クレームに負けない体制づくり

2016-07-08

施設運営になくてはならない、お客さまからの声。サービスの質を良くするために必要なものですが、中にはいわれのないお叱りや、度を超した要求があることも。こうしたクレームの類には、どういった対応が効果的なのでしょうか。お客さまとの関係づくりから施設としての体制づくりまで、整理して見ていきます。

介護施設の現状とは

一般企業はクレームを組織の発展にとって重要なものと捉え、組織的に体制を整えています。これに比べて介護施設においては、まだまだその認識が甘いように感じます。クレームについての研修参加やマニュアル整備など、決められた最低限のことは整備されているでしょう。しかし、その実態はどうでしょうか。

こんなことが、日常的に行われてはいないでしょうか。

クレームは、施設がより良くなるためのまたとない機会です。これを本当の意味で理解している施設は、クレーム対応を担当者任せにせず組織的に取り組んでいます。

組織としてのクレーム対応

クレームへの対応は、組織として行わなければなりません。たとえ個人に対するクレームだったとしても、それは施設全体の問題です。個人の資質の問題として終わらせてはいけません。そのクレームが事実かどうかの確認も含め、組織としての対応が必要です。このクレーム対応は、簡略化すると次のような流れとなります。

「クレーム発生→初期対応→確認・調査→結果報告(謝罪と改善策の提示)→記録と職員への周知」

これらを組織的に行うためには、苦情対策委員会などの設置も良いでしょう。しかしその場合、実際に機能することが重要です。小さなことでもクレームと捉え、事業所が成長するチャンスとして報告することを習慣化させます。

挙げられた報告は、たとえ対応済みでも直属の上司が聞き取りを行いましょう。対応した者が解決済みと思っていても、後から2次クレームとしてさらに大きな問題となってしまうことがあります。そして、簡単な形式で構わないのでクレームは記録として残し、対応も含め職員へ周知してください。

また、生活相談員だけに対応が集中することのないよう配慮も必要です。ケアマネがサポート役に回ったり、相手やクレームの重大性によっては最初から施設長も同席したり。こうした太陽によって、早期解決に結び付く場合があります。職種だけで決めず経験年数なども考慮し、事業所の内情に合った動きをしなければなりません。

毅然とした態度をとらなければならないときも

<全く事実無根のクレームの場合>

事実とは異なるものの、誤解から生まれるクレームは意外と多いもの。こうしたクレームは、「謝罪→以後注意します」だけでは今後の対応がおかしくなります。

こうしたクレームは、「ご家族は事実だと思っている」という点を忘れてはいけません。そのため、「調査したら事実ではなかった→良かったー安心してください」ではダメなのです。「事実かどうか調べてくれ」という場合はクレームではないので別ですが、2次クレームへ発展してしまう可能性があるでしょう。

ご家族は事実だと思っているので、まずは傾聴し「それはご心配だったでしょう」と共感します。そのうえで、「確認したがそのような事実はなかった」とはっきり伝えましょう。この際、「あなたが間違っている」というように捉えられないよう伝え方に注意が必要です。そして、誤解を与えるような行動であったことをさらに謝り、今後は十分注意する旨をお伝えします。

<クレームの原因が改善されても、便乗した要求が出てくる場合>

クレームに対して謝罪し、改善策を示して相手方も納得されて終わった後。以前なら言わないような頼み事を、ご家族がしてくる場合があります。ご家族にしてみれば、「前回のこともあるし、ちょっとしたことだから少し融通をきかせてもらっても」というところでしょう。

対応者は、関係を良好に保ちたい気持ちにバイアスがかかっています。対応すればその場は丸く収まり、両者の関係も良好に保たれるように見えるでしょう。しかし、こういったことが継続したらどうでしょうか。サービスの公平性が保てなくなり、両者の関係は崩れていきます。

頼み事を受けるか受けないか。継続できるかできないか。また、他のご家族・ご利用者へも同様の対応が可能かどうかで判断します。安請け合いする前に、必ず上司に相談しましょう。上司を引き合いに出すだけで、要求を引っ込める場合も多いものです。そしてお断りする場合は、「お引き受けしたいのはやまやまですが……」「お力になりたいところですが……」など、こちらの事情でどうしても受けられない旨をご説明します。上司が同席し、一緒に対応すると尚良いでしょう。そうすれば、組織として対応していることが相手にも伝わります。

いずれにしても、クレーム対応はマニュアル通りにいかないもの。クレームに対し、ため息をつきながら重い腰を上げるような対応では見抜かれてしまいます。

通常業務もこなしながら、迅速にクレームに対応することはとても大変でしょう。クレーム対応に集中して取り組むためにも、周囲がサポート役に回り、上司が適時にアドバイスやメンタル面のフォローを入れるといった組織的対応が望まれるのです。これができれば、ご利用者・ご家族の満足度も上がるはず。迅速かつ満足度を上げる対応で、クレームの解決だけでなく、より強い信頼を得ることも可能になるのです。

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