看取りケア〜介護職員の心のケアについて

2016-09-08

看取りケアについて、さまざまな取り組みがなされる今日。看取りケアを担当する介護職員の不安、そして看取りケアを選択したことを悔やむご家族が増え続けています。後悔しない看取りを行うには、いったいどうすれば良いのでしょうか。ここで、介護職員の心のケアを中心に考えていきます。

看取りの不安や後悔が生まれるわけ

高齢者施設での看取りケアが増えています。自宅に帰ることは出来ないけれど、病院での最期は望まない。そんな方が多い現在、この看取りケアを選択する方々が増加しているのです。

しかし、その看取りケアを担当する介護職員の精神的な負担は相当なもの。不安を抱えたり、後悔したりといった声が多く聞こえてきます。こうした不安や後悔は、なぜ生まれてしまうのでしょうか。

このような不安や後悔は、そのほとんどが、これから起こることを具体的にイメージ出来ていなかったために起こるものです。これから何が起こるか分からないので、何をどうすれば良いのか分からないという不安にさいなまれます。また、具体的なイメージが出来ていなかったために、実際の場面で驚いてしまい、咄嗟の判断を誤ってしまうことも。その結果、「こんな筈じゃなかった」「もっとこうするべきだった」といった後悔を生むのです。

介護職員の不安を軽減するために必要な取り組み

では、このような不安を取り除くにはどうすれば良いのでしょうか。介護職員の看取りケアに対する不安軽減に必要なことを、3つの視点でまとめてみました。

1)通常の介護とは異なる、看取りケアに必要な視点

通常なら考えられないことでも、看取りケアとしてなら許されるケースがあります。例えば嚥下力が低下した方に好きな食べ物を少量提供したり、通常なら無理なバイタルでも入浴を介助したり。この場合、もちろん出来る限りの安全対策は必要ですが、優先されるべきはご本人やご家族の満足度であり、安全ではありません。さらにご本人の状態変化は、改善や回復といった視点では捉えません。その変化に寄り添う、苦痛を取り除くという視点でケアを行います。

このように看取りケアには、通常のケアとは異なった視点が必要です。看取りと通常のケアを混同していると、「本当にこんなことをして良いのだろうか」と不安になるでしょう。看取りケアに必要な視点を習得することは、ケアを提供する介護職員の不安を軽減させる上でも有効なのです。

2)チームとしての支え合い

特に職員の少ない夜勤時は、「何かあって失敗したらどうしよう」と不安になります。不安を解消するためには、緊急時のフローや個別の看取り計画に沿った具体的な指示が役に立つでしょう。「血圧○○以下」「酸素飽和度○○以下」など、オンコールの目安をその夜ごとに決めていきます。それでも不安は尽きませんが、オンコール当番の看護師から受ける「迷ったらいつでも連絡ちょうだい」などの一言で心強く感じるもの。介護職員を孤立させないため、チームとしての支え合いが大切です。

3)死を受け入れる心の準備

たとえ自分の身内でなくとも、ひととき生活を共にしたご利用者の死は、想像以上の負担を与えます。それは、恐らく職員自身も想像していなかったことでしょう。自分では仕事として割り切って対応していたつもりが、大きな虚無感に襲われたという例も少なくありません。特に若い職員は、身近な死を経験していないことが多く、死を受け入れる心の準備が出来ていないケースが目立ちます。

さらに想定していた対応とならなかった場合などは、やはり自分を責めてしまうもの。まだ試行錯誤しながら看取りケアを行う施設も多い中、十分なケア体系が構築されていなかったり、教育が不十分だったりする状況下での対応ならばなおさらでしょう。教育や研修を定期的に行うとともに、看取りケアを行った後は必ずデスカンファレンスなどの死後の会議を行い、今後の看取りケアにつなげる必要があります。そしてこれは、対応した介護職員の心のケアにも十分生かせる取り組みとなるのです。

これらのことが実施出来れば、看取りケアの具体的なイメージが浮かび、実際の場面でしっかりとした対応が出来るようになるでしょう。そして看取りケアの渦中で感じるどうしようもない不安も、少しは軽減されるのではないでしょうか。不安に勝るものは、こうした準備以外にはないのです。

そして看取りケアを何度も経験している先輩職員は、経験の浅い職員にさまざまな体験談を話してあげてください。それが新人職員の心の支えとなり、スキルの習得とは別の「心の準備」に役立つのです。

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