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介護福祉士の資格を取る?

2016-02-26

介護職に就く人の不足は、長年に渡る問題です。しかし残念ながら、一向に改善される兆しは見られません。例えば5年以上ヘルパー(現在は介護職員初任者研修)として働いて受験資格を満たしていても、「介護福祉士」試験を受けないという介護職が多い状況。これはなぜなのでしょうか。

介護福祉士とは

「介護」という仕事には、たとえ資格や経験がなくても従事することが可能です。かなり前になりますが、介護保険制度が発足した当初 、“介護の質のバラつき”が大きな問題になりました。同じお金を払っているにもかかわらず、介護職個人の能力(知識や介護技術を含め)によっては、利用者にとって十分とはいえないサービスも存在したのです。

「介護福祉士」の定義は、1987年5月26日制定の介護福祉士法によって次のように定められました。

つまりは介護について高い専門性を持ち、それに基づいた介護を行う介護職と理解して良いでしょう。しかし私の周囲にいるヘルパーの友人たちは、長年の勤務にもかかわらず「介護福祉士を受験しようと思わない」と言い切ります。知識や技術があり、少なくとも私から見れば、人柄も介護職にピッタリなのに……です。

受験資格を満たしたものの……受ける? 受けない?

1997年12月に「介護保険法」が成立した頃は、ヘルパー2級の資格を持っている人も少ない時代でした。しかし、何らかの資格を持っていたほうが優遇されたこともあり、ヘルパー2級・1級、さらにケアマネージャーの資格を取る人が増加。しかし、それらの資格が無くても介護職に就くことに支障はなかったので、資格を持たないまま仕事を続ける人も少なくありませんでした。

一方、新たに介護職に就こうという人には、ヘルパー2級の取得を目指す人がたくさんいたのです。ヘルパー2級を取るには、当時で10万円ほどのお金と、最低でも3ヵ月程度の時間を要しました。ヘルパー2級として、とりあえず介護の基本を学ぶことができたのです。そしていざ介護職に就き、介護福祉士の受験に必要な経験年数を経るとどうなるか。その資格取得を目指すよう勧められても、「また勉強? お金の心配も?」ということが浮かびます。

現状維持でも可

現在は、ヘルパー2級が介護職員初任者研修になりました。しかし友人たちは、「一度それで働き始めると、仕事や生活に追われてこのままでいいやと思った。」と言います。さらに、中には「介護福祉士を取らなければ介護職に就けないのなら、仕事を辞めることも考えている。」という友人もいるのです。

なぜ介護福祉士を取得しないのか。人によっては、介護福祉士の資格取得にメリットを感じないことも、理由の一つに挙げられるようです。つまり、資格を取っても仕事の中身が大きく変わるわけではないこと。また、待遇の面で期待するほど優遇されないことを労力と天秤にかけた場合、どちらに傾くのかということ。専門学校へ行って勉強に専念するには費用がかかりますし、仕事と生活を両立させながらその勉強する自信はない。すると、「そこまでして介護福祉士を受ける必要はない。」という結論を出す人が少なからずいるのです。

介護の質を一定以上のレベルに引き上げたいという、その思惑は理解できます。しかし、それを全て個人に求めるのには違和感があります。職場によっては資格取得を推奨し、それに向けた研修や勉強に時間を作ってくれたり、費用を援助してくれたりします。もちろん、それはとても恵まれているといえるでしょう。介護福祉士の資格を取ることで介護職全体の質の向上を図ろうというのであれば、個人や職場の努力だけでなく、国からのさらなる支援が必要だと感じます。

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