何のために介護をしているのか? 現場での理念共有がカギに

2016-04-28

入居型の施設などにおいては、発言力の強い看護師などの発言に、現場が左右される傾向が強いが、そもそも本意でないケアのやり方に無理やり従うより、日ごろより看護師をはじめ、管理者、現場のリーダーたちが、何のために介護をしているのか、理念や方向性を共有しておくことが重要だ。「軸」がぶれてしまっては、利用者にも困難が生じ、居やすい「場」は提供しにくくなる。

入居型の施設では、看護師の考え方に現場が左右されやすい傾向が……

介護現場の中でも入居型の施設では、特に看護師の考え方に現場が左右されることが大きいように思います。

たしかに看護師は、とても重要な立場にあると感じます。

介護と医療の架け橋となる立場として、フラットで柔軟な考え方を持っていてほしいですし、ファシリテーターのような立場になってもらうのが理想ではないかと思います。

リスクに対する考え方や、生活を支えるという観点からいうと、施設看護師に求められることは、わかりやすいビジョンをいつでも事業所内で共有できるようにすることが、欠かせないように思います。

ともすれば、リハビリや地域との接点をつくる際にも、動かすことでリスクにつながるなら、歩けないままでいたほうがいいとか、風邪がはやっている時期だから外部との接触は避けようなど、提供する側の視点で、できるかぎりリスクにつながりそうなことを避ける傾向があるのは事実ではないでしょうか。

その考え方を看護師が強く持っていたとすれば、現場の司令塔のような存在であるその看護師次第で、介護現場は大きく方向性を左右されてしまうという現実があると考えます。そのような発想の看護師が中心にいるような介護現場では、介護職のモチベーションの向上はもちろん、自立支援や地域に開かれた事業所づくりからはさらに遠くなっていくことが明らかです。

理念や方向性を共有し、軸をぶらさないようにすることが大切

もちろんリスクは避けられるに越したことはないのですが、何が今の事業所にとってのリスクなのか? 今一度考えなおすことが求められるのではないかと思いますし、看護師はもちろん、管理者を始め、現場のリーダーたちが、何のために介護をしているのか? 理念や方向性を共有し、同じ方向へ向かっているという軸をぶれさせないことが大切ではないかと思います。

また、介護現場では思わぬ場面で事故につながることが多くあり、その点についても、事業所の方向性やあり方が問われるように思います。よくありがちな家族とのトラブルとしては、事故の対応などにおいて、考え方や情報の共有ができていなかったことで生じる認識のギャップです。

転倒事故が起きたときにも、事前に、家族にご本人の「自由に歩きたい、それで転倒しても自分のペースで過ごすことを重視したい」という希望を伝え、理解を促しておけば、トラブルが避けられた、ということもあります。

日ごろから家族との連絡を怠らず、状況を伝え、リスクが起こりうることも想定した上で、ご本人の意志を重視してサービスを提供している、という事実を共有していくことが欠かせないと思います。トラブルや事故が起きたとき、何より大切なのはご本人の意思と、ご家族への理解、その後の対応、これがすべてと言ってよいかもしれません。

医療依存度の高い方が増える施設においては、介護職の力量がますます試される

今後は特養や有料老人ホームなど、入居型施設においては、ますます医療依存度の高い方中心の体制が与儀なくされると思われます。

看護師が常駐するような施設であれば、介護度の高い方と自立度の高い方のどちらも共存する中で、管理することと自由な裁量にゆだねられることを、きちんとすみ分けて考える必要があると思いますし、その方向性を理解した上でケアを提供できる視点が欠かせないように感じます。

介護職は、家族との情報共有と連携をはかっていきながら、ご本人にとってより自分らしく過ごせる環境をつくれるよう、後押しする存在である必要がありますし、バランスやメリハリをどうつけていけるかが、これからますます試されるのではないかと感じています。

地域に本当の意味で求められる事業所になるためには、ご本人を中心に、関わる周囲の人間との理念の共有を怠らないことがやはり大切ではないかと感じています。

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