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介護ロボットと人手不足―今後の展望

2016-04-22

介護職不足を何とか解消しようと、さまざまな取り組みが行われています。例えば外国人にも門戸を広げる、「介護ロボット」の研究開発と導入や、介護職の処遇改善。しかし、急激なカーブを描いて増加していく高齢者や要介護者の数には、全く追いつかないのが現状でしょう。外国人には言葉をはじめ色々なハードルがありますし、日本人には諸事情から敬遠されがちな介護職にとって、「介護ロボット」というのはある意味で頼みの綱ともいえるはず。その「介護ロボット」は今、どのあたりまで身近になっているのでしょうか。

「介護ロボット」―厚労省と経産省が考える重点分野

「介護ロボット」の研究開発は、公的機関・産業界・大学などが協力することにより、さらなるコスト削減や時間短縮など効率的に行われるようになってきました。また、厚労省や経産省は「ロボット技術の介護利用における重点分野」を定め、次の8分野により力を入れる姿勢を示しています。

確かに、毎日の生活において徘徊の恐れのある人に対する見守り、歩行や移乗の際の介助、体位交換、排泄介助といったことをロボットが助けてくれるようになれば、介護にあたる人にとってかなりの負担軽減になると思われます。核家族が進んだ現代社会では老々介護が余儀なくされることも多く、先の見えない介護と介護者自身の年齢や健康の問題から、悲しい事件がたびたびニュースにもなっているのが実情でしょう。

「介護ロボット」の普及は、在宅における老々介護の問題も含め、様々な施設で働く介護職の体力的な疲労を減らすことができると考えられています。それにより、介護現場のマンパワー不足といった問題が少しは緩和されるのでは……とも期待されているのです。それなのに、大きな広がりをみせない利用状況にはどのような理由があるのでしょうか。

介護ロボットは普及する?―問題は導入コストと人間味

いくら官・民・学が協力して研究開発を進めているとは言っても、1台あたり数百万円というのでは導入できる施設や家庭は限定的です。さらに、高齢者だけで暮らし、在宅介護を行っている場合、ロボットを扱うのは高齢の介護者ということになります。その際、例えロボットを導入したとしても、「使いこなせるだろうか?」という不安を抱くのは当然のことでしょう。ヘルパーに訪問してもらった際にしか使えないのであれば、導入する価値が感じられないのは言うまでもありません。

また、“ロボット=機械=冷たい印象”ということにも一因があるようです。介護が現在のようなシステムになってからは、特にサービス業として成り立っている業界。そのため、「血の通わない、暖かみの感じられないロボット」を多く導入するのには、二の足を踏むところもあるようです。

ただ、今後も介護職の人手不足が解消されない状態が続き、さらなる研究開発によって量産されるようになれば、「もっと介護ロボットを活用しよう」という気運が高まるのではないでしょうか。介護ロボットがもっと身近になることで、介護者や介護職の負担が軽減されることを切に願います。

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