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介護職が直面する利用者の死、その喪失感に対処するには?

2015-08-14

在宅にせよ施設にせよ、自分が介護していた方が突然亡くなるということがあります。親身になってお世話していた者にとって、その時に感じる喪失感は計り知れないのではないでしょうか。その気持ちを乗り越え、新たな気持ちで現場に戻るにはどうすれば良いのか。気持ちを切り替えるための方法を考えてみましょう。

誰にでも訪れる最期のとき

どんな人にも、必ず人生の最期は訪れます。それはあらがいようのない事実だということを誰もが知っていますし、それがいつ来るのかは誰も分かりません。

高齢者介護に従事する人にとっては、介護対象者が人生の終末期に近い方ということもあり、突然利用者を看取ることになったり、最期の瞬間に直面しないまでも「亡くなった」という現実をいきなり突きつけられたりする場合があります。

特に利用者の看取りまで行う特養などの介護職員は、利用者の死を悲しみながらも、他の利用者には普段通り対応しなければなりません。また、週に何度か訪問して介護を行うヘルパーにしても、つい何日か前まで普通に話をしていた相手が、次の訪問日に亡くなっているという場合もあるのです。介護従事者ならば、これまでこうした経験をしたことがあるという人は少なくないでしょう。

利用者の最期に直面すると、家族や親族といった立場でなくても、悲しさや寂しさ、無力感といったものを感じる介護職は多いでしょう。しかし、そうした気持ちを抱えたまま仕事を続けると、「燃え尽き症候群」やうつ状態になることさえあるようです。

人の感情というものは十人十色で、「死」に対する考え方や感じ方もそれぞれです。悲しみのあまり何も手につかなくなる人もいれば、わりと早く気持ちを切り替えられる人もいるでしょう。介護に従事する人が悲しみや喪失感、無力感から立ち直り、元気に働き続けるにはどうすればよいのでしょうか。

感情を表に出す

まず大切なのは、「悲しいという気持ちを表に出すこと」です。

距離が近ければ近いほど、喪失感や悲しみ、辛さ、無力感は大きくなります。それを自分の心の中に閉じ込めてしまうのではなく表出することで、もやもやした気持ちが残らないようにすることが大切です。

喪失体験から回復するために行われる心理療法でも、自分の感情や亡くなった人に対する素直な気持ちを話す治療が行われています。特に我慢強くて頑張り屋だと思われている人ほど、自分の中に背負いきれないものを抱えてしまいがちで、「燃え尽き症候群」になりやすいのです。

話す相手は同じ介護職でも、そうでなくても構いません。話を聞いてくれる相手を見つけておきましょう。本当ならば、職場で同じ気持ちを共感できる機会があると、より早く気持ちの整理がつきやすいでしょう。しかし、現状はなかなか難しいようです。

時間も必要

介護職にとって、「看取ることはやりがいのあるケア」だということも言われます。もちろん、食事や入浴、排泄といった日々の介護業務も同じですが、利用者の最期という場面を何度も経験すると、介護者自身が消耗していく恐れがあります。それを、「高齢者を介護しているのだから当たり前」のように思われ、「他人なのだからそこまで悲しくはないだろう」と言われるのは、あまりにも切なすぎるのではないでしょうか。

家族が悲しみや喪失感から回復するのに時間が必要なように、ご利用者を親身に介護してきた人にとっても時間は必要です。まして、何の前触れもなくそのようなことになったのであれば、なおさらでしょう。

ショック症状の強い時期や、利用者に「もっと何かしてあげられたのでは」という後悔の時期などを経て、徐々に回復していくのが普通です。

もし1、2ヵ月経っても「仕事が辛い」「手につかない」という状態、あるいは感情をコントロールできず涙が止まらなくなるというような場合には、ただ時間が過ぎるのを待っているわけにはいきません。心の健康をいち早く取り戻せるよう、カウンセリングを受けたり、心療内科を受診したりする必要があるでしょう。

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