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『未来をつくるkaigoカフェ』インタビュー後編−地域社会に向けて何を発信し貢献するか

2015-05-06

職種や肩書き、立場を超えて、介護について語り合い、介護の世界をよりよいものにしていこうとする場、それが「未来をつくるkaigoカフェ」。月1回の開催を続けて3年、メンバーは飛躍的に広がり、そのつながりから生まれるものも増えてくる。カフェ形式で対話することの先に何があるのか。また、私たちは介護の課題をどう解決して、明るい未来を築いていけるのか。高瀬さんの意見や展望を聞いてみた。

介護の現場は人間関係が重要

私は、普通の大学を出て、一般企業に就職したんです。でも、すぐに「違うな」と気がつきました。ここは私の居場所ではない、と。

就職以前に、阪神大震災が起きて、ボランティア団体が日本中に増えていたときだったんですね。そういう活動を見て、もっと社会に役立っているという実感が持てる仕事に挑戦したいなという思いが強くなっていたのです。

ほどなく会社を退職をして、高齢者の支援をするNPO団体のお手伝いをしました。でも、福祉の畑の人間ではなかったので、わからないことも多くて。現場で一から実践的な修行をしてみたいと考え、訪問介護の仕事を始めたのです。

介護保険制度が始まった後、世間からも、介護に注目が集まっているときでした。以後、仕事をするなかで介護福祉士、社会福祉士、ケアマネージャーの資格を取り、今も勉強を続けながら、介護の現場に携わっています。

本当に、たくさん体験します。

介護業界は特殊なのでしょうか、給料の多寡よりも、むしろ人間関係が重要だと思える職場なんですね。仲間や看護師さんなどとの人間関係がダメだと、いくらその他の条件がよくても働きにくくなってしまう。

特に、事故があったときの責任をだれがどう取るのかなど、利用者さんの命に関わる問題が起こるときには、精神的に追い詰められ、心身ともにすり減り、燃え尽きてしまう…。そういう現実をたくさん見ていますし、自分自身も味わってきました。

現場ではまた、理論より経験を重視してきたベテランの女性と、専門学校や大学で介護を学び介護業界に就職をした若い世代とのギャップもあります。若手が役職についても、ベテランの方のこだわりやプライドを大事にしようとすると現場が収まらず、悩むことも多い場合があります。

2015年4月15日に開催された「kaigoカフェ」

グループ・ワークの様子

魅力をどう発信するかが問題解決のカギに

「kaigoカフェ」でもこのテーマで対話の機会を設けましたが、小規模な事業所ほど、強みを発信する手段を持っていかないと、生き残れないと感じました。訪問介護の現場などでも、職員が集まりにくく、制度改正に呑み込まれてしまうところも出てくると思います。

難しい問題はそのほかにもたくさんありますが、結局は、介護業界が、魅力をどう発信していけるのかが、カギになると思います。

たとえば、一般の方々と介護業界との間には壁があって、なかなか交流できない部分がありますよね。なぜ壁ができるのかといえば、介護業界の人たちが、自分たちの業界内だけのつながりで満足してしまい、他業種との交流を求めないという傾向があるのではないでしょうか。日本人の個性かもしれませんが、小さな仲間内を大切にするあまり、社会に向けて発信する力が弱くなってしまうのだと思います。介護業界の内側も、まとまりにくいので、よけいに発信力が弱まるのですね。

しかし、私たちはプロ意識を持って連携し、介護を広く知ってもらう、という目的をひとつにしていかなくてはなりません。その際には、発信力のあるリーダーが存在していることも大切だと思っています。

kaigoカフェを、そのきっかけにしてもらえたらうれしいですね。

自分の考えや思いを伝えていく力が身につきました。そして、人とのつながりが豊かになり、視野も広がり、様々な機会が増えました。しかし、根本のところはあまり変わってないのかもしれません。もともと、人に働きかけることが苦にならないですし、自分が動かないと何も変わらないと思うほうで、自分から発信していこうという姿勢も変わらないと思います。

人見知りな性格もありますし、やわらかい人柄だと思われていることは多いですけれど、本当は、かなりの行動派でもあります(笑)。見た目と実際のギャップに驚かれることもありますが、それも含めて私の個性かなと思います。

2015年4月15日に開催された「kaigoカフェ」

最後に記念撮影

地域とのつながりも大事にし、介護に未来を

こんなに大きくなるとは思っていなかったので、戸惑いますが、やりたい方向性には近づいています。ますます、テーマ性を高めて対話の場を深めていきたいと思いますし、出席した方が、それぞれに地域で活動を始めることも、まさに私が求めていたイメージです。

しかし、ここで始めたばかりのころの、こぢんまりしたカフェ活動のよさも、もう一度見直したくて。地域の人たちと、小規模に交流することも始めたいな、と思っています。

地域に入っていきたいという思いはどんどん強くなっていまして、最近では、小学校や福祉の専門学校を訪問して、カフェ活動も行いました。やりたい活動はたくさんあるので、手がまわらなくならないように、優先順位をつけながら、地域に開かれたカフェ活動をしていきたいですね。

そのとおりです。介護業界は自治体が企画・援助している部分が大きいですから、自治体の方々も巻き込んだ対話の場をつくっていくことが重要ですし、実際に円滑にすすめている人たちも多いです。

私は最近、厚生労働省が主催の「介護人材確保のための地域戦略会議」でプレゼンする機会をいただき、行政の方々とのつながりを持つことができました。「kaigoカフェ」にも来ていただき、行政の視点からも、介護の意見を語っていただきました。行政の方々とも、こうした非公式の場でつながれることがとても重要です。お互いの本音を聴くことができ、よりよい介護の未来につなげていけると思うからです。

どんな相手に対しても「ラフな感じでつながれる」ことは、とても大事だと思います。ざっくばらんな話の中にこそ、ヒントがあると思います。そうしたヒントをもらえる場を増やせば、介護も変わると思います。

「たくさんの人たちと対話をして、介護の未来を明るくする」ことが、「未来をつくるkaigoカフェ」の目標です。これからも、枠組みを超えてつながりをつくり、よりよい介護を実現していきたいと思います。

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