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介護の職場における真のやりがいは自立支援。「ありがとう」を返すこと

2016-01-21

介護は「ありがとう」と言われるやりがいのある仕事、と魅力を語る人が多くいます。しかし、さらに一歩踏み込んで、『自立支援』という観点から介護の仕事を見直してみると、介護職のほうから利用者さんに「ありがとう」を伝える。そのほうが本来の在り方ではないでしょうか? 介護の仕事に新しい地平を見出し、パラダイムチェンジを図ってみること。それが、新たなやりがいにつながるのではないでしょうか。

「ありがとう」を励みに働いている人が多い介護の職場

『介護の仕事』が世間では魅力のない仕事の一つとして認識されているのは、否定できない事実だと思います。しかし、そんなイメージがあるなかでも、『介護の仕事』を楽しんでやっている方が多くいるのもまた事実です。

『介護の仕事』を楽しんでやっている方に、仕事のやりがい、喜びは何かと聞くと、よく「ありがとう」と言ってもらえる瞬間、感謝をしてもらえることが喜びだという方が多いです。

私自身、その気持ちはよくわかります。些細なことでも、自分が行動したことに対して感謝を伝えてもらえることは、素直に嬉しいものです。

SEから転職した人の琴線に触れる、利用者さんからの感謝の言

特に、SEというお仕事をされていて介護に転職した方(私の知人にもいますが)の多くが、「ありがとう」と言ってもらえることに喜びを感じる、と話されるようです。実際にSEという仕事は、PCの画面を前に依頼された仕事を行い、完成すると先方に渡す、といったことの連続。自分がした仕事が顧客にどう活かされているのか、喜ばれているのか、あまり感じるタイミングがないようです。

ですからそういう方が、新しく介護の仕事に関わる機会を持つと、自分が行った仕事に対して、面と向かって即座に感謝の声をもらえる、そのことに喜びや達成感を感じ、仕事への興味が深まるそうです。こういった話を私は何度も聞いたことがあります。

介護の仕事の相手は、高齢者や障がいのある方など、生活するうえで何らかの手助けを必要としている人がほとんどです。その人の想いを知り、その人の生活のしにくい部分をフォローする。生活すべてが仕事の範囲になる介護の仕事は、実に幅広い領域をカバーします。

忘れてはならない「自立支援」の意味

そこで、忘れてはいけない介護の仕事における重要なキーワードがあります。それは『自立支援』です。

よく、介護の仕事は「〜してあげる」ことだというイメージが強いようです。しかし、なんでもかんでも「〜してあげる」という姿勢では、ただのお手伝いになってしまいます。

そこで介護のプロとして意識をしないといけないのが『自立支援』なのです。

その人の生活動作のどこに手が必要なのか。どこは自分で出来るのかを見極めること。さらには利用者さん本人が工夫したり違った視点で行動することで、自分で出来る手段はないのか、考えてみることが必要です。出来ることに手を出すことは、自立支援とはいえません。出来ていたことが出来なくなり、さらには「自分でできるのに……」というご本人の想いを潰すことにもつながる、そのことを忘れてはいけないのです。

出来ることは自分でやる。出来ないことや難しいことはどうすれば出来るのかを考える。そして出来ないと思われることはサポートする。それが介護という仕事だと思います。

本当に必要な支援は何か、それを考えるのが本来のプロの仕事

例えば、「食事介助を行う」といったケアがあります。ここでは、その人に必要な支援は何か、を考えていくことが介護のプロの仕事です。

食事をするという行為のなかには、さまざまな段階があります。その一つ一つの動きを割って考えていくのです。

『食事』には以下のような手順があります。

この行為のなかで、どこができてどこが難しいのかを見ていくのです。

もちろん一度の食事のケアだけでは見切れないかと思います。何度もケアに入りながら理解していきます。

上記の6つの段階のうち、出来ることは自分でやっていただく。出来ないこと難しいことだけサポートするのです。

これが自立支援に向けたケアです。

介護の仕事のパラダイムチェンジ。「ありがとう」をこちらから返す視点が必要

出来ることにまで手を出すことは、その人にとっての正しいケアではないのです。自立支援に向け、利用者さんの残存機能をしっかり活かしていくことが重要な視点です。

自分の力でやってくださったことや、出来ることを進んでやってくださったことに対して、介護のプロとしてすることは、感謝を伝えること。自分たちが利用者さんからもらっていた「ありがとう」を返すことです。

「ありがとう」をもらえる仕事から「ありがとう」を伝える仕事への脱却です。自立支援に向けて必要なことは、「ありがとう」を伝えることなのです。

「ありがとう」と言われて喜んでいた自分を思い出してみませんか? 「ありがとう」と言ってもらえたとき、「喜んでもらえた」と思ったり、「また自分が出来ることはしてあげよう」と思ったことはないでしょうか? そんな思いを利用者さんに感じていただくのです。

誰かに感謝されたい、または誰かの役に立ちたいという思いや、自分のことは自分でしたいという気持ちは、誰でもがいくつになっても思っていることなのです。そこに気持ちや行動をつなげていくことが自立支援に向けたケアには重要なのです。

出来ることをしっかりやっていただき、残存機能を活かす。そこで感謝の言葉「ありがとう」を伝える。その繰り返しこそが自立支援につながっていくのです。

『介護の仕事』を、「ありがとう」を伝える仕事へと昇華させていきませんか?

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