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日本式介護は本当に実現できる?

2018-03-19

現在の日本式介護は、「『自立』を支援する介護」が推奨されています。しかし実際には、理念だけが先行していて、実情が追いついていない印象を受けます。日本式介護は、人の一生を締めくくるのに相応しいやり方なのでしょうか。

自立を目指すためのケアプラン

現在、特に自立を目指すケアプランを立てることが求められています。亡くなる前の最後の願いを叶えるために必要になるケースもあるでしょう。その結果、リハビリに熱心に取り組み、自ら進んで散歩に行ったり、「脳トレ」などをやり始めるなど、変化が見られることもあるかもしれません。サービス提供の結果、高齢者のQOLが向上するなどの効果が見られれば、ケアマネジャー冥利につきると感じます。

しかし次第に弱っていき、最期を迎えます。ケアマネジャーは果たしていつまで、自立度とQOLを高めるプランを追求するのか。どこで「苦しまない」「痛くない」「孤独ではない」プランに切り替えていくのか。自立を支援するためのプランでQOLを向上させ、少しずつ最期を迎える準備を進められるプランを立てることは、本当に難しいことだと感じます。

介護保険を利用すれば孤独死は防げる

ニュースで高齢者の孤独死や老老介護による殺人などが話題になると、そのたびに「人に迷惑をかけてまで長生きしたくない」「安楽死を法制化して欲しい」という声が多く見られます。

ニュースのほとんどは、介護保険を受給していれば起こらなかったのでは、と思えるものばかりです。週に何回か在宅サービスを受けていれば、孤独死はまず、起こらないと思うからです。

週に数回でも通所サービスを利用することで、どれだけ家族のストレスが軽減できるのか。孤独死や老老介護など、高齢者の生活に関するニュースを発信するのであれば、メディアには介護保険についてもしっかり取り上げて欲しいものです。そして従事している私たちも、積極的に発信していかなければなりません。

日本式介護が社会に合わなくなっている?

何かあった時にすぐ介護保険を利用できるのは、このような方々ではないでしょうか。

「慣れ親しんだ地域で暮らしていこう」という国が進める地域包括ケアシステムの考え方は、世間にはほとんど伝わっていません。利用者負担の増加や軽度者の保険対象除外などにより、むしろ「見放された」「国は無責任」という見方のほうが多いかもしれないくらいです。業界内では「亡くなるときは住み慣れた場所で」という考え方が推進されてはいますが、まだ多くの人が人生の最後には施設や病院に入ることがスタンダードと感じているのではないでしょうか。

また、在宅介護の厳しさを知っている人の多くが「家庭では介護できない」と感じている可能性があります。日本式介護は家族が中心になり、足りない分を公的サービスが行うというのが基本的な概念でした。しかし女性の社会進出や少子化、共働き家庭の増加などにより、現在の日本社会には合わなくなってきています。

社会の変化に応じた介護のあり方が求められている

介護を理由に仕事を辞める「介護離職」問題は、少しずつ対策が立てられているものの解決には程遠く、職場ではベテラン職員に辞められてしまって困っています。以前、長く介護と仕事の両立を頑張っていた方が介護を理由に退職したけれど、3カ月後には被介護者が帰らぬ人となってしまったことがありました。介護離職をした人には、復職できるようになったら元の職場へ戻れるという制度が必要かもしれません。

北欧の「高福祉高負担」、あるいはアメリカの「小さな政府」も、導入するとすれば公教育で、その社会に入っていくためのスキルを学ばせなければ対応できないと思います。日本の場合、介護保険を利用できるように周知し、日本独自の社会に合ったやり方をどう作っていくのかを模索している段階なのでしょう。従来の日本式介護ではなく、社会の変化に応じた介護のあり方が求められます。

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