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介護ってなんだろう……

2016-12-06

ふと、介護という言葉の意味について調べてみました。すると、まず出てきたのが「障がいのある人に生活上のお世話をすること」という説明。その意味を、いろいろな方向から考えてみます。

さまざまな障がいの種類

「目が不自由」「耳が不自由」「歩行が不自由」といった身体的な障がいは、「身体障がい」と言われます。それに対して、ダウン症や自閉症のように知的障がいと言われるもの、パニック症候群や統合失調症などの精神障がいもあります。介護現場では、このような多様な障がいを持つ人々に対して生活上のお世話をするのですから、その内容は大変に広くかつ深くなっていくでしょう。

また、介護と医療を比べたのならば、医療は治療を行う部分に特化され、ほとんどの場合は治癒を目的としています。そのため、ある程度その期間は限られているでしょう。これに対して介護は、生活する全ての場面がその活動の場。期間も区切れるものではないという特徴があると思います。

介護保険制度が施行されるまで、介護は個々の家の中で家族により行われるべきものでした。何らかの事情があった場合にのみ、行政の措置というかたちで社会資源が活用されていたのです。しかし時代が進むと社会が変化して、生活を営むという事に対する考え方や取り組み方が変わってきました。核家族化が進んで少子高齢化が訪れ、障がいをもっている人をその家族だけで支える事は良くないという考えになり、障がいをもっている人も含め社会の一員として暮らせるシステムが構築。以前は措置として行われていた障がい者への福祉も介護保険優先となりました。介護保険第1条には「加齢に伴って生ずる心身の変化により……」とありますが、特定疾患により認定試験された場合、40歳以上は介護保険の対象となります。

在宅介護と施設介護

介護職員は、さまざまな障がいを持つ方たちのお手伝いをします。介護保険制度において介護は「入浴、排泄、食事等の……」とあり、細かい部分についてはケアマネジャーを中心に支援内容が決定。計画を立て、その計画に添って介護サービスが行われる流れです。介護には施設介護と在宅介護とがありますが、ここではまず在宅介護について考えてみましょう。

介護が必要な状態であっても、在宅で暮らしている方は、施設に入所されている方と比較すると介護度は軽い方が多いでしょう。これは当然のことです。それでは介護度が低い方は、介護するのが楽なのでしょうか? そもそも介護が大変かそうでないのかの判断は、その仕方がさまざまで比べようがないという思いもあります。

例えば自宅で暮らしていたとしても、「要介護5」の認定を受けた方がいます。その方々はほぼ寝たきりであり、食事・排泄等は全介助。そして、中には胃ろう増設の方もたくさんいます。このような方の場合、ベッドから落ちたり行動中に転んだり、あるいは誤飲・誤嚥等の危険も全くありません。しかし発語がなく意思の疎通もありませんので、身体的な変化に対して介護する側の観察と注意が介護の大きな鍵となります。

それに比べて「要介護1」「要介護2」といった状態の方は、「行動力はあるが認知力がない」といった状態が多いでしょう。歩けるので、例えば外に出ていってしまい帰って来られなくなるといった心配があります。調理はするものの、しばしば鍋を焦がしてしまい火事の心配がある。金銭感覚がなくなってしまい、どんな物にでもお金を払ってしまう。あるいは、要求されれば何度でも支払うといった、生活上の不安が浮上してくるのです。もちろん「どちらの介護が大変なのか」ということは、一概には言えません。

次に、施設介護を考えてみましょう。施設への入所者は、在宅で暮らす方々より介護度が重いことが多いでしょう。寝たきりの方ならば栄養状態の悪化や心肺機能の低下といったリスクが高く、また、歩行可能な方であれば、認知機能が一段と低下している方が多く見られます。時間の流れや今の季節、自分がどこにいるのかといったことが判断できない方々が、そのほとんどと思って良いかもしれません。そうした方々に対して、1日3回の食事提供や定期的な入浴、運動機能の低下防止に向けた取り組み等を行います。

介護とは、作業が全てなのか?

在宅介護と施設介護、それぞれの施設で行われる内容等について述べてきました。では介護とは、こういった作業が全てなのでしょうか。

長い間にわたり介護という仕事に携わってきて、介護の重要な部分は作業ではなく、気持ちなのだと考えるようになりました。介護は障がいを持っている方に生活のお世話をすることですが、同じような障がいであっても、いつ・どのような原因で障がいを負ったのかによって、して欲しいことや方法に違いが出てきます。例えば足が不自由で歩行が困難になったのは生まれつきなのか、それとも子どもの頃か、年をとってからなのか。こうした背景によって、希望する介助方法が違ってくるのです。

これと同じく、どんな声掛けが心地よいかも変わってきます。「手引き歩行が必要です」といったニーズに対して、どのような体勢での手引きが最善なのかは、実際に関わってみなければ分かりません。また、介助する側もされる側も、最初は誰もがぎこちないもの。少しずつ時間をかけて、心地よい方法を見つけていくことが必要でしょう。このように考えたとき、介護で一番大切にしなければならないのは「寄り添う気持ち」なのだと思うのです。

在宅介護の場合は1対1で対応できますが、要望が多岐にわたり戸惑うことも多いでしょう。施設介護の場合、一人で何人もを担当する責任に負われ、行き詰まってしまうことがあるかもしれません。それでも介護のプロとして、日常生活のお世話は「作業」ではなく「役目」なのだという気持ちを持つこと。そして、温かい寄り添う心で介護にあたりたいと思います。「介護って何だろう?」と考えたとき、私には「寄り添うこと」なのだなと思えてなりません。

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