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『未来をつくるkaigoカフェ』インタビュー前編−自由に集まり介護を語り合う「場」に

2015-05-04

介護職の人たちはシャイで自己表現が苦手で、小さな世界にとどまりがち? そんなネガティブイメージをひるがえして、ポジティブに自分らしく、介護に向き合いたい。そして、さまざまな人たちと対話をし、業界全体をよくしていきたい―。そうした思いから、高瀬比左子さんは、「未来をつくるkaigoカフェ」を立ち上げた。カフェを始めて3年。回を重ねるごとに注目され、今や開催告知から数時間で満員御礼になるほどの人気だ。いったいなぜ、「kaigoカフェ」はこんなに愛され、必要とされているのか。高瀬さんに2回にわたってじっくりと聞いてみた。

関連サイト:未来をつくるkaigoカフェ

だれとでも介護について対話ができる場をつくりたい

いえ、介護の現場にいる方だけでなく、施設の経営者、保険外サービスを運営している方、看護師・医師などの医療関係者、行政書士や社会保険労務士の方、マスコミ関係者など、介護の周辺で仕事をしている方なども多いですね。学生さんや介護をする家族の方もいらっしゃいますよ。

だれでも来てほしいから、堅苦しくならないように、気をつけています。専門性が高すぎたり、真面目になりすぎたりすると、狭めてしまうので、あえてゆるい感じで、来た方がかしこまらず、素の部分を出しやすい場にしたいと思っているんです。

だいたい月に1回、都内の各所を借りて、開催しています。

私自身、介護業界の中で、身近に参加したいと思える「場」がなかったんです。介護の現場にいて悩み、さまざまな勉強会などに参加したりしたのですが、行ってみると、グループで固まっていたり、ビジネス目的で集まってきていたりして、介護について自由に自分の想いを語れませんでした。それなら自分自身が本当に必要な場を自分でつくろう、と思ったのです。

介護職の人は、私自身も含めて人見知りな人が多くて、対話力が足りない、と感じていました。介護職にとって、他職種と連携することは必要不可欠ですが、連携するうえで大切なことは、介護の専門性を言語化し、コミュニケーションを円滑にはかっていくことです。

そのためには、ただの交流会とか勉強会ではなくて、介護にまつわる対話を通じて、前向きに「介護をよくしていきたい」という人たちと一緒に気づきを得られる場にしたい。そして、介護職も介護の周辺で仕事をする人も、自分の職場に戻り広い視野で問題解決などに取り組んでいただければと、考えました。そういうきっかけをつくることが、自分らしく介護業界に貢献することだ、という想いからです。

2015年4月15日に開催された「kaigoカフェ」

厚生労働省 福祉人材確保対策室長 武内和久氏

お茶を飲んで、リラックスして語り合い、そして気づきを持ち帰る

はい。実際に、テーブルについて飲み物を飲み、スイーツや軽食を食べながら、対話をします。「理想の現場をつくるには」とか「介護人材を確保するには」など、介護にまつわるテーマを設けて、ゲストにお話いただき、そのあとでテーマに添って対話をする、という形をとることが多いですね。

ゲストは、私が話を聴いてみたいと思う方にお願いすることが多いです。カフェでのつながりが豊かなので、そのつながりの中からゲストに、と声をかけることも多いです。また、4月からの介護報酬改正のタイミングに合わせるなど、世の中の話題に沿ったテーマを先に設定し、あとからテーマに合うゲストを探すこともあります。

中立的に進行を務め、参加者の意見を引き出す役目をファシリテーターと呼びます。カフェにはファシリテーターの存在は不可欠です。テーブルに分かれてテーマを話し合うときには、各テーブルごとにそれぞれファシリテーターを決めてもらい、その方に進行していただいています。

「参加したいのに、気づいたときは申し込み終了なことが多い」とおっしゃる方もいて、申し訳ないな、と思います。1回あたりの参加人数も増やしているんですよ。

始めたころは、30人程度だったので、カフェを借りて、ほぼ全員で対話したこともあったのですが、最近は100人近くになることも多くて。でも、これ以上増やすのも、よくないと思っています。

初参加の方には、来ていただきやすいように工夫をしています。きっとこの方は来てみたいのだろうという方には、私から声をかけたり。初めての方もいつも来てくださる方も、さまざまな方が出会い、気づきや刺激を持ち帰っていただける場でありたいと思います。

2015年4月15日に開催された「kaigoカフェ」

ゲストによる対談

カフェで得た気づきを持ち帰り、現場にフィードバック。地域に介護の未来を開いてほしい

うれしいことです。「休みの日に介護のことなんて考えたくない」という介護職の方は多いと思います。なのに、参加費を払ってまで来てくださるのですから…。

「今のままでいいのか?」と疑問を持ち、理想の介護現場を現実にしたいという、熱い想いの人が、参加者には多いと思います。一見おとなしそうでも、内に秘めた想いが強く、「介護の現実をなんとかしたい」と、人知れず思っているような方は、何度も来てくれますね。

介護職は、自分の意見をプレゼンする機会も少ないですし、リーダー的に活動する人ばかりではありません。

けれど、介護に関する身近なテーマについて自由に語ることによって、自分自身の見落としていた可能性を呼び覚まし、一歩踏み出すきっかけをつくることができると思います。それが、「kaigoカフェ」という場を設ける意義でもあります。「未来をつくる」というネーミングは、自らの意思で未来を切り開いていくことをイメージしています。

ですから、「未来をつくるkaigoカフェ」という場で、ぜひ「前向きに意見を言う」ということを経験してほしいですね。そのきっかけをつかめたら、介護に対する夢を、自分の所属する組織や地域に開いていってほしい。ひとりが変われば、介護現場の風土は変わっていきますから。

はい、それも大歓迎です。「kaigoカフェ」の暖簾分けみたいな感じではなくて、自分らしくやっていただきいと思っています。私自身も「自分らしくやりたい」と思うほうなので、日本のあちこちで、個性的なファシリテーターが対話の場を広げ、地域社会に還元してくれたらと願っています。

後編に続く

関連サイト:未来をつくるkaigoカフェ

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