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介護という仕事について

2016-07-25

介護保険制度のスタートに合わせて、たくさん介護のプロが養成されました。「介護の仕事」というものは、大きく2つに分けられると思います。それは、在宅介護と施設介護。今一度、その仕事の本質について考えてみましょう。

在宅介護

まずは、在宅介護について考えます。通所介護、いわゆるデイサービスも在宅介護に区分されますが、ここでは自宅内での介護「訪問介護」について見ていきましょう。

訪問介護、すなわちヘルパーが訪問して介護を行うのは、独居や老人世代とは限りません。同居家族がいても、必要であれば訪問して介護します。介護保険制度では「して良いことといけないこと」が細かく決められており、なにかと四角ばった介護になりがち。しかしそれでも、介護のプロとして気持ちよく在宅生活が送れるよう配慮して行動します。

訪問は契約によって開始され、訪問時刻や滞在時間、支援内容が決められています。そのため、頼まれれば何をしても良いという訳ではありません。ですから訪問開始から暫くは、「あら、堅いのね」などと言われ、気まずい思いをすることもあるでしょう。それでなくても見ず知らずの他人が家に入り何かといじるのですから、たとえ必要なことだと分かっていても、窮屈に感じるのは仕方のないことです。それでも利用開始から2〜3ヶ月経つうちに、いつでも決まった時刻に来て面倒な顔もせず、きっちりと仕事をするヘルパーに、安心感を持っていただけるようになるでしょう。

利用する方は、はじめのうち「こんなこと、わざわざお金を払って他人に頼まなくても」「娘がいるのだから、嫁がいるのだから」などと思うことでしょう。しかし娘や嫁にもそれぞれの生活があり、そう頻繁に親の所へ出向く訳にはいきません。その点、ヘルパーは定期的に訪問し、必要な手助けできるわけです。

しかしそこまで。先にも述べたように、何でもできる訳ではありません。緊急時に駆けつけたり、余暇を楽しんだりするといった部分は、家族に頼ってもらわなければならないのです。

ヘルパーの役割

決められたことをきちんと行う。それ以外にも、ヘルパー特有の役割があります。まずは「異変に気付く」ということ。定期的に訪問していますので、いつもの利用者の様子を見ています。そして不特定多数の方と関わっていますから、大多数の高齢者について傾向を知っているでしょう。比べる対象をたくさん持っているため、高齢者特有の、例えば「発熱しない肺炎」等にも気づきます。

次に、同じ話をにこにこしながら何度でも聞きます。忙しい時間を工面して訪れるお子さんや、他の高齢者とあまり関わったことのない人たちは、同じ話を何度も聞かされると、たとえそれが認知症的な繰り返しでなくても「何回も聞いたよ」と感じてしまいがち。しかしヘルパーは、訪問する度に同じ話でもそうは言わずに聞きます。これは、仕事だからこそできることでしょう。

在宅での介護、ヘルパーの得意とする部分とできない部分。そして、家族だからこそできるところを組み合わせながら、上手く支えてゆけたらと思います。

施設介護

在宅介護と比べて、施設での介護はまた全く別の区分だと言わざるをえません。もちろん、施設といっても型はさまざまです。ここでは、介護保険制度による特別養護老人ホームを挙げて考えていきましょう。

施設介護は、当然ながらひとつ場所に何十人という人が集められています。そしてその方々は、全員が生活において何らかの手助けを必要しているのです。中には、全てのことにおいて自力では生活できないという方もいるでしょう。つまり、

「自分では食べることができない」

等といった方々を365日・24時間、決められた職員数でお世話するわけです。そのため当然ながら、1日のスケジュールはあらかじめ決まっています。また、1年のルーティーンもほぼ決められているでしょう。自宅にいる時のように好きな時間に起き、食べたい物を食べるという訳にはいきません。毎日決まった時間に起きて(起こされて)、出てきた物を食べ、決まった曜日の決まった時間に入浴する。そして、決まった(決められた)時間に就寝します。

これは、とても特質な空間での生活だと感じずにはいられません。しかしそれでも、24時間にわたり職員が安全を確保し、医療との連携が図られ、バランスのよい食事がそれぞれの食事能力に合わせた形で提供されます。例えば咀嚼能力が衰えている方には軟らかい物を、嚥下に問題のある方にはトロミ食をといった具合です。

さらに服薬についても看護師が常駐し、漏れや間違いがないように管理されます。在宅生活のように、のんびり気儘な生活は望めません。しかし、随時見守りが必要な状態の方にとっては、とても安全な生活空間となるわけです。

在宅介護でも施設介護でも、大いに評価できる部分と幾分物足りなさを感じる部分があります。また、家族だからできることと、プロとして力量が発揮できることも両方あるでしょう。これらのことをよく理解し、また、理解していただいたうえで、現在の状態でどのような介護のかたちが最良なのかを判断する。そして、少しでも「楽しい」と感じられる生活をしていただくことが、介護の仕事の原点だと考えます。

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