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介護現場におけるアロマテラピー

2017-02-24

介護現場でのアロマテラピーが徐々に普及してきています。リラクセーション以外にも利用され、とりわけ認知症への効果が注目をされています。そこで、介護現場におけるアロマテラピーについて実践例を示しながら紹介していきます。

アロマが体に与える影響

アロマテラピーはなぜ様々な場面で利用されるのでしょうか? まずは、アロマが体にどのように作用していくのか説明します。

アロマは人間の五感の中でも、香りとして嗅覚により知覚されます。嗅覚は他の感覚と異なり、情動や記憶を司る大脳辺縁系へと伝えられます。これは簡単に言うと、アロマの嗅覚刺激が与えられると、人はどんな香りであるかを考える前に感じるということ。そのため、嗅覚刺激は心理面、精神面に直接的に影響を与える刺激として注目されているのです。

介護現場でのアロマテラピーの効果

実際にアロマテラピーの使用で、介護現場でどのような効果表れるのかを紹介します。今一番注目されているのが、認知症への効果です。

鳥取大学では、認知症に関するアロマテラピーの効果について積極的に研究をされています。鳥取大学の研究では、認知症の方の周辺症状だけでなく、中核症状である、見当識障がいなどの中核症状の改善が見られたとされています。

また、近年の研究では、嗅覚能力の低下とアルツハイマーなどの認知症との関連が注目されています。この点も、認知症とアロマテラピーが結びつけられる要因となっているようです。

このほかにも、利用者の睡眠障がいの改善やメンタルケア、施設の抗ウイルス効果や消臭効果など研究結果が見られています。いくつか文献を日本アロマ環境協会のサイトでも見ることができます。ぜひ参考にしてみてください。

アロマテラピーを行う際の注意点

アロマテラピーはディフューザーで香りを分散させて使用したり、オイルマッサージに使用したりするなど、比較的簡便に使用できます。しかし、注意点もありますので、紹介していきます。

まずは香りには好き嫌いがあるという点です。情動や記憶に直接影響を与えるため、感覚的に苦手な人もいます。そのような場合、アロマを無理強いしては負担にしかなりませんので注意しましょう。

また、皮膚に使用する場合は、アロマが刺激となり、かゆみやかぶれの原因となる可能性もります。パッチテストを事前に行い、発赤など生じないかを確認して使用するようにしましょう。

アロマオイルには、光毒性といって、光をあてると有害となるオイルもあります。使用前にはしっかりと、オイルの特徴などを理解して使用するようにしましょう。

介護現場におけるアロマテラピーの使用事例

アロマテラピーを実践している介護現場の使用事例をいくつか紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

デイサービスAでは、軽度の介護度の利用者を中心に、レクリエーションや行事に力を入れながら、取り組んでいでました。

しかし、最近の利用者さんたちは、高齢者を対象にしたありきたりなレクレーションなどではなく、世間一般の人が受けているようなサービスを希望されるように。そこで、施設のリーダーであるBさんは、以前から学んでいたアロマオイルによるマッサージを導入したのです。

はじめは、馴染みのない方も多く戸惑う様子も見られました。しかし、娘さんが家で行っていて、いい香りがしているという利用者さんやお孫さんがアロマにはまっているなど、比較的身近にアロマを利用している方の口コミもあり、多くの方が利用されるようになりました。

利用されると、「リラックスできる」「ぐっすり眠れる気がする」などの声も上がり、今では施設の人気サービスとなっています。

認知症の方が多く入所しているC施設では、利用者さんの夜間の不眠やそれに伴うスタッフのストレス増加などの問題がありました。

施設の看護師長であるDさんは認知症の研修でアロマの存在を知り、施設で導入することになりました。すると、今まで不眠であった利用者さんの中には、いつもより長く睡眠を取られる利用者さんも。スタッフの介護負担にはそれほど変化がなかったものの、香りに癒されストレスが緩和されるというスタッフの声もあり、アロマの利用を継続しています。

まとめ

アロマテラピーはエビデンス構築のために研究が必要です。しかし、徐々に介護施設などで効果的な事例や研究が見られています。利用者さんはもちろんスタッフのストレス軽減のためにも、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。

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