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今注目のアドバンス・ケア・プランニング

2017-02-14

最近、高齢者の孤独死や介護疲れによる配偶者殺人のニュースが出るたびに、「安楽死を認めてほしい」という言葉をよく耳にします。こうした希望が出るということは、若い世代にとって、今の高齢者の暮らしや亡くなるまでの状況が悲惨にしか見えないからでしょう。そんな中で、今注目されているのが「アドバンス・ケア・プランニング」です。

アドバンス・ケア・プランニングとは何か

アドバンス・ケア・プランニングとは「将来、意思決定能力がなくなった時のために、自分が受ける治療を知り、今後どのような治療を受けたいか、受けたくない治療は何かなどを医師や関係者と話し合う過程のこと」を示します。医師が関係者に病状や治療方針を話すことは広く知られていますが、このアドバンス・ケア・プランニングは本人と医師、家族、医療従事者が集まって「話し合う」という点で異なるのです。それも一回だけでなく、時間をかけて価値観、死生感などを家族や医療関係者と話し合うもの。そのプロセスの共有が必要とされています。

本人が決めた治療を、家族から認められずもめてしまうことは良くあります。しかし本人の価値観や死生観を知れば、これも防ぐことができるでしょう。医師は身体のことに関する専門家ですが、素人の患者側が状況をつかむことは困難な場合が少なくありません。なぜなら、「何が蘇生術なのか」という知識を持っているわけではないからです。細かいことは医療関係者がきっちり説明しておかなければ、トラブルのもとになるでしょう。

救急での対応

例えば「自宅のベッドで最期を迎えるために帰宅したのに、急変時や外出中に倒れて救急車を呼んでしまった」というとき。救急外来に搬送され、人口呼吸や点滴をされることがあります。救急外来は搬送者を生かすために働いているので、これは当然のことでしょう。しかしこの場合、

「人口呼吸や点滴をいつ外すのか」

「いつ自宅に帰るのか」

という問題が起こり、何のためにアドバンス・ケア・プランニングしたのか分からなくなってしまいます。本人の意思で決めた内容を書いたキーホルダーなどに書いて持ち歩き、救助してくれた人に分かるようにしておく。そうした工夫が必要でしょう。アドバンス・ケア・プランニングは、医療関係者が中心になって行うことが多いものです。しかし救急外来や救急隊員の人にも、この取り組みについて周知しておくと良いのではないでしょうか。

また、これは「患者がなくなったらおしまい」というのではありません。

「苦しまずに息を引き取りたい」「献体したい」「臓器を提供したい」といった死後の処置も話し合うこと。さらには葬式のやり方の希望、最近は墓ではなく例えば骨を海にまくなどという埋葬方法など選択肢が増えています。本人のご希望を叶えることは、とても大切なことです。

治療に関わる人たち

高齢者が対象になるのであれば、アドバンス・ケア・プランニングの過程にケアマネジャーも関わることになります。ケアマネジメントでは、「リハビリ」「できるものは自分でする」などのプランを立てることが多いでしょう。最近「看取り加算」が定められましたが、痛みが少なくなるためにケアしながら好きなことを行い、一日を大切に過ごしながらできるだけ苦しまず人生を終えるという目標をプランとして実現するのは、まだ一般的ではありません。しかし、これは少しでも早く点数化して欲しいものです。

「安楽死を認めるべき」という声が多いのは、今の医療の中で苦しまずに息を引き取るというイメージがまったくないから。現在を生きる方々は、例えば「年をとったら楽しいことなんてない」「痛いのが怖い」「管につながれて生きるなんて」というネガティブな考えしか持つことができません。しかし、誰にでも必ず最期のときは訪れます。死にいく道を思い通りにできる、あるいは苦しまないという希望が叶えられれば、もっと人生を前向きに考えられることでしょう。

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