看取りケア〜ご家族の心のケアについて

2016-09-19

看取りケアで大切なご家族の心のケア。高齢者施設で看取りケアを選択するご家族が増えていますが、後悔する声も後を絶ちません。そんな、ご家族の心のケアについて取り上げていきます。

ご家族の意思で選択される看取りケア

高齢者施設での看取りケアが増えています。特別養護老人ホームはもとより、介護付有料老人ホームやサ高住、グループホーム、老人保健施設でも対応可能になりました。それに伴い、看取りケアを選択したことを後悔するご家族も増えています。

ご本人の意思が確認できないことが多い高齢者施設の場合、看取りケアを選択するのは、主にご家族です。それなのに何故、ご家族が後悔しなければならない結果となるのでしょう。

揺れる気持ちは何故生まれるのか

高齢であるとはいえ、人の死に関わることです。ご家族に、想像以上の精神的負担がかかるのは当然でしょう。そして迎えるゴールは「死」なのですから、後悔しないわけがありません。しかしこの後悔は、施設の対応如何でさらに増幅されることもあります。

それは、ご家族の心の動きに、施設側がリンク出来ていない場合に多く発生するようです。看取りケアは、誰の心にも重くのしかかります。そして、それをどう表すかは人それぞれ。頻繁に面会に来るようになる方、逆に足が遠のく方。職員に対し、急に攻撃的になる方もいらっしゃいます。それは、看取りケアをその方なりに受け止めようとしている結果であり、自然な心の動きです。私たち職員は、その気持ちの動きに寄り添いながら、最期の大切な時間を過ごすお手伝いをしていきます。

しかし、これがなかなか難しいもの。ただでさえ職員の心にも負担が大きい看取りケアです。これに対応しながら、ご家族の心の動きにも寄り添うことは、かなり高度なスキルを要します。これには、やはり施設内での役割分担を明確にすることが必要でしょう。ケアに徹する介護士、ご本人やご家族の精神的フォローに回る相談員やケアマネジャー、医療的なケアと医師との連携は看護師といった具合。介護主任がご家族対応、ケアマネが医師などの外部連携といった事業所もあるでしょう。それぞれの事業所によって、その特性は異なりますから、自事業所に合った役割分担を明確にされてください。

さらに、ご利用者自身の状況も刻々と変化します。時には痛みを訴えたり、苦しんだりすることもあるでしょう。それを目の当たりにするご家族も苦しい筈です。「自分の選択した看取りケアは正しかったのか」「病院に入院すれば、こんなに苦しまずに済んだのではないか」など。積極的な治療を望まないのであれば、病院でも施設でも、施す処置はほぼ同じレベルです。ですから、入院したから安楽になれるということはありません。

しかし、そういった説明を受けているご家族でも、実際のご本人の様子を見ると気持ちが揺れ動いてしまうのです。中には施設側の説明が受け入れられず、土壇場で病院に戻り、チューブだらけで最期を迎えるケースもあります。ご家族はどちらにしても後悔されたことでしょう。

ご家族に後悔させないために、施設側が行うべきこと

こうした悲しい結末にしないために、私たち施設職員が行うべきことはなんでしょうか。下記に順を追って挙げてみました。

<入居時>

ご本人がお元気であっても、施設への入居を機に、終末期をどうされたいか家族間で話し合うよう支援します。入居時の書面のみで終わらせてしまうと、いざという時にご家族はパニックになります。

<事前説明>

いよいよ看取りケアという段階になったら、どういった状態をたどって最期を迎えるのかについて具体的な説明を行います。主治医からご説明いただき、そこに施設側も同席するのが良いでしょう。看取りケアだけでなく、病院へ入院するとどうなるのかといった他の選択肢の説明も十分に行います。状況にもよりますが、説明したその場で結論を出すことは避けた方がい良いでしょう。急変が予想される場合は、「とりあえず結論がでるまではこうしましょう」といった仮の対応を決めておきます。

<看取りケア中>

日々の変化を説明しましょう。前述した、施設内の役割を明確化しておけば、きめの細かい対応も可能です。面会の少ない方も、頻度を決めて連絡を取るようにしましょう。また、面会に来られたご家族が何をすればいいか分からず困っている場合があります。声を掛けたり、手をさすったりといった簡単に出来る寄り添いを実践して見せることもひとつです。ご家族が男性の場合は照れもありますので、顔や手を拭いてもらうといった具体的なことをお願いすると、関わりを持ちやすいようです。

<容体悪化時>

事前に決められたフロー通りに、落ち着いて対応します。家族への連絡時は慌てず、状況を端的に伝えて施設に向かってもらいましょう。その後の付き添いが長時間になる場合もあるので、椅子や簡易ベッドなど、必要なものをセッティングしてください。

<臨終時>

ご家族だけで、静かに最期の時を過ごせるよう配慮します。臨終に立ち会うことができない場合も多いと思いますが、距離や時間の問題でそれは仕方のないことです。最期に立ち会えなかったことを後悔しないよう、それまでの時間をどう過ごしたかが大切といった説明を、繰り返しすることが必要になります。

<死亡確認>

医師の死亡確認後、お体を拭いたり着替えたり、といったエンゼルケアを行います。希望があれば、ご家族と一緒に行うこともあるでしょう。ご家族の努力をねぎらい、ご本人との想い出を振り返りながら、一緒に行ってみてはいかがでしょうか。

心のケアで、誰も後悔しない看取りケアを

必ず訪れる最期です。ご本人にもご家族にも、後悔して欲しくありません。「自分のせいで、親に苦しい思いをさせてしまった」などと思って欲しくないのです。

「ご家族のお気持ちが伝わったので、私達も頑張れました」

「ご家族がいらっしゃると、やっぱり反応が違いますね」

「よく息子さんの自慢をされていましたよ」

こんな言葉がけひとつで、救われるご家族がいらっしゃるのです。ご家族の気持ちの揺れに寄り添い、ご家族の心のケアにも意識を向けること。これを実践し、後悔させない看取りケアをされてください。

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