サービス提供責任者の仕事

2017-07-07

サービス提供責任者とは、介護保険制度設立時に設けられた職業。 在宅介護というと訪問介護(ホームヘルパー)とケアマネジャーが要というのが一般的です。しかしヘルパーステーションを開設するには、このサービス提供責任者を置かなければなりません。ではいったい、どのような役割を担う仕事なのでしょうか。

サービス提供責任者という存在

ヘルパーステーションでは人員配置基準が利用者の人数によって定められており、現在、その資格はほとんどが国家資格である介護福祉士となっています。ここで「現在は」と言いますのは、介護保険制度スタート時にはヘルパー2級・3級であっても実務経験により認められていたものの、制度が進むにつれてより高い専門性が求められるようになり、徐々に移行されていったためです。

その職務内容は、在宅で生活している高齢者や障がい者の方々へ訪問でのサービスを提供するにあたり、契約やモニタリングなど実に多岐にわたるもの。ここで流れに添って、少しだけ業務を照会させていただきます。

ここまでは利用者に対する業務です。その他に、ヘルパーの資質の向上に向けた取り組みや日々のシフト(勤務表)の作成、急なサービス変更等の連絡や調整といったもの、 毎月のレセプトや国保連への請求業務などまで及びます。

利用者一人ひとりの状態の把握はもちろん、訪問するヘルパーの個性や特性にまで目を向けて、業務がスムーズに行われるよう注意を払わなければなりません。そうして、利用者の生命と生活を支えているのです。

このように、訪問介護を行ううえで重要な役割であり、介護保険制度上でもなくてはならない職業。それにもかかわらず、現場ではあまり存在感のない職業になっているような気がしてなりません。いったい、それは何故なのでしょうか。

ヘルパー自身が立場を下だと考えている

さまざまな場面で、他事業所のサービス提供責任者の方々と接する機会があります。その中で、どうもケアマネジャーとの関係に問題があるように感じます。サービス提供責任者自身に、「自分はケアマネジャーよりも立場が下である」と思っている方がいるのです。

自分たちヘルパーは、ケアマネジャーの立てた計画に添ってサービスを提供する立場なのだとだけ考えている。確かにケア計画全体はケアマネジャーが立てます。しかし、その中の訪問介護の部分については、ヘルパーも意見を述べ提案して計画作成に参加するべき、いや参加しなければいけないのです。

ケアマネジャーから「このような計画になっています」と提案された内容について、もし疑問に思うことがあれば質問や提案をしなければいけません。

例えば訪問を開始した当初は計画内容に何も疑問がなかったとしても、訪問を繰り返してゆくと見えてくること、感じてくることが細々とあるものです。そうすると、「このままでよいのかしら? この支援内容で大丈夫かしら?」と感じてくることもあり、そんな時にはヘルパー側からケアマネジャーに報告と提案をするべきなのです。

しかし余計なことを言ってうるさい事業所だと思われるのが嫌だからと、淡々といつも同じ業務を続けている事業所があります。以前に研修で、「うるさいことを言うと仕事をもらえなくなっちゃうから……」と言っていたサービス提供責任者がいました。しかしそれでは、サービス提供責任者の意味がないと思います。

ヘルパーの教育

他に、サービス提供責任者の大きな任務としてヘルパーの教育というものがあります。教育と言うと少し仰々しいのですが、各ヘルパーが少しずつ成長し、現場で的確な業務ができるようにさまざまな事を教え伝えてゆくということです。

ヘルパーは在宅で暮らす手助けの必要な方に対してサービスを提供するのですが、お手伝いさんとは違います。訪問介護員なのです。実際に行う業務には、おむつ交換や入浴介助のような身体介護もあります。しかし掃除や買い物、調理といった作業もたくさんあるのです。

それでもヘルパーの仕事は、とても美味しい食事を作る、隅々まで綺麗にお掃除するといったことではなく、調理や掃除を行って生活を快適な状態にすることにより、利用者の生活を支えるといったことなのですから、利用者に依頼されても、できることとできないことがあります。

しかし利用者の中には、「お金を払っているのだから自分の言うとおりにやってくれなければいやだ」と言う人もいるでしょう。ここで「それならば、ヘルパーはもう訪問できません」と契約を打ち切ってしまったのでは、大変なことになります。そもそもその利用者は、在宅で暮らすうえで手助けが必要な状態なのですから。

そこで、サービス提供責任者の出番。少し気難しいことを言ってくる利用者と難しいことを言われて困っているヘルパー、どちらにも歩み寄るような助言をするのです。すぐには無理でも、少しずついろんな人の手を借りて。そんな時には、ケアマネジャーも巻き込むと良いでしょう。「面倒なことを言うと仕事をもらえなくなっちゃう」なんて、言っていてはだめですね。きちんと報告しなければ、ケアマネジャーだって気づかないこともたくさんあるのです。

サービス提供責任者も利用者宅に足を運び、よくお話を聞いて、こちらの立場や法律のことなども噛み砕いて伝えていきます。正直に言えば、面倒で腹の立つこともたくさんあるでしょう。しかし、それがサービス提供責任者の仕事であり役目なのです。

利用者の生活の安全を守り、ヘルパーがやりがいを持って仕事が継続できるよう調整する。このような経験を乗り越えたヘルパーは、どんな研修を受けたヘルパーよりも大きく成長するでしょう。

例えばサービス提供責任者が 「駄目なことは駄目なの!」とだけヘルパーに伝え、利用者との関係がぎくしゃくしたものになってしまったのでは、もしかするとヘルパーという職業を続けられなくなってしまうかもしれません。それほど、サービス提供責任者の責務は大きいのです。

このようにサービス提供責任者は、在宅生活を支える職業として大きな役割を果たしている存在です。「ケアマネジャーの言うとおり」などと考えず、自分の思いや考えを伝えてほしいと思います。

しかしそのためには、自らもたくさんアンテナを伸ばして情報収集し、また、その情報を活かし伝える努力も大切でしょう。専門職として、上下関係ではなく職務にあたれる人材(人財)でありたいと考えます。

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