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介護保険制度は悪玉か

2015-06-29

ここ最近、財政から見た「介護保険悪玉論」が展開されていますが、果たして本当に介護保険制度は単なる財政負担なのでしょうか?

介護保険に期待する効果

財務省は4月の財政制度分科会にて、要支援1、2、要介護1、2の人を対象としたすべてのサービスを自治体の地域支援事業に移行し、訪問介護の生活援助と、福祉用具貸与・住宅改修サービスについては原則自己負担にするなどの案を提示しています。

経済財政諮問会議でも、軽度者に対する通所介護等を、2018年4月から地域支援事業に全面移行すべきと提言した。

ここ最近、このような財政から見た「介護保険悪玉論」が数多く展開されていますが、果たして本当に介護保険制度は単なる財政負担なのでしょうか?

確かに2000年に介護保険法が施行されて以降、介護給付費は右肩上がりで増えています。しかしながら、介護給付費の増加は制度創設時から既に分かっていたことであり、ではなぜ介護保険法を施行したかと言えば、下記のような効果を期待していたからではないでしょうか?

「介護保険悪玉論」に対抗するために

ここ最近の論調を見ていると、介護保険制度のデメリットばかりが強調されているような気がします。介護保険制度の目的の1つである「介護の社会化」という視点から見たとき、介護というこれまで家庭の中で完結していたものを社会でシェアすることによって、家庭に閉じ込められていた家族介護者を介護から解放し、社会に出てもらうという側面があったはずです。

では、どれだけの家族が介護から解放され、社会に出て働くことができるようになり、その人たちがどれだけの生産性を発揮しているのか、という評価をこれまでしてきたかと問われれば、答えはNOなのではないかと思います。

介護保険制度というものを正しく評価するためには、財政上のデメリットにのみ着目するのではなく、メリットにも目を向けるべきであり、介護に携わるあらゆる方々が先ほど

介護保険制度の経済効果は

日本総研の副主任研究員(当時)、矢野勝彦氏の「公的介護保険の経済効果」という論文では、下記のように介護保険制度の経済効果を試算しています。

現に下記記事のように、隠れ介護1300万人という現実があり、もし介護保険制度がなければ日本経済への影響は計り知れないものがあります。

ただし、介護保険制度の経済効果があるからと言って、無尽蔵に介護給付費を支出できるわけではないので、介護サービスの生産性向上は不可欠です。介護サービスの生産性向上の具体的事例については次回以降に詳しく書きたいと思います。

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