介護職員がケアプランを把握することの意義を考える

2016-05-06

介護職の皆さんはお気づきの通り、施設ではケアプランがなくても介護ができます。なぜなら施設には、食事・入浴・排泄などのケアが行える設備、そして人材が揃っているから。一日を動かしていくのは業務分担表であり、ケアプランではありません。事業所ごとに呼称や形式は異なるでしょうが、この業務分担表を見て介護職員は一日の流れを把握し動いていきます。ですから排泄や入浴や食事の介助は、なんとなくできてしまうものなのです。しかし、本当にそれで良いのでしょうか。

ケアプランで成り立つチームケア

施設に入るメリットとして挙げられることの一つに、各専門職が提供する高度なチームケアサービスがあります。これは在宅でも同様ですが、同じ施設内にこれら専門職がいることは、よりタイムリー且つきめ細かいサービスが提供できるということ。そして、これを実現するのが「ケアプラン」です。

ケアプランは、各専門職が参加するカンファレンスを経て作られていきます。看護師や栄養士などそれぞれの見地から、必要とされるケアを考えていくのです。そしてケアマネは、ご利用者本人やご家族の意向と併せ、それらのケアを統合していくこととなります。

この専門職の知恵が詰まったケアプランは、その方の施設での生活そのものと言えるでしょう。これを理解した上でケアを実施すれば、ケアは各段に向上します。

分担表では、ケアの理由まで分からない

ケアプランをもとに介護計画が作られているのなら、それは素晴らしいことです。是非ともそれを活かして、ケアを続けていってください。

しかし、ケアプランとは別に介護計画を作成している事業所は、いったいどの程度あるのでしょうか。恐らくケアプランに一本化された事業所が多く、介護主任やリーダーなど業務分担を作成する役割の方が、プラン内容を業務分担表に落とし込んでいるといったパターンが多いのではないでしょうか。そしてこのパターンだと、介護職員はかなり意識しない限り、ケアプランを目にすることはありません。つまりケアの内容が変わったとしても、「変わったことは分かるけど、理由までは分からない」といった事態になるのです。

その点、ケアプランを見ている介護職員は「どういった理由で介護内容が変わったのか」を理解してケアに当たることができます。何を目的としているのか、何を防ごうとしているのか。こうした情報が、ケアプランには記載されているからです。

事例から見るケアプランの必要性

ケアに当たる介護職員が、ケアプランを見ているのか見ていないのか。この2つの違いは、特にイレギュラーが発生した際に大きな差となって現れます。ここで、事例で挙げてみましょう。

『Aさんが、入浴に入るのを嫌がりました。業務分担表を確認しましたが、今日入らないと今週はもう入れず、別日への調整も難しそうです。介護職員が必死に説得してやっと入ってもらえましたが、Aさんはそれから不機嫌で「無理やり入れられた」と面会に来たご家族にこぼしています』

実はこのときケアプランには、『Aさんは入浴が嫌いなので、家族も週1回程度入れれば十分。それよりも、気持ちの安定が大切と考えている』と記載されていました。そして、拒否が強い場合はゆっくり会話しながら清拭を、それも難しければ更衣だけでも行うこととなっていたのです。しかし業務担当表に、そこまでのことは書いてありません。

担当した職員がケアプランを見ていれば無理に入浴させず、その時間、会話しながらお部屋で清拭や更衣ができたことでしょう。どちらがAさんにとって満足のいくケアだったのかは、言うまでもありません。

上記のようなイレギュラーが発生した場合、その方の希望やニーズが分かっていれば、対応が大きく逸れることはないでしょう。この意味においても、ケアプランを介護職員が把握しておくことは非常に重要なのです。

ご利用者に「家ではこうはいかなかった。さすが施設!」と言われるプロのケアを、介護職の方々には是非とも目指してもらいたいと思います。そのためにも、せっかくあるケアプランを机上のものとせず、介護現場に活かしていってください。

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