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介護殺人と介護離職を予防する「ケアラー支援」

2015-07-06

家族介護者による殺人事件が後を絶たない。ケアラー=家族介護者を支援する「日本ケアラー連盟」は、様々な不安を抱えるケアラーを支援し、残念な事件が1件でも減るように活動しています。ここでご紹介したいと思います。

「ケアラー支援推進法案」の制定を提言

日本ケアラー連盟は6月21日、同連盟が開催したフォーラムで「介護者支援の推進に関する法律案」の改定案(ケアラー支援推進法案)を発表しました。

法律案には、介護者の状況を把握し、適切な支援を実現するために「ケアラーアセスメント」を実施するなどの内容が盛り込まれています。日本ケアラー連盟は2010年に発足され、下記の結成宣言に基づいて活動している団体です。

悲惨な事件を1件でも減らすために

なぜ今、ケアラー=家族介護者支援なのか? それは、下記のような事件が後を絶たないからに他なりません。

これらの介護殺人事件は氷山の一角であり、過去17年間に把握できているだけでも672件の介護殺人事件が発生しているという現実があります。私自身も、現場で生活相談員をしていた際は、日々ご家族からのさまざまな相談を受けていました。

「在宅での介護が辛すぎて施設に預けたが、日々罪悪感に苛まれている」という方や、「ついイライラして親父を叩いてしまう」という方、「親さえいなければ、と思ってしまう自分が嫌いで仕方がない」などなど、在宅で介護されているご家族の悩みはさまざまです。

特に、在宅での介護というのは「終わりが見えない」ので、「いつまでこの生活を続ければいいのか。。。」という不安を、家族介護者が共通して抱えています。そうしたケアラー(家族介護者)の不安を解消するためにも、日本ケアラー連盟が提唱する「ケアラー支援推進法案」は大変意義のあるものだと思います。

専門職に求められる役割とは

同時に、家族介護者支援という視点から考えたときに、介護や相談援助の専門職である私たちはどれだけの機能を果たせているでしょうか? 高齢化は今後さらに進みます。核家族化もさらに加速します。要介護認定もこれまで以上に厳しくなるかもしれません。

そうした状況の中、私たち専門職はもっと積極的に地域社会に出ていき、家族介護者に関わっていかなければならないのではないでしょうか。介護殺人は極端な例ではありますが、大多数の家族介護者は、日々介護のことで悩んでいますし、中には無意識に虐待してしまっていたりするケースもあります。

そうしたご家族に対して、私たち支援に関する専門職は「家族介護者教室」や「家族会」といった”場”を地域の中に作っていく活動をこれまで以上に積極的に展開していかなければなりません。ケアラー(家族介護者)支援は、社会的(権利擁護)にはもちろん、経済的(介護離職予防)な面からも充実させていく必要があるのではないでしょうか。

私たち専門職も、当事者の方々の活発な活動と連携して、ケアラー(家族介護者)の方々の支援に向けて具体的に行動していきましょう。

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