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「介護記録」の重要性とは

2015-09-11

介護の現場において「記録」が大切であることは、職員全員の共通認識です。しかし、人によってどう書くかは多様でしょう。例えば、他者から見ればどうでもよいと思われるようなことでも記載する人もいます。また、職場の指導者によっても大きな違いがあるようです。ここでは介護の原点ともいうべき「記録」について、改めて考えてみましょう。

記録することの難しさ

介護職として働いている人にとって、大事な仕事のひとつである「記録」。例えば子どもの頃から作文が苦手という職員にとっては、もっとも時間を必要とする仕事かもしれません。また、同じ出来事でも見る角度が違うと異なった受け止め方となってしまうため、心配に思われる方もいるでしょう。

血圧や体重、時間などのように、はっきりと数字に表せるようなことであれば、認識のズレは生じません。しかし見た人の主観が影響する事柄、例えば「顔色」や「様子」は、それを気にするかしないかによって「記録」の対象にならないこともあります。

ヒヤリ・ハットの「記録」

デイサービスにおける入浴介助の場面を想像してみて下さい。段差のある湯船へ、歩行に少し不安がある利用者Aさんを誘導していたところ、先に湯船につかっていた利用者Bさんの足先に接触しそうになりました。これについて、誘導した介護者は指導者に、ヒヤリ・ハットとして「記録」するよう命じられます。そこで介護者はAさんの歩行状態について留意せず、Bさんの付近に誘導した点について書きます。すると指導者からは、問題点が違うという指摘を受けたのです。

このような場合、みなさんならどのように「記録」するでしょう? 指導者は、次のような記載をしなければならないと指摘します。

「Aさん・Bさんの双方に対して注意を促す声掛けをしなかったことで、最悪の場合、Aさんが湯船の中で転倒する恐れがあった。」

これに対して介護者は、次のような内容を記録として書きました。

「Aさんが歩を進める先の危険を予測せず、その結果、Bさんの足先に接触しそうになった。」

もちろん、どちらも間違いではありません。しかし問題のとらえ方が違うと、「記録」の内容も当然異なるということが分かるでしょう。

普段とのちょっとした相違の「記録」

バイタルチェックでの体温や血圧、心拍数はいつも通りながら、どうも顔色がパッとしない。いつもは意欲的にレクに取り組むのに、今日は面倒くさそうにしている。こうした日常での違いは、つい見過ごしてしまいがちです。

しかし些細なことに気づいて「記録」に残せば、職員みんなが情報を共有することに繋がるでしょう。ここで問題となるのは、人によって「そこまで書く必要があるの?」と、考えが異なってくるという点です。また「顔色がパッとしない」ということ1つにしても、「青白い」のか「黄疸がかって見える」のかでは、全く異なる認識になるでしょう。

バイタルが普段通りだと、つい大丈夫だろうと思ってしまいます。しかし高齢者は、自分の体調の悪さを自覚しづらいもの。まして介護者にそれを伝えられない可能性があることも、あらかじめ頭に入れておく必要があります。

大事なことは何?

デイサービスでは、提供される昼食を楽しみにしている利用者が少なくありません。食べた量やその時の様子について書く場合、介護者は次のような2つのタイプに分かれるでしょう。

大事なのは「量」なのか「中味」なのか。あるいは、どちらも記録する必要があるのか。限られた時間の中で、たくさんある事柄から記録すべき情報を選別するのは大変な作業です。

しかし、一日の流れや利用者の状態、介護者が行動したことやしなかったことを「記録」に残すことは、まさに介護の原点とも言えるでしょう。この記録によって、トラブルや危険を回避できる場合もあります。また、今後の介護を考えるうえでも、貴重な材料にもなるのではないでしょうか。

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