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疾患別!認知症ケアのポイント

2016-11-29

認知症の治療は薬物療法が一般的です。しかし、それと同じくらい日々のケアが重要となります。ただし、認知症といっても原因となっている疾患によって症状はかなり異なります。そこで、疾患別にケアをする上での注意点をまとめていきます。

アルツハイマー病のケアのコツ

アルツハイマー病はワーキングメモリや短期記憶が障がいされます。その特性をしっかり把握し、手続き記憶をうまく誘導できるようなケアを行っていくことがポイントです。簡単に言うと、考えさせ過ぎたり、動作の途中で声をかけたりしてしまうと混乱してしまい、上手く行為を実行できなくなるでしょう。その分、自然に出てくる自発動作はスムーズに行えます。

例えばトイレ介助の途中で手すりを持つ位置などを細かく指示してしまうと、上手く動作が行えなかったり、他に気が散ったりしてしまいます。そのため、自分の動作をあまり意識化して「どうやるんだっけ……」と考えさせないよう、不要な声かけや介助をしないようにしましょう。混乱した場合は、いったん間をおいて介助することが必要です。

また、本人の仕草や環境などを注意深く観察して、行動の意味づけを行っていくことが重要です。個人の生活歴や社会歴などを十分に把握したうえで、その人に合ったキッカケ作り(=動機付け)を探っていき、職場のチームでしっかり共有してケアをする必要があります。

血管性認知症のケアのコツ

よく血管性認知症は寛解と増悪を繰り返すとされていますが、その理由は脳卒中の再発リスクが高いことにあります。そのため、脳卒中の再発をいかに予防するかがポイントです。もし再発をうまく食い止めて体調管理できれば、適切なケアで改善が期待できるでしょう。

麻痺などの機能面を含め、できることとできないことがハッキリしています。そのため、それを把握せずに一方的なケアを行わないようにすることが重要です。また、覚醒度にムラがあったり、脳内の情報処理の速度が遅くなったりしているときには、こちらが動作の開始・実行を待てず手を出すことのないようにしなければいけません。

また、血管性認知症は、感情を爆発させてしまう方が少なくない点も特徴です。これは介助者がペースを無視して、一方的な介助や発言を行った場合によく起こります。周りとペースを合わせたくても合わせられないことへのストレスや不安が、情動失禁やうつ傾向、アパシー(意欲低下)に潜んでいる場合があるでしょう。安心できる接し方や環境を作っていく必要があります。

レビー小体型認知症ケアのコツ

パーキンソン症状により、小刻み歩行やすくみ足が出現します。そのため、行き過ぎたリスク管理で活動量が低下すると、すぐに動作の制限が生じてきてしまうでしょう。また、抗精神病薬に過敏反応して低活動になったり、食後の失神や嚥下機能の低下が起こりやすかったりという特徴もあるので、しっかり把握してケアしましょう。

中には安全判断ができず方向転換の途中で座ろうとしたり、手すりなどちゃんと持ってないのに体重をかけようとしたりすることも。安全に動作できるよう、介助者は声かけだけでなく、手を添えて動作の誘導をしてあげます。できれば、「立つ」「方向を変える」「止まる」「座る」といった動作を区切って行ったほうが、確実に動作を行えます。

幻視が出るのもこの認知症の特徴ですが、頭ごなしに否定すると症状を悪化させ、安易に同調すると誤認識を固定化させてしまいます。そのため、不安を取り除くように傾聴したり、そばで付き添ったりするようにしましょう。食事が虫に見えるなどで摂取量が減ると、栄養不足に繋がるので注意が必要です。

前頭側頭葉型認知症のケアのコツ

理性による行動のブレーキがかけられず、常識と外れた行動を起こすことが特徴的です。しかし、記憶障がいは起こりません。そのため、アルツハイマー病などとは明確にケアの方法が異なります。特徴的な病状があるので、それをうまく利用したケアが効果的です。

例えば、同じ動作を繰り返す常同行動という特徴的な症状があります。介助者のペースで常同行動を妨げば、逆効果になってしまうでしょう。それより、常同行動をうまく生活のスケジュールに組み込むことが効果的です。手作業など常に好きな動作を繰り返す方がいた場合、無理にレクなどの集団行動を促すと逆効果になります。

前頭側頭葉型認知症は、他の認知症では障がいされやすい空間把握能力が比較的維持されます。そのため、生活歴を詳細に聴取し、その人に合った作業などを提案して実行に移していくこともケアのポイントの一つです。

まとめ

認知症は疾患名ではありせん。それぞれに認知症の原因となる疾患が隠れており、原因疾患を踏まえたケアが重要になります。ベストなケアはなかなか難しいですが、常にベターな方法を試しながら行うことが重要です。職場の方と話し合いつつ、より良いケアを実践していきましょう。

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