介護職の離職の原因のひとつに挙げられるのが、職場での人間関係だとよくいわれます。職員間のコミュニケーションがうまくいかないと、よい職場環境は生まれません。管理者・経営者の立場から、具体的にどういうことに気をつければ、よいのか考えてみました。
現場の管理者として取り組んでいる、職員間のコミュニケーション。
管理職である私たちが業務上してはいけないことは、職員の仕事の管理と思考の管理だと思います。
管理者が、「自分の思うままに部下に動いてもらいたい」などと意識しながら、職員と関わることによって引き起こされるのが、仕事に対する意義の喪失と離職です。
むしろ、現場の上司やトップが行わなければならないのは、職員のモチベーションの管理と自己実現だと考えています。
だからこそ、大事なのがコミュニケーションですね。
コミュニケーションで大事にしているのが、「なぜ?」をしっかり聞くことです。
「なぜそう思うのか?」「なぜそう考えるのか?」など、根拠となる部分をしっかり聞くことです。
行動や行為の根本にある部分をしっかり把握することを大事にします。
見ただけや、聞いただけで根拠を確認しないでいると、誤解が生じてきます。また、根拠を聞くことでその人の考え方や思考傾向を知ることができます。
その他にも、意識していることがいくつもあります。例えば、
上記に挙げたものは、どれも話し手の話す気を失わせる行動になります。しっかり聞く、受け入れているという姿勢を忘れないようにしています。
こんなことを言う上司の方いませんか?
「なんでも相談してくれ……」と。でも、相談しにくい。
「部下は自分に相談しない奴ばかりだわ……」と言ってしまって、自分から距離感をつくり、それを縮めようとしない。
両者ともに、本人は受け入れる姿勢でいても、部下にそれが伝わらないのです。
部下からすると相談できないし、「しない」という流れができ上がってしまって、コミュニケーションが取れない。そんな現場だ、という認識になっています。
もし心当たりがある方は、お気をつけください。
日々のコミュニケーションをとる上では、以上のようなことを特に意識しながら会話を楽しみ、職員と関わっています。
さらにもう一つ、大事にしているのは自分の我を出さない、やり方を押しつけないということです。職員のやる気、モチベーションを維持したり、高めるためには、職員のやり方に任せる。その上で行動責任を持ってもらう、ということを重視しています(もちろん最終責任は、管理者である自分が取りますが)。
日々のコミュニケーション以外に、組織の一員として動いていく上で大事なことは、明確なビジョンを伝えること。これもコミュニケーションのひとつと言えるでしょう。
どんなことを目ざしているのか、日々の行動や仕事を通してどんな未来を描いているのかを言語化して伝えます。しっかり相手に伝わる言葉で話すことが、当たり前ですが大事なことです。
また、個々人に期待していることについても、明確に伝えます。一人ひとりの能力を把握して、強みや興味を理解した上で、その人にどんなことを求めているのか。どんな点で輝いてほしいのかを伝えています。
明確な行動目標やレールがあると、人は歩きやすいのだと思います。
また、職員が集まるようなときには、個々の職員の素敵なところを伝えたりもしています。
「Aさんは、利用者さんへの声かけのしかたがとても素敵だね」
なんて、一人ひとりの素敵なところを本人に伝えながら、周りのフタッフにも同僚の評価できるところを共有し、あわよくば真似してほしいというような流れを作っています。
職員は、一人ひとり違った個性の持ち主ですから、そこを理解し、個性が強みになるようにコミュニケーションを使って、意識づくりや環境づくりをしていくと、とても居心地の良い職場になっていくのではないでしょうか。
言葉って、時に人を傷つけることができる武器にもなります。
しかし、人を喜ばせる力にもなりますよね。
使い方によってまったく効果が変わってきてしまいます。受け取る側がどんな気持ちになるのか、という配慮を元に、言葉を選び、しっかり思いを伝えていくことが重要な鍵となると思います。
あなたの言葉で多くの方が力をもらい、喜ばれるような環境をつくっていってくださいね!