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「お泊まりデイサービス」は心強い味方

2015-11-20

自宅での介護が困難にもかかわらず、特養や老健、グループホームなどへの入所はますます難しい時代になっています。そのような場合、利用する人が多いのが「お泊まりデイサービス」です。しかし通称「お泊まりデイ」とも呼ばれるこのサービスについて、国が規制をかけることを決めました。これにより、その存続が危うくなってきているのです。

在宅での老老介護? それとも……

少子高齢化がますます加速し、75歳以上の後期高齢者と呼ばれる人々がかなりの割合を占める日本。それに伴い、介護を必要とする高齢者が増加の一途をたどっていること、多くの方がご存知でしょう。そして特養や老健、グループホームなど、高齢者を受け入れてくれる施設は、圧倒的に不足しているのです。

介護が必要になった高齢者や、その家族を支援する方法はいくつかあります。そんな中、病気や認知症をきっかけに、施設での介護を望むケースがさらに増加。これから核家族化が進み、子どもが独立してしまうと、当然ながら夫婦だけの生活になるでしょう。そしてそのまま年を重ねると、やがて「老老介護」へ。最終的には、夫婦どちらも介護が必要になるかもしれません。あるいは何らかの理由で一人になることも想定されますが、子どもが遠隔地に住んでいる、あるいは共働きなどで親を介護する余裕がないなどの場合も少なくありません。

特養や老健、グループホームにすぐ入所できるのであれば、介護が必要な状態になっても安心して暮らせるでしょう。しかし、実際のところそうではありません。そこで、緊急避難的な役割を担っているのが「お泊まりデイ」。本来はデイサービスの事業所としての運営ですが、宿泊を希望する高齢者や家族のニーズに応えて利用者を受け入れ、ケアしてくれます。週末だけ利用する人もいれば、特養や老健への入所が決まるまで年単位で「お泊まり」している人もいるのです。

本来ならば特養や老健、グループホームに入所したい、もしくはさせたいという方。つまり、在宅での介護が難しい人にとっては、ある種「駆け込み寺」とも言えるサービスでしょう。そんな「お泊まりデイ」が、国の規制によって存続の危機を迎えています。

その理由は、「お泊まりデイ」というサービスが介護保険の適用にならないこと。さらにそのうえ、入所施設ではないため、法律による縛りがないことにあります。そのため、一部事業者の宿泊環境が問題視され、最低限度の環境整備が必要だということになったようです。

どんな規制がかけられる?

それでは、厚生労働省は具体的にデイサービス事業者に対して、どのような規制をかけようとしているのでしょうか。厚生労働省が来年4月に導入しようとしている運営ガイドライン案によると、次のようなものが挙げられます。

さらに指針には盛り込まれないものの、連続2週間以上の宿泊にならないよう事業所に求めていく方針のようです。

デイサービス事業者は運営基準自体を見直し、宿泊及び食事代と防火設備の有無などを自治体に届け出ること。もし何らかの事故が発生した際の自治体や家族への通報義務化を図り、これらに違反した場合は処分の対象となります。

実際の問題として、年単位で宿泊している利用者がいること、また、特養をはじめとした施設への入所にはかなりの待機時間が必要な現状があります。これについて、厚生労働省はどのように考えているのでしょうか。また、規制によって採算が取れなくなり、「お泊まりデイ」から撤退する事業者が出ることも考えられるでしょう。そうなれば、行き場を無くしてしまう利用者が出ることも考えられます。

在宅での介護が難しい利用者や、その家族の心強い味方である「お泊まりデイ」。そこのサービスが減ることは、介護の必要な高齢者にとって大きな痛手ではないでしょうか。

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