高齢者特有の身体の変化

2016-08-22

歳を重ねると、身体が鈍感になります。例えば普段行っていない運動をした時、筋肉痛が翌日ではなくその後になったりするというのはよく聞く話。このような症状は多少の個人差はあるものの、さまざまな部分で現れます。長い間にわたり高齢者の方々と関わってきたんかで、「まさか」「なるほど」と感じた経験は多くありました。ここで取り上げるいくつかの事例を、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

肺炎になっていても発熱しない

なんとなく元気がなくて食欲もないので、まずは熱を計ってみる。すると平熱なので、風邪を引いたというわけではなさそう。「少し様子を見てからお医者さんに行ってみよう」と1〜2日経ったものの、やはり元気はなく、食べていないためなのか足取りもフラフラしてきてしまいました。「点滴でもしてもらえば良くなるかもしれない」と受診したところ、なんと肺炎によって肺が真っ白な状態に……。過去、このようなことは何度か経験しました。ここから入院して治療が始まりますので、体力のない方は残念な結果になってしまう場合もあります。

このような肺炎の原因は、「誤嚥」によるものが多いことが高齢者の特徴です。嚥下反射が悪くなり、肺に食物等が入ってしまうことで肺炎を発症してしまいます。風邪の症状が見られないため、気づくのが遅くなって重症化してしまうのです。

骨折していても痛くない

転んだ際に手を着いてしまい、手の甲の骨が折れている。それにも関わらず普段と変わらずに物を持ったり、洗濯物を干すときに「パンパン」とシワを伸ばしたり。この方は認知症がかなり進行してしまっているため、ごく稀なケースです。全く痛みを感じないというわけではなく、例えばトイレに行ってズボンを上げ下げする場合などは、「痛くてできない」と仰いました。それなのに、食事でトレーを持ったり、「やるぞ!」と意気込んで洗濯物を干す作業をしたりする際には、痛みを感じなくなってしまうのです。これには、整形外科の医師も「不思議だ」と言っていました。

そんな具合ですから、治療のための装具やギプス、湿布剤などは何も着けていられません。長い時間をかけて、自然に骨がつくのを待ちました。

慢性硬膜下血腫

硬膜下血腫には急性と慢性があります。それぞれの症状等については医学的な内容なのでここでは控えますが、高齢者に多い「慢性硬膜下血腫」について触れてみます。

症状は認知症によく似ており、物忘れが酷くなったり、言葉がハッキリしなかったり。あるいは、歩行時にふらつくといった症状があります。高齢ですので、家族は「いよいよ認知症の症状が出始めたのかしら」と放置してしまう場合もあるでしょう。しかしこの病気では、硬膜下に溜まった血腫を除くことによってほぼ完璧に症状が改善されます。そのため、急にこのような症状を感じたときには、まず疑ってみてください。

その原因の多くは転倒です。そして症状は、頭を打ってから数週間〜2ヶ月ほどで現れます。強く頭を打っている場合は急性ですぐに症状が現れますが、「コツン」とぶつけただけという際には、本人も周りもあまり心配せずに過ごしてしまいがちです。しかし脳の中でごく僅かな出血が起きており、それが時間をかけて脳内を圧迫して症状が現れるのです。

私たち訪問介護員は、訪問先の高齢者が「転んじゃったよ」と仰った際、その日の記録に記録して約2ヶ月間の状態を観察します。このことにより、症状が出てすぐに血腫を取り除けたという経験をしました。転んですぐにはCT撮影しても写らないので、この病気は判明しません。少しずつ流れ出た血液が悪さをするまで手だてがない。これは残念なことですが、知識として持っておくことは大切なことでしょう。

血圧が下がる

医学的にはさまざまな意見がありますが、中年になると血圧が高くなるというのは一般的に言われています。血圧、それは血管にかかる圧です。中年になると血管の内壁にヘドロ(コレステロール等)が溜まり、血管の内側が狭くなります。そのため血液が通りにくくなり、血圧が上がる……簡単に言えばそんな原理です。

そこで無理矢理に血管を圧迫しないように、血液をサラサラにする薬を使って血管にかかる圧を下げ、血管が破れたり詰まったりしないようにします。そしてこの薬は、一度飲み始めたら下がったからといって止めてはいけないと言われています。しかし先日経験したのが、これを止めなければならないというケースでした。

86才女性、長年にわたり血圧を下げる薬を飲んでいますが、デイサービス利用時に血圧を測定したところ最高血圧が100を切っていました。そのことを家族に伝え、次の受診の時に医師に話してもらったところ、その薬はしばらく飲まないということになりました。

血圧は下がり過ぎると、意識がなくなることもあります。高齢者には特にどこが悪いというわけでもなく、定期的に受診、または薬だけもらいに行き、長い間同じ薬を同じように服用している人が少なくありません。血圧は高齢になって心臓のポンプの働きが弱くなれば、流れる血液の勢いが弱くなり下がる傾向にあるもの。それに気付かず飲む必要のない薬をのみ続けている人が少なからずいるはずです。

これは、超高齢化社会がもたらした現象と考えます。人生60年とまでは遡らないまでも、寿命がここまで延びる前には、思いもよらないことが起きているのです。そんな体の仕組みや変化も知識として身につけ、現場で少しの変化にも気づける仕事ができたらと思っています。

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