気持ちの良いコミュニケーションのために

2017-11-02

「あの人と話をするの、なんだか苦手だな……」ただ会話をするだけなのに、人によって苦手意識を感じてしまうのはなぜでしょう。介護現場では日々、さまざまなコミュニケーションが酌み交わされます。利用者の方とはもちろんのこと、介護職員同士においても、密なコミュニケーションを取り合うことが必要不可欠です。気持ちの良い会話・気持ちの良い介護を行うために、コミュニケーションにおいて「大切にすべきこと」について考えてみました。

無理難題に対しての応え方 〜折衷案や対案を提示する〜

ご利用者の方から何か頼まれごとをされたとき、もしそれが難しい案件であったら、どのように答えるべきでしょう。

例えば、「足が痛むから、明日病院に行きたいんだけど、連れて行ってもらえない?」とご利用者から頼まれたとき。職員の勤務都合上、急な調整が難しい。さらに、足の痛みは毎日おっしゃっている神経痛であり、これまで何度も医者から診察を受けている……。

その方に対して、「すみません明日は無理です」とか、「足が痛いのは病院に行っても何も変わりませんよ」なんて、言ってしまおうものなら大変です。

病院に行きたい願いを否定され、足の痛みも否定され、痛い思いをこのまま我慢し続けなさいと言われてしまったかのような、大きなストレスが発生します。

職員を信頼しているからこその頼みごと。それを真っ向から否定されてしまうのは耐え難いことです。

コミュニケーションにおいて、最もやってはいけないことの一つは『頭ごなしの否定』かと考えます。たとえ無理でも無理と言わない。言い方を変え、対案を示すことで受け手の印象は大きく変わります。

「わかりました○○さん。足の痛みは辛いですものね。調整してみますので、少し時間をください」

「すみません、調整をしてみましたが、明日は難しそうです。先日お医者さんが言っていたように、湿布を貼り様子をみても良いかもしれませんが、どうでしょう?」

やってはいけないことその1 〜話に対して否定から入る〜

ご利用者に対し、話を頭から否定するということはそうそうないでしょうが、これが職員同士となると話は変わり、意外と多く見受けられるかもしれません。

ある新人が「先輩、○○様の移乗介助ですが、ご本人の力をもう少し使っていただけたら、介助方法をよく変えられそうな気がするのですが、どうでしょうか?」と相談する。

これに対し、先輩から頭ごなしに「あぁ〜無理無理、○○様は力が全然ないから、今の方法じゃないと無理だよ」と言われたら、残念な気持ちになりますね。

自分の意見が否定された。考えが間違っていたのか。○○様に可能性はないのか。ケアを考えることそのものがだめなのか……。

このようなことが何回も繰り返されると、後輩職員はストレスが溜まるだけでなく、この先輩に対して「話をしたくなくなる」可能性が出てきます。そして「前向きなケアを考える」ことをやめるようになってしまうかもしれません。先輩に悪気はなくても、話しかけられたことについて「否定する」ということは、両者の間に亀裂を生んでしまうということなのですね。

「なるほど。いいかもね。○○様の力を発揮してもらうために、まず何から始めようか」

「その提案、自分では何とも言えないから、他の職員とも相談したいな。ちょっと預かってもいい?」

やってはならないことその2 〜話を遮る・主導権を奪い取る〜

コミュニケーション中に、話を遮る(さえぎる)ことは、さらに気をつけなければならない、やってはいけないとことです。

一方が話をし始めた序盤に、聞き手が「あぁ〜その話ね、知ってる知ってる」「あ、その話ね。こういうことでしょ?」と話を遮断し、話し手から発言を奪ってしまうようなこと。

話し始めの序盤に遮られてしまうと、言いたいことを相手に取られてしまい、これもまたストレスを生みます。自分の言葉で言わせてもらえない、ひいては伝えたい内容も違ったふうに解釈されてしまうかもしれません。

10の話をするために、1,2,3……と経緯に関するロジックを組み立てている最中に、横から突然10のことを言われてしまっては、本題のニュアンスが正確な道すじから逸れてしまうことも生じ、危険です。

そして、いちばん厄介なのは、「否定」と「遮る」をダブルで行ってしまうこと。

話しかけられた序盤に「あぁ〜、その話知ってるよ。無理無理、残念だけどそれはだめなんだよ」と、ピシャリ。ここまで来ると悪意すら感じてしまいます。

介護現場のコミュニケーションで必要なのは「対話」です。

一方的に話の主導権を握る必要など元よりありません。相手の思いをまず表現してもらい、聞くことに徹する。ご利用者への傾聴ケアと、職員間のコミュニケーションは似ていますね。

コミュニケーションの肝は「対話」 聞き上手は話させ上手であるべき

思いや悩みを打ち明ける側は、「答え」や「解決」を求めているというよりも、話を聞いてもらえるだけで満足感が得られる、という人も少なくないのではないでしょうか。

解決策や答えは、急いで出さなくてもよいでしょう。まずはじっくり話を聞くこと、聞く姿勢を見せることが、「対話」に必要ではないでしょうか。簡単なことのようで、意外と難しそうです。

というのも、筆者の私自身も、かつて「話を遮る病」に犯されていました。厳密に言うと、話に対して「相槌のタイミングが早過ぎる」という症状だったのです。

否定的な文句は言わなくとも、相手の話に対し「うん、うん、それで? はい、あぁ〜、はいはい。だよね。うん、うん……」と、話の区切りごとに、喰い気味に相槌を入れ過ぎるという厄介なものです。私自身、そんな気はまったくなかったのですが、聞き手からすると「話のリズムが狂い、遮られている」となります。

ある介護職員向けの研修で、他施設の方と対話のシミュレーションをした際に、そういった私の癖を見抜いてもらい、気がつくことができました。

そう、この「話を遮る病」は恐ろしいことに、自覚症状がないのです。他施設の方だったから、言ってもらえたのかもしれません。見知った仲の職員からは、このような指摘もなかなか難しいと思います……。

介護は、人と人とのコミュニケーションによって成り立つもの。

今回は、コミュニケーションにおいて起こり得てしまう不協和音を言語化してみました。介護現場が上手く機能しなくなることのないよう、この記事が少しでもお役に立てば幸いです。

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