ヘルパーにできること

2018-04-23

高齢者はもちろん、障害のある方に対してヘルパーができることは何なのか。1人の利用者様とのご縁から、深く考える機会がありました。ここでは具体的な事例をもとに、その背景や私なりに感じたことをお伝えします。

介護保険制度での支援

Aさんは61歳の女性。介護保険サービスの利用者は一般的に65才以上ですが、国が定めた難病と言われる病気の方や障害者の方の中には、措置として扱われる障害者支援ではなく、介護保険を優先して支援を受けるという決まりがあります。Aさんも、この制度に当てはまりました。Aさんは50代前半で脳腫瘍の手術を行いましたが、手術前の段階で、すでにこの手術によって全盲となってしまうことが分かっていたそうです。

手術から10年近く経ち、家の中ではほとんど不自由なく移動することが可能に。また、簡単な調理や洗濯、入浴なども一人で行えるようになりました。しかし、一人で外へ出掛けることはできません。在宅生活が始まって少し経ったときのこと。自宅の庭先の段差で転んでしまい、しばらく入院生活を余儀なくされてしまったということもありました。そのため、外へ出掛けることにことのほか恐怖心があるようです。

病気になる前は銀行に勤めており、頭の回転は早く、人と対話することも得意な方です。そのため、このまま家に引きこもってはいけないという思いもありました。

私の勤めるヘルパーステーションにケアマネジャーから依頼があったのは、脳腫瘍の手術から在宅に戻って間もないとき。目が不自由になり、在宅生活に不安があるので、身の回りのこと全般を手伝って欲しいとのことでした。

ところが契約後、「さて来週から訪問開始」というときに転倒。再入院となってしまい、それから10年近く何のお話もなかったのです。そして今回、改めての依頼だったのですが、お話によれば再入院の後にいくつかヘルパーステーションを利用されていたとのこと。その時々で事情がありますので、再度ご縁があったことを嬉しく思います。

ガイドヘルパーとしての対応

先述のように、家の中でのことは大抵ご自分でできるようになっています。そのため、今回の依頼内容は外出介助ということでした。お子さんたちは独立して家を出ていますし、旦那さんも日中は仕事です。しかしデイサービスを利用といっても、年齢的にも認知機能の面からも抵抗がある様子。そこで現在のヘルパーが行っているのは、週2回、自宅からもっとも近いスーパーマーケットへ徒歩で買い物に行くための支援です。

この支援をさせていただくには、ヘルパー資格のほかに「ガイドヘルパー」という資格を持っていなければなりません。現在のケアマネジャーから連絡があった際、最初に聞かれたのが「ガイドヘルパーの資格を持っているヘルパーはいますか?」ということ。幸い私以外にもう一人ガイドヘルパーを取得している者がいたので、この依頼をお受けすることができました。

先日、私ともう一人のヘルパーとで代わる代わる同行させていただきました。ガイドヘルパーの資格を持っているとはいえ、実際に支援させていただくのは初めてのこと。大変に緊張します。

慣れたヘルパーさんは何気なく行っていることでも、きっと最初はしどろもどろになるに違いありません。救いは、Aさんが明るく優しい方ということでした。

利用者の前向きな気持ちを支援につなげる

50代で全盲になってしまったAさん。人が得る情報の80%以上は視覚からといわれるほど重要なものです。どんなにショックが大きかっただろうかと、察するに余りあります。そんな中、家のことができるようになり、介助を受けて外に出ようと決心するまでには、いろいろな葛藤があったことでしょう。そんなAさんの前向きな気持ちを共有させていただき、単なる筋力低下や引きこもりの防止といった観点だけでなく、これからも前向きに生活していける活力を持っていただけるような支援を心がけたいと思います。

ヘルパーステーションは替わってしまったけれど、不安なく楽しい時間が過ごせて良かったと言っていただけるように。ヘルパーにできることは、目に見えるかたちのある作業だけではなく、見えない部分での支援も大切なのだと考えます。

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