ケアする人が不幸なら、いい介護はできない

2016-09-26

「ケアラー」は2010年に「家族などの無償の介護者」連盟が発足し、その中で使われるようになった言葉です。介護される側への支援は、不十分ながら施策がいくつか出ています。しかし一方で、「介護する側」へはどうでしょうか。介護休暇の制度など進んではいますが、辛さを誰にも話せず孤立してしまうことも。「する側」が不幸なのに、被介護者が幸せになるのは不可能です。ケアラーを支援するために、どのようなことが必要か考察してみましょう。

悩みを持つ人々が交流できる場

「家族なのだから、親の世話をするのは当たり前」などと言われ、辛い毎日を過ごしている人は少なくありません。また、介護疲れからくる虐待や殺人など、悲しいニュースは後を絶ちません。あるいは「自分もそうかもしれない」「やってしまうかもしれない」と悩み、それを他人には言えずにいる方も多いでしょう。

そんな方々が気軽に立ち寄り、同じような悩みを持つ人たちと交流していく場所が「ケアラーズカフェ」です。必要なのは次のこと。

ケアラーズカフェは、これらを実現できる場を目指しています。

ケアラーズカフェの懸念点

気になる点として、まず「ここで言ったことが、噂や悪口として広まってしまうのではないか」ということ。ケアラーズカフェは今のところ都心や郊外に多く、住民同士が無関心という環境なのが功を奏している側面があります。つまり住所は近くても、マンションで別の棟ではお互いについて知らないといったケースが多いのです。しかし、人口が少なくお互いの家庭を良く知っている地域では、話した内容が広まってしまい、難しい事態を招くことがあるかもしれません。

また、被介護者の様子を見なくても良い状態でなければ、参加することができません。ケアラーズカフェを作るのであれば、被介護者が通所施設に通っているとき、あるいは病院の待ち時間に寄っていくといった場面が想定されるでしょう。ここで、例えばショッピングセンターの中など、訪れやすい環境を整える必要があると思います。更にこのとき、被介護者の方が次のようなことを気にしてしまうかもしれません。

「自分がここにいる間に、ケアラーズカフェで何お話しているのだろうか?」

ケアラーズカフェに行っているということは、被介護者にあまり知られない方が良いような気がします。これは難しい問題ですね。

まずは“知ってもらう”こと

最近、「老々介護」が問題になっています。このケースでは、あまり外に出かけない家庭なら介護保険の存在を知らない、あるいは、自分がその対象だと分かっていないという人がいるかもしれません。そのため、ケアラーズカフェのことを新聞に折り込みチラシで配ったり、ショッピングセンターの目につきやすい場所へ貼ってもらったりと、まずは「知ってもらうこと」が必要です。

例えば「介護保険」そのものについては、高齢者が良く見るテレビ番組でCMのように紹介していくなど。それによって、「自分も介護保険を利用できるのだ」ということに気付いてもらえるのではないでしょうか。

もちろん、どこで相談して良いのか分からなかったり、敷居が高いと感じられたりする場合もあります。そのため、ケアマネジャーがケアラーズカフェに足を運び、「こういうことができますよ、どうですか?」とアプローチしていくことも必要でしょう。

あるいは介護を受けることを「お上の世話にはならん」などと拒否したり、他人が家に入ることを嫌がったりする人もいます。それならば、介護保険は自分も拠出金を払っており、医療と同じシステムなので「お上の世話」ではないということを、まず知ってもらうことが求められます。介護保険を利用してもらえば、悲しいニュースも減っていくのではないでしょうか。

悩みを聞きながら介護サービスの利用に繋げる。または、話の中で地域のニーズを捉えていける。こうした点で、介護に携わる者にとってアウトリーチ実践の一つの方法として、ケアラーズカフェに参加していきたいですね。

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