介護保険法改正から見る今後

2015-07-20

平成27年4月より介護保険法が改正されました。その中で話題になったのは処遇改善加算と、いわゆる「軽度者カット 」でした。今回の改正から見る介護保険法の今後について、考察していきたいと思います。

「改正」という"改善"は功を奏したのか?

介護保険法が施行された2000年から15年の月日が流れました。その間、幾度も「改正」を重ね「改善」していっています。

今回の改正では介護職員処遇改善加算がI〜IVと4段階になり、介護現場の悪いイメージに対して「改善」を行いました。

さらに要支援者の介護予防サービスについて、その大半を地域支援事業に移行し、より重度の人へサービスを集中させ、効率化をはかる「改善」をしました。他にも所得別での2割負担の導入、特別養護老人ホームの入居要件の変更といった「改善」を行いました。

多くの「改正」という"改善"を打ち出した結果、今の実態はどうなのでしょうか。「待機者問題」として未だに存在する特別養護老人ホームの入居者待ち。その代替案の受け皿として登場し、多くが擬似特養となっている「サ高住」。要支援者を地域支援事業に移行し、ボランティア等の地域資源を活用するといった曖昧なビジョン。

本当に改善されたのでしょうか。私は改善されたように思いません。

それはまるで以前の措置制度と同じ

この改正の流れから見る"改善"を重ねた上での結末は、重度者への給付集中の名の元に、要介護4・5のみに限定され、さらに低所得者のみしか介護保険法は利用できないといった制度に向かっているように感じます。何か、似たものを感じませんでしょうか? そう、「措置制度」です。

措置制度下では役所が必要なサービスを決め、特養では限られた数しかなく競争意識のない施設へ入所せざるを得ない、デイサービスでは決められた施設に決められた回数しか利用できず、非常に選択幅の狭い介護といった環境でした。

契約制は変わらないでしょうが、介護保険法上の施設総数が給付費削減により減っていき、競争意識がなくなってきた介護施設を一部の低所得の人しか利用できなくなります。

競争意識がなくなるという事は、サービスの質の低下に繋がり、また施設総数が減ることで選択幅は減ってしまいます。こういった、以前の法環境と似た末路がまっています。

いったい原因はなんでしょうか。私はこの超高齢社会の為だと考えています。国民から国・地方に集める金と、国・地方から給付対象者へ出す金、介護保険法も極論こういった仕組みでできています。

この超高齢化社会で介護保険法では出す金が増え、国・地方では出す金も比例して増える。しかし集める金の主役である若手の人数も減っており、増えるどころか減る一方。そうすると、出す金を渋るか、集める金を増やすしかないのです。つまりこの現状は仕方のない事なのです。

解決策の一つとしては、多くの働き盛りの若者を外国から移民させ人口を変えるという非現実的な方法しかありません。

2つの打開策

ここで打開策を2つ提示したいと思います。

1つは今すぐ特養の入居者を要介護度4・5のみに限定し、今改正で2割負担になった人は入居できなくします。今の「養護老人ホーム」に近いもののみにします。さらにそれ以外の介護サービスの廃止(但し実費でのサービス提供は可、一部補助金を出す)をし、介護保険法を壊すという案です。実費での介護サービスは自由価格での市場とし、老健は医療保険の枠に入れます。

かなり反発のでる案ではあるでしょう。しかし直視すべきは、先延ばしにしようと介護保険法は壊れる。こういった事が待っているという「現実」なのです。

2つ目は「研究」することです。この介護業界は言ってしまえば、誰でも働くことができる業界です。多くの介護サービスが必要な時代が到来し、介護保険法設立によりサービス提供主体が急速に増加。リーマンショックの時には多くの人材が介護業界へ入り、そして離職率の高さも相まって、介護業界はキツイ・汚い・危険といった悪いイメージが一般化されていきました。

しかし介護は奥が深い。医療・衛生・看護など、多くの知識が求められるにも関わらず、業界として「研究」されていく姿勢が足りなかったと感じています。「研究」することにより何が起こるか。専門性が高まり、介護の地位を向上するのです。さらに介護の専門性を高めていく事で、出す金の比率を変えることができます。

先ほどの国・地方が出す金ですが、決して介護業界にだけ出しているわけではなく、様々な業界に割合を決めて出されています。この「研究」をすることの意義は国・地方の出す金の比率を上げることに繋がります。これが私の考えるもう一つの、そして叶えたい打開策です。

介護保険法の未来に向かって現場がすべき事

私が叶えたい打開策である「研究」していくことによる業界の地位向上ですが、その為には多くの要素が必要です。それは膨大に集められたデータだけでなく、学び・研究していく研究者というマンパワーも必要です。

しかし、そもそも介護業界全体にマンパワーが足りていないのです。必要なのは熱意ある若者だと私は考えています。「改正」により「改善」されていく介護保険法に右往左往するのでなく、多くの優秀な、熱意ある若者が「介護業界で働きたい!」と思えるよう魅力的にする事が、未来に向かって、現場が今、すべき事だと思います。

現場が、とあえて使ったのは経営者がこの業界の魅力を作っているのではなく、現場がこの業界の魅力を作っていると考えているからです。

この記事を読んでいる現場の皆さんは日々どのように、毎日を過ごしていますか? 少なくともこの記事に目を通している時点で勉強熱心な人なのだと思います。介護業界の主役は経営者でも株主でもなく、現場で働く人です。かくいう筆者も介護現場の人です。介護現場を輝かせるために我々が学び・研究していきましょう。

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