『ミライ塾』インタビューvol.1−介護の人手不足を補う新しいしくみは、新聞奨学生の経験から生まれた

2015-03-27

2025年に向けて高齢化が進む日本において、介護業界の人手不足、特に若い人たちが介護の仕事になかなか就いてくれないことが、深刻な社会問題となっている。一方で、大学や専門学校などに進学したくても、経済的理由から諦めざる負えない学生たちも多い。こうした2つの社会問題を双方向から補い合い、メリットに変える新たな人材育成の試みがスタートした。その名も『ミライ塾』。この前代未聞のユニークなプロジェクトを立ち上げたのが、奥平幹也さんだ。奥平さんに『ミライ塾』にかける熱い想いをきいた。

新聞奨学生で培った精神力が、今の自分を支える原点に

はい。実家が沖縄で、兄弟全員、都内へ大学進学しているのですが、親からは皆、「大学へは自分の力でいけ」と、言われていました。それで、それぞれが働きながら、専門学校や大学を卒業したのです。

たまたま、一年上の兄が新聞奨学生をやって大学に通っていたので、迷わずに新聞奨学生をしながら大学へ進学する道を選びました。大学を卒業するまで新聞奨学生として大学に通ったという経験が、『ミライ塾』を立ち上げる、私の原点になっています。

よく新聞奨学生は朝刊時3時間、夕刊時2時間ぐらいで5時間ぐらいの労働、というようにパンフレットに書かれていることは多いのですが、これはあくまで新聞が予定どおりに来て、天候も晴れて完璧なコンディションのときの話で、実際のところは、配達以外に月の3分の2程度は集金もするし、配達も、雨や雪や台風など、悪天候のときは配り終わるまで仕事は終わらない。実質1日約8時間以上は働いていたと思います。

もちろん新聞を配り終えるまでは学校に行けません。毎日学校に通いながら、こうした業務をこなすのは、もちろん大変です。でも、やってやれないことはない。女性の方も働いていましたし…。私の場合はそれにプラスして、専売所に内緒で中華料理屋でバイトもしておりました。

しかも、新聞奨学制度は歴史もあるので、過去にこの制度を使って大学や専門学校へ進学した学生もたくさんいるわけで、自分にもできないはずがないと思っていました。そこで鍛えられた精神力は、私にとって得難い財産であり、今の自分を形づくる大きな原動力となっています。

超高齢化社会を身近に感じ、自分にできることを模索

不動産の鑑定事務所に入社し、11年勤務しました。主に企業をクライアントとし、電力会社やディベロッパー、銀行や生命保険、ファンド等の金融関係を相手に資産価値の評価や再開発等の権利関係の調整をする仕事をしていました。

例えば、ビルの再開発の際に、将来トラブルにならないように権利関係を調整して規約を作ったり、不動産の証券化にかかる評価でマンションや事務所、大型ショッピングセンターやホテル、ゴルフ場、有料老人ホーム等をDCF法などを使った評価に関わっておりました。

退職する前の、5,6年ぐらいは主に、外資系の介護に特化したファンドからの仕事に責任者として関わっておりました。それが、介護業界と自分が関わる最初の接点だったのです。

例えば、介護系ファンドのクライアントさんが全国各地の施設を投資対象として購入する際、その土地でトラブルが起きる可能性はないか、遵法性は満たしているか、といった事前調査を行う業務を請け負っていました。

そうした調査を行うなかで、自然と我が国がこれから直面する超高齢化社会についてや介護保険制度のしくみを理解する必要性が生じ、勉強するようになったのです。そこで初めて、「介護のしくみってまだまだ未成熟だな」という印象を受けました。なんとなくですが、このままでは危うい、と思ったのです。

うちは、祖母が102歳で自分の親は70代。自分が介護する当事者側になり始めてきているなかで、人任せじゃなくて、何か自分にできることはないだろうか? と考えるようになりました。

介護業界と一般企業、双方向を行き交う人材づくり

何か自分ができることを…と考えるなかで、真っ先に浮かんだのが、人材不足の解消です。介護業界に新人が入っても、2,3年で辞めてしまう現状を知り、まずはそれを変えられないかと思いました。

それに、これは個人的な見解ですが、介護の仕事は、一般企業から転職する際の選択肢とはなりますが、その逆方向の流れはほとんどないように感じました。つまり、介護一本で働いてきた人が、一般企業に出て行けるイメージがないんですね。

そこって限りなく一方通行で、双方向になっていないなという違和感も覚えました。むしろ、介護現場で一生働くことを考えなくてもいいんじゃないか。

これからの時代を考えると、介護現場で働いた経験を活かして、一般企業に就職できるようなしくみがあってもいいんじゃないかと思ったのです。

時間には余裕があるけれども、経済的にたいへんな学生に、介護業界で働いてもらい、そこで給料を得て、学費や生活費に充てられるようにできないか? そこで、「新聞奨学生のしくみが使える!」とひらめいたのです。

「ミライ塾」の考え方は、ここからスタートしています。

次回に続く…

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