に向けた税制優遇のほか、サ高住の条件を満たすための建築や改築の際には民間事業者・医療法人・社会福祉法人・NPO等に直接補助を行なっています。このように、サ高住で住宅不足を解消していく形が広まるようです。

ここで心配なのは、入居者の人権が配慮されているかどうか。個人の家という形では、住居に入ってチェックするのは人権侵害になるかもしれません。入所時に「安全確認と人権侵害の防止のため家に入ることがある」ということを確認しておくのが良いでしょう。

また有料老人ホームも増えており、数の問題は解消されるかもしれません。現在は2025年問題の解決に向けてとにかく数が必要ですが、要介護状態になったら退去させられてしまうなど、「何のために入居したのか分からない」という施設もあります。

あるいは、高額物件も少なくありません。団塊世代が亡くなった後、バブル後の世代はこの高額な有料老人ホームを利用できるのでしょうか。遙か先のことのように思えますが、この団塊世代が過ぎれば、サ高住でも高級有料老人ホームでも少しずつ空き家が増えていくでしょう。やがて、ゴーストタウンのようになってしまうという問題が続きます。

サ高住や有料老人ホームでの介護の仕方については、基準を明確化し、入所者が安心して過ごせるようにしなければなりません。できれば必要な介護サービスを受けられるようにサービスを確保して、ずっと暮らしてきた家で暮らし続けられるような施策を立てていければと思います。

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