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高齢者住宅としてのシェアハウスのメリットとデメリット

2017-07-14

若い人の間で流行っている『シェアハウス』が、高齢者の間にも広がっています。「年をとったら気が合う友だちと一緒に住みたい」という人は多いですし、この暮らし方は老後の生活の理想の一つのようです。そこでシェアハウスのメリットやデメリット、それに対する包括支援センターやケアマネジャーの関わり方を考えていきましょう。

なぜシェアハウスが注目されているのか

シェアハウスが注目されている理由はいくつかあります。特に不動産関係者にとっては空き家の問題や、高齢者が敬遠されるもっとも大きい理由である孤独死の心配がないなどの理由から歓迎しているようです。また、空き家を再利用できる、事故物件を減らすというメリットもあります。

シェアハウスを成功させるためには、「オーナーが誰か」というのが必要なポイントです。賃貸住宅で資産運用している人がシェアハウスを運営することもありますが、住人がオーナーとして運営していくこともあるでしょう。

自分と配偶者、そして子どもに合わせて暮らした家で、今はもう部屋が余っている。あるいは手入れが行き届かなかったり、動けるけれど自分の一人暮らしが不安だったりという人は、自宅をシェアハウスにすることもできます。

空いている部屋をシェアして収入を得ながら、一人暮らしの寂しさや孤独死に対する不安から解放されるのです。また、リバースモーゲージが注目されていますが、これも運営によっては新しい老後の資金として使えるかもしれません。

しかし自分がオーナーとしてシェアハウスを運営していくことは、予想以上に大変です。管理会社を見つけることから始まり、入居者の募集や退出準備、家の補修、オーナーが亡くなった際の管理も決めなければいけません。また、管理会社が適切な仕事をしているのかは、外部が監査する必要があります。

シェアハウスの課題

シェアハウスのメリットは、一軒にかかる家賃を利用者で分担しているため、サービス付き高齢者向け住宅への入居や独り暮らしに比べて費用が安いということ。キッチンやバス・トイレは共同で使うため、共益費や食費など含めても国民年金で暮らせる場合もあると言います。ただし生活サービスは内包されていないので、家事や身の回りのことは自分で行え、共用部分の手入れを分担できることが必要です。

もう一つ最大の未解決事項としては、今のところ認知症や介護が必要になったら退去というところが多いことでしょう。老後について一番不安である介護が組み入れられていないというのでは、高齢者対応の住宅としてはあまり役に立ちません。サ高住との違いである『料金が安い』というメリットを、よく見直す必要があります。

シェアハウス内で介護保険サービスを使うことができなければ、老後の不安を解消することはできません。そして、分担して行っていたハウス内での仕事、例えばトイレ掃除当番やゴミ捨てなどができなくなった場合、それを誰がフォローするのか。これは介護保険のサービスの適用外です。代わりに他の居住者の負担が増えることに対して、同居人がどこまで受け入れてくれるのか。

介護保険のプランでは、同居している人たちの協力を前提としたプランを立てないように配慮することが必須です。しかし、普段の生活で要介護者への手助けは必要になります。これに対して、少しずつ負担感が増していくかもしれません。

もっとも考えるべき課題は、介護が必要になったとき、どのようにして介護保険サービスにつなげていけるかでしょう。自分たちで立ち上げたシェアハウスの住人は、介護保険を使っていないことも多いようです。要支援1でも良いから介護認定をしてもらい、介護が必要になったときの対応をするために、ケアマネジャーがかかわっていくことも必要ではないでしょうか。

「年をとったら友だちと一緒に暮らす」という夢を実現し、安心して暮らすために管理者を決める。さらに、その管理が適切か監査する機関を決めること。権利や自由を守るために、最低限の暮らしを守る核として、地域包括支援センターやケアマネジャーが協力していくことが必要です。

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