介護・福祉職が受ける研修の捉え方

2018-04-05

福祉に関する研修・勉強会などさまざまな受講機会がある中で、自らの職場だけではなく外部の研修等にも触れることで、見識が深まりスキルが向上したり考え方の幅が広がったりと、得るものは大きいでしょう。研修で得た知識を職場に持って帰り、劇的に現場を変えることは果たしてできるでしょうか?

内部研修と外部研修

老人介護施設などでは、職場における研修が定期的に行われているケースが多いと思います。例えば、職場内で委員会などを設立し、講師の役割も職員が担うことで、自らのブラッシュアップの機会ともなり、講師になる職員自身のスキルアップにもつながります。

人に物事を説くということは、自分自身の理解を深めておかないとできないことで、説得力に欠けてしまいます。職場内でかつて、「こういうふうに考えるんだよ、そうすればこうなってうまくいくからさ」というように、ラフな抽象的説明でこなしてきたことも、いざ自分が講師の立場になると、根拠に基づく丁寧な言語化が求められます。そしてこれは、「他者に話をする」ための、またとないトレーニング機会でもあります。伝える側と受け手側、両者に旨味が出て、スキルアップ制度としても、とても効率がよいように思われます。

一方、内部ではなく外部、市区町村や自治体などが主催する研修に赴くケースや、外部から講師を招待して行う研修もあります。これらの最大のメリットは、市区町村や自治体、他の法人の考え方や価値観を知ることができる点ではないでしょうか。職場が違えば、職員の環境や建物のハードが違います。別の世界での介護技術の工夫や、職員同士のフォロー体制など、参考にすることができます。また、他の場所での体験談などを聞いたとき、「その経験わかる〜」と共感したときの気持ち良さったらありません。

どの職業にも当てはまりそうですが、同じ職場に長く勤めていると、思考が煮詰まってしまい、物事の考え方が凝り固まってしまいがちで、ストレスにも直結します。内部の研修もよいですが、時には外部研修、外の空気に触れることも必要かと感じます。

学んだ知識を、明日からどう活かす?

研修や勉強会を経験し、学んだことを、さあ明日からどのように自らの職場に活かせるか?どう変えることができるのか?が問題です。

研修や勉強会直後というのは、モチベーションが沸々と向上しているものです。自分の職場の問題点や課題が次々に浮かんできます…。研修に出る、ということは、職場の勤務シフトに穴を空けるケースが多いので、研修を受けたという事実だけでも十分重みがあって、なんとかして研修内容を活かしたい、と責任感が芽生えるのは当然のことです。

しかし結論から言うと、いくら研修で良い介護技術を学んだとしても、明日から現場を突然ガラリと変えることはできません。というより、むしろ突然ガラリと変えるべきではないのです。

介護・福祉という職業は、一人で行うものでなく、他の職員とのチームケアで成り立っています。研修を受けた個人だけが、チームケアのあり方を変えたり、変えようとするのは危険です。

研修で学んだ「理想」は、往々にして、自分の職場の「現状」とは乖離しているものです。さまざまな背景・課題について考えあぐねている現状を変えるためには、まず何から始めればいいのかを探ることが肝心です。

以下3点にポイントをまとめてみました。

(1)まずは自分の職場の現状を俯瞰してみる

(2)取り急ぎ、何から始められるのか?

(3)モチベーションの熱は絶やさない

研修の成果を焦らない。それは後からついてくるもの

そもそも、介護・福祉の働き方において、一発逆転ホームランなどねらうことは望ましくありません。たとえ研修講師から「ズバン」と心に突き刺さる内容を放り込まれたとしても、いきなり打ち返すのではなく、まずは内容を噛みしめることが必要ではないでしょうか。

新しく知り得た技術や知識を職場に当てはめるためには、ある日突然やり方を変えるのではなく、変革に至るまでに積み上げるプロセスが大切です。職場をより良く変えたいのであれば、研修で得たものは一度胸に置き、地道にコツコツと地盤を固めることです。研修はそのための単なるきっかけです。

変えるために要する期間は、抱える課題によって違うでしょう。1ヵ月〜2ヵ月・・・場合によっては年単位かもしれません。それらの期間にどう進めるかによって、研修成果の充実度が変わってくるものと思われます。

ある程度の年月を経て「あぁ、あのときの研修で言っていたことは、こういうことだったんだな」と振り返ったときに初めて、研修で得たことが役に立ったといえるのではないでしょうか。

結果だけを追い求めると失敗し、経過を重視し、積み上げることが求められます。この考え方は、「福祉」「人間関係」においてとても重要なことであると感じます。これが、筆者が感じた研修の捉え方です。

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