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自立支援に必要なリハビリテーションマネジメント

2016-12-30

地域包括ケア確立に向け、国は施設介護から在宅介護へと転換を進めています。そのため、施設・在宅どちらで介護業務を行うにしても、しっかりと自立支援を意識していくことが重要です。そこで、今回は自立支援を進めていくために有効なリハビリテーションの考え方についてご紹介します。

リハビリテーションとは

一般的なリハビリテーションのイメージは、筋力トレーニングや歩行練習といったいわゆる「機能訓練」と言われるものだと思います。しかし、それは狭義のリハビリテーションであり、本来の意味とは少し異なります。

本来のリハビリテーションとは、障がいや病気を持っても、できるだけ普通の人と同じように自立した生活を送り、より豊かな生活を目指すためのものです。理学療法士などにより病院で行われる機能訓練ももちろん当てはまりますし、生活を自立するための社会支援、生活支援などもきちんと目標に向かって実践すれば広い意味ではリハビリテーションになります。

そのため、介護に携わるすべてのスタッフがリハビリテーションの考えを共有し、サービスの提供を行うことが、在宅生活の継続そして自立支援に重要なのです。

リハビリテーションマンジメントとは

リハビリテーションの概念について説明しました。ではリハビリテーションマネジメントとはなんでしょう? 厚労省による定義がありますが、簡単に言うと、自立支援や活動参加の目標を達成するために、適切なリハビリテーションが行えるよう継続的に管理をすることです。具体的な方法は後で説明させていただきます。

一般的にリハビリテーションマネジメントいう言葉は、介護保険サービスにおいて使用されています。医師やリハビリテーション専門職がいる介護老人保健施設や通所リハビリ、訪問リハビリで使用されおり、介護報酬の対象となっています。

しかし、リハビリ専門職がいない施設でも実践することは可能です。自立支援、在宅復帰に向けた方法について具体例を示しながら紹介します。

リハビリテーションマネジメントの実践

リハビリテーションマネジメントで必要なのはSPDCAサイクルを実践することとされています。PDCAサイクルという手法を聞いたことがあるかもしれません。PはPlan(計画)、DはDo(実行)、CはCheck(評価)、AはAct(改善)になります。しっかり、計画を立てて実行し、実行した結果を評価して、その結果をもとに改善を加えて再度計画を立案するというサイクルを回し継続的に業務を改善する方法です。これにSurvey(調査)を加えたものがSPDCAサイクルです。

リハビリテーションの対象者は、心身の状態とは別に社会的背景、家族や近隣との関係、住環境状態、経済状況などが異なります。そのため、リハビリテーションを実践する上で、しっかりと個人の情報を調査し、計画に反映させることが重要です。そうすると、一人一人にあった具体的な目標が設定されたプランが出来上がり、本当に自立に必要なサービスの提供を実践できます。

また、サービスの提供において、本人、家族、サービス提供者が同じ目標を持って継続的にサービスを実践することが難しかった経験はありませんか? 当サイトの記事にもあったように介護者が無理に自立を促してもうまくいきません。また、本人と家族の思いが違う場合や、家族が無理な目標を提示してくることもあります。そこで、Surveyの段階で、目標をしっかり擦り合わせて計画に反映させることで、同じ目標を持つことができ、効果的なサービスを提供することができるのです。

実践例−施設でリハビリマネジメント

利用者Aさんは施設に長期入所されています。正月の神社へのお参りは何年もしたことがありません。どうしてももう一度、除夜の鐘を聞きたいとのことでした。そこでSurveyの段階で家族にAさんの思いを伝え、家族の思いや課題を抽出。まず「車に乗れるのか?」「神社で車椅子は使えるのか?」「夜間のトイレは?」「外出に必要な体力は?」などの課題が出ました。

そこで、専門職での評価を元に、課題を解決するためのプランを立てて家族へ提示しました。家族も課題が解決できるならと了解を得ることができたので、計画を実践していきました。本人、家族、多職種で課題を解決するために施設内の取り組みを継続した結果、見事目標を達成することができました。

成功のポイントはしっかり計画を立てるための調査を行い、達成可能な目標を共有できたことです。みんなで目標を共有したことでAさんが施設生活で意欲的に運動に取り組まれるなど、できることは自分で行うようになりました。家族もAさんの生き生きした様子を見るにつれ面会の回数も増えていきました。その様子をみた職員もなんとかAさんに目標を達成してもらおうと、前向きに業務に取り組めました。目標を達成した時の充実感も得ることができました。

まとめ

リハビリテーションマネジメントは言葉では難しいですが、内容は本来専門職として行うべき基本的なことかもしれません。しかし、それを実践することは介護職のおかれる状況から、非常に大変な事だと思います。少しでも考えを持ちながら日頃の介護を行っていき、やりがいを持って仕事に取り組んでいきましょう。

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