介護予防について思うこと

2017-08-04

「介護予防の視点で」「自立した生活を」など、介護の現場にいるとよく耳にする言葉。長く現場にいても、こうした言葉の掴みどころは難しさを感じます。介護予防、あるいは自立した生活とは、いったい何なのか……と。このことについて、私なりの考えを少しまとめてみます。

要支援と要介護

介護保険法第2条第4項に、「保険給付の内容及び水準は被保険者が要介護状態になった場合においても可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない」とあります。そして要支援と要介護の状態を要約すると、おおよそ次のようになるでしょう。

<要支援>

ほぼ一人で日常生活をおくれるが要介護状態への予防として、身体機能を維持改善する何らかの支援が必要な状態。

<要介護>

身体の状態が悪く日常生活を一人ではおくる事が困難な介護を必要とする状態。

要支援認定を受けた際に受けられるサービスは、主に要介護状態への進行を予防するための「介護予防サービス」。そして要介護認定を受けた際は「介護サービス」。それぞれ、費用は以下の通りです。

介護度が重くなり、自分のことを自分で行えない部分が増えれば、受けたいサービスの費用が大きくなるのは当然でしょう。しかし、それでも在宅でサービスを受けながら生活されている方にとって、疑問を感じることが少なからずあります。

特に要支援の認定を受けた方について。要支援の方は「要支援1」では訪問介護が週に2回まで、デイケアもしくはデイサービスの利用は週に1回です。対して「要支援2」は訪問介護が週に3回まで、デイケアもしくはデイサービスは週に2回までと決められています。さらにそればかりでなく、福祉用具のレンタルについても厳しい(面倒な)制約があり、なかなか受けることが難しい状態です。

また、これは私の活動している市町村の特徴なのだと思いますが、要支援の方への買い物の代行が認められていません。このような形で、要支援の方に対するサービスは要介護の方と違い、制約が多くサービスの幅が狭いといつも感じています。

その人によって最適は異なる

要支援の方について費用総額が要介護よりも少ないというのは、なんとなく納得できます。しかしサービスの内容まで細かく制約するのには、疑問を感じざるを得ません。その人の住んでいる地域の状態や状況、またその人の家族構成など、さまざまな背景によって、「どの部分をどのように支援したら。要支援状態にならずに暮らしていけるのか」は違うはずです。

例えば社交的な性格で、訪問でサービスを受けるより出掛けて人と接する機会が多い方が前向きな気持ちで暮らせる人。また、もともと家の中で気ままに時間を使い、マイペースで暮らしたい人。食材さえあれば自分で調理できるものの、お店が遠くて買い物が難しい人。さらには福祉用具を利用することによって行動範囲が広がり、引きこもりのような状態が改善できる人など。同じ限度額であっても、回数や内容を自由に選べたのなら、その人にとって最善のサービスが組み立てられるのではないかと感じるケースはいくつもあります。要支援は要介護状態にならないため。そういう視点で考えるならば、この部分にもっとも力を入れてサービス内容を検討してもらえたらと思うのです。

利用限度額を見ると「重くなったら手厚く」です。現在は地域包括支援事業が活発に動き始め、介護保険制度利用だけでなく地域見守りで支えていこうという方向になっているものの、その機能がスムーズに安心して働くようになるには、まだ随分と時間がかかるのではないでしょうか。

介護保険制度は公的な制度ですから、どこかで一線を引かなければなりません。しかし介護予防という視点で考えたならば、要支援の方に対する支援の形を今一度考え直し、

「ここで手を差しのべられれば悪化する速度を弱められるのだから、重症化する前に救い上げよう」

といった制度内容にはならないだろうかと考えます。

介護保険制度は施行から15年以上が経過し、さまざまな見直しが続いています。しかしそれでも、なかなか現場の現状や声は届いていないように感じてなりません。非力ではありますが、今回は現場の声として、このような意見を発信させていただきました。

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