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生活援助中心型ヘルパー導入、その影響と現場で求められるものとは

2018-06-19

2018年4月より、訪問介護の生活援助を中心にサービス提供する「生活援助従事者研修」が導入されました。身体介護を伴わない分、研修時間は従来のヘルパーが受ける介護職員初任者研修に比べて半分以下の59時間です。今後、生活援助ヘルパーが機能するのか、ここで考えていきます。

生活援助ヘルパー導入の課題

生活支援を専門とする生活援助ヘルパーは、子育てを終えた主婦などが行えるようにと期待されています。では、さまざまな家事業務を自由に頼める“家政婦”との違いは、と問われると、なかなか理解しにくいかもしれません。

例えば掃除や食事を「本人の家族のため」と「家族のため」に分けることは、なかなか困難です。また、介護の対象者がこれまで見ていた生活上の行為ができなくなったという場合、どのような支援が必要なのか。逆にヘルパーより要介護者の方が上手に家事をこなせるということも、かなりの割合であるかもしれません。実際、料理はできても「冷蔵庫の中にあるもので何か作って」というニーズに応えられず、交代して欲しいと言われることは少なくないのです。

また、ペットの散歩も家庭によって切実です。散歩中に事故が起きた際に保証はなく、別件で動物愛護センターなどと協力し、必要事項を書式として交わす必要があると思います。

あるいは要介護者が「庭の手入れをして欲しい」「粗大ごみを出したい」など、日常的ではない家事を求めたときはどうでしょう。介護保険制度では提供できないものの、対応してくれる業者に繋げることもケアマネジャーの仕事の一つになるのではないでしょうか。

しかしこの場合、本人だけの介護では「対象者を支援した」と言えないかもしれません。さらに同居人への家事支援も、条件付き(日常的に行われて、要介護者と一緒にできる家事に限定)で認めるようにするようにしたいものです。

生活援助ヘルパーに求められるもの

生活援助ヘルパーが“家事のプロ”として認識されるには、どのようなスキルが求められるのでしょう。例えば若い頃から廊下の端から端まで雑巾がけしていたり、トイレや浴室をピカピカにしていたりする方なら、ヘルパーにかなり高いレベルのサービスを求めるかもしれません。生活援助ヘルパーは家事能力で要介護者の要望を汲み取り、研修プログラムを作る必要があります。

また、要介護者が「同居人の身の周りのことをして欲しい」と要望した場合、介護サービスではできないことになります。そのため、同居人の部屋が乱雑になっていたり、洗濯物がアイロンがけされていなかったりすることを気に病むような方なら、「介護保険のサービスは役に立たない」ということになってしまうでしょう。これは比較的、介護度の軽いケースでよく考えられる状況だと思います。

こうした場合の対応や判断は生活支援ヘルパーからPTやOTへアドバイスが必要となり、その間を取り持つのはケアマネジャーとなるでしょう。生活援助ヘルパーに対しては、要介護者の要求に応えるための家事スキル向上に向けた研修のほか、他専門職に繋げるうえで必要な観察眼も身に付けなければなりません。

もちろん介護を必要としている方が少しずつ手添えでやってみたり、できるまで待ってみたりすることも大切です。しかし、これは既に家族に行っていることとは異なり、研修がなければ対応できるものではありません。

まとめ

在宅ケアに関わる新たな職種として導入される、生活援助ヘルパーという存在。これを機能させるには、例えば要介護者にとって大切なペットの世話、あるいは同居人の日常生活の世話をどうするのかといった実生活の細かな点のほか、病院への送迎や待ち時間にも対応できるようにすると良いと思います。特に老人ホームで働いていた際、待ち時間はとても切実な問題でした。

これまでグレーゾーンで対応できなかった項目が増えたわけではありません。それにも関わらず支援を細かく区切るのは、人々の実生活に馴染むものではないでしょう。日々を暮らしている方々に合った支援が行える、そんな制度ができていけば良いと願います。

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