「要支援者」を「要介護者」にしないために

2015-12-18

人間の寿命は、医療の進歩と栄養事情などの改善から大幅に伸びています。しかし、本当に大事なのは健康寿命。できるだけ自立した生活を送ること、要支援者を要介護者にしない支援について、さまざまな取り組みが行われています。

今、見直される介護予防

「元気で長生きしたい!」というのが、ほとんどの人にとって切実な願いではないでしょうか。高齢者だけでなく、介護する立場になるかもしれない人にとってもそれは同じ。介護疲れによる事件が数多く報道されている昨今、「いつ、自分が同じような状況に置かれるかもしれない」という不安は拭えません。これは、介護に関するサービスが必ずしも行き届いているとはいえない日本において大きな問題だといえます。

さらに、地方自治体が負担しなければならない医療や介護に関する費用が増大。このままではにっちもさっちも行かなくなると、危機感を募らせている地域も少なくないといわれています。そこで、見直されてきたのが「介護予防」です。

要介護になる原因は病気だけではない

介護が必要となる原因として最も多いのは、脳梗塞に代表される脳血管疾患です。年齢を重ねることで、心身のさまざまな機能が衰えてくることは、多くの方がご存知のことでしょう。腰が曲がったり、視力が低下したり、転びやすくなったり。こうした目に見える衰えだけでなく、認知症あるいは使える機能を使わないことで、身体はどんどん機能しなくなってしまいます。そのため、高齢者には生活習慣病を予防するだけではなく、不活発な生活による心身の機能の低下、つまり廃用症候群の予防が重要視されるようになってきたのです。

確かに在宅介護に携わってきた中でも、「つい1ヵ月前には自分で出来ていたのに……」と感じるようなことがありました。しかし、お宅を訪問するのは1週間に1度か2度。その都度限られた時間でケアプランに沿った介護や家事援助を行いますから、「今日はあまり話さないな」「座っている時間が長いな」などと感じても、「気分が乗らないのだろう」程度の認識しか持っていなかったように思います。

しかし現在は要介護に至る過程が研究され、病気に起因するものだけではないことが分かってきました。すると高齢者の心の状態や毎日の行動に気を配り、自分で出来ることを、できる限り自分でするように助けることの大切さを強く感じます。

「要介護者」を増やさない取り組み

自立した生活を続けられる人を増やす取り組みは、地方自治体の枠を超え近隣住民によるボランティアなどにも広がっています。身体機能には特に問題がないのに、「出かけるのが億劫だ」「誰も知り合いがいないから」などの理由で家に閉じこもっている。病気のみならず、こうしたことが廃用症候群に陥る一つのきっかけと考えられています。そのため行われているのが、家に籠りがちになる高齢者を外に連れ出し、一緒に筋力トレーニングや文化活動、買い物などを行うというものです。

介護予防に力を入れるようになってから、スポーツクラブや公共の体育館、公民館、町内会館などで、介護予防運動指導員のもと健康体操全般や椅子を使った健康体操、ヨガ、太極拳、水中での健康体操といった活動が行われるようになってきました。また、行きたくても交通手段の問題で行けないという高齢者のために、送迎を行うボランティアもあります。さらに絵画や手芸、写真といった文化的な活動を主催し、共に行うことで高齢者を支援するグループもあるのです。

ただし要支援者に対しては、これまでも介護保険によってサービスが行われてきました。しかし2016年4月からは介護保険から除外され、3年間で市町村による地域支援事業に移行することが決まっています。地域によっては、もちろんスピーディできめ細かなサービスを行うことができるのかもしれません。しかし財政的に厳しく、要支援者を支えることのできる若い層が少ない地域もあります。そのため、十分な取り組みが出来るのかという点を解決できないまま、見切り発車せざるを得ない地域もあるようです。

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