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サービス付き高齢者住宅の現状と課題

2018-07-19

「年をとったら、どこに住みたいですか?」そう聞かれたとき、どう答えるでしょうか。現在は「家族に迷惑をかけたくない」という気持ちから、老人ホームを選ぶ方が多くなっています。さらに介護する側も「認知症や下の世話は…」といった考えを持つ方は少なくないでしょう。そのため両者の気持ちが一致すれば、老人ホームへの入所という形になります。老人ホームといっても種類は多様です。しかし周知するのは難しく、現在の高齢者施策ではこれ以上の選択肢を考えられないのが現状かもしれません。ここでは昨今増えている「サービス付き高齢者向け住宅」について、終の棲家になるのか考察していきます。

「サ高住」は安心できる?

一人暮らしの方には「今は元気だけど一人では何かあったときに不安」という理由から、安心できる施設に行きたいと考えている方が多く見られます。そこで、注目されているのが「高齢者サービス付き住宅」(サ高住)です。自分の部屋にキッチンやお風呂が備わっていて、外出も自由。まさに「困ったときだけ助けてほしい」という希望が通るように思えるでしょう。“個”の意識が高まっているため、こうした希望を持つ方は多そうです。

しかし新築のホームへ見学に行くと、まだ部屋にギャッジベッドがあるだけの状態。できることならば、これまで自宅で使っていたテーブルや椅子を持ってくるなど、今まで過ごしていた環境を可能な限り保持して入居できれば良いなと思います。

また、充実したセカンドライフを過ごせる方がいる一方、介護が必要になったときに専門スタッフがおらず、悲惨なことになってしまうケースも少なくありません。高齢者の福祉を全く知らずにビジネスとして運営すると、こうした事態を招きがちです。

サ高住に求められるもの

いくつかサ高住のホームページを見てみると、受けられるサービスには違いがあるようです。例えば介護が必要になったら退去というケースがあれば、反対に「看取り」までやるというホームも。また、外部の介護保険サービスを使うところが多く、その場合にはケアマネージャーがいるのでしょう。

「介護度が重くなったら退所」「重度者用のフロアに移動」というものが多い中では「身の回りのものを全て持って移動する」等という場合もあり、これはかなりキツイはずです。入所したことに慣れるまで気を遣い、体力が落ちたのにまた部屋が変わる。あるいは住む場所まで変わってしまうのでは、どんどん心身の状態が悪化してしまいます。介護度に関わらず、ずっと同じ場所で落ち着いて過ごせること。それがもっとも安心で、心身の調子がよく過ごせるのだと思います。

おわりに

生活の流れを切らないため、元気なうちに入所できて看取りまでやってもらえるのは、理想であり目的でもあります。介護度の異なる方々が一つの建物内でバラバラに住んでいる状態は、介護している側にとっては効率が悪く手間がかかることです。しかしその方々の生活を考えると、このあたりは介護する側がひと頑張りしたいところでしょう。

「高齢者本人が本当に安心して過ごせる場所」を考えるならば、元気なうちに入居して暮らしに慣れ、認知症を含めた病気になっても同じ場所で途切れなくサービスを受けられること。そして、安心して最期を迎えられることが必要です。高サ住は比較的新しい施設であり、地域の方々から慣れ親しまれる可能性は高いと思います。

もっとも良いのは、在宅で暮らし、看取りまで見てくことなのかもしれません。人生の終わりを「サービスがないから仕方ない」ではなく、慣れ親しんだ場所で眠るための支援ができれば嬉しい限りです。

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