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外国人介護人材の育成は介護業界の人材不足を解消できるか?

2017-11-27

介護業界の人材不足を行うために、外国人介護人材の育成が注目されています。国は技能実習制度の対象となる資格に介護士を追加するなど、外国人介護人材確保への方策を進めています。そこで、現在日本で施行されている施策や東南アジアでの介護人材の育成状況を見ていきながら、日本における介護業界の人材不足の一助となるのかを考察していきます。

日本における外国人介護人材に関する制度

外国人介護人材の育成、採用に向けて、国を挙げて推し進めているのは制度の変更をみると明らかです。そこで、制度がどのように変更しているのかをみてみましょう。まず、外国人介護人材に関する制度は以下の3つに分けられます。

この3つの制度は2017年度に大きな追加・変更がありました。まず、4月にはEPAに基づく介護福祉士候補者の受け入れに関して、受け入れ可能な施設の範囲が拡大。また、9月には在留資格に「介護」が追加された法律が施行され、日本で介護福祉士の資格を取得した留学生は引き続き日本で介護業務に従事することができるようになりました。さらに、11月には技能実習制度の対象職種に介護職種が追加されました。

このように、様々な制度変更により、将来的な介護人材不足を解消するための手段として、外国人介護人材の受け入れ増加が進められているのです。

外国人介護人材を受け入れるメリット

外国人介護人材が人材不足を解消できるのかを考えるために、外国人の介護スタッフを雇用するメリットやデメリットを見ていきたいと思います。

外国人介護人材の雇用メリットは以下のようなものが挙げられます。

もっとも大きなメリットは、やはり国の制度変更の目的でもある「人材不足の解消」です。特に若くて体力や意欲のある人材は介護業界で不足しがちで、外国からの雇用が期待されています。

また、即戦力としての雇用も可能です。例えば、ベトナムの老人ホームでは介護職はおらず看護職が介護業務を行っています。しかし、実際に若い人材が看護師になっても働き場が少ないのが現状です。そのため、知識や体力のある人が日本での介護業務を目指すのです。

外国人介護スタッフと働くことで異なる国の文化や考えに触れる機会があることは、日本人スタッフにとって刺激にもなるでしょう。その結果、人間的に成長するというメリットも考えられます。

外国人介護人材の雇用デメリット

人材不足解消を期待される外国人介護人材ですが、雇用するデメリットもあります。以下に代表的なものを示します。

以上のようなデメリットは、外国人介護スタッフを雇用している施設で実際に課題になっています。そのため、雇用の際には対策をしておく必要があるでしょう。また、制度が複数あり、不明確な点も多いのも課題としてあげられます。

ただでさえ、制度改正のたびに介護報酬が削減され、人材確保・育成だけでなく経営面などでも課題が山積みの状態では、なかなか外国人介護人材を雇用する余裕はないという事業所が多いのが現状ではないでしょうか。

派遣元の国での現状はどのようになっているのか?

実際に派遣元である東南アジアではどのように日本に来る介護人材が育成されているのでしょうか? 今回は、ベトナムを例に見ていきたいと思います。

ベトナムでは年間3万人ほどが看護師資格を取得しても、看護師としての就職先は30%ほどとされています。また、介護士という資格はなく看護職が介護業務を行っています。このような、実情と日本に馴染みのある仏教国であり、温和な住民性から、日本語をある程度取得すれば介護従事者として活躍できる人材が多いとされています。

看護・介護人材を日本に派遣するにあたって、2012年にEPAによる看護・介護人材の日本語教育が開始されました。日本語能力の目安として日本語能力試験における5段階評価(N1〜N5)がありますが、EPAによる規定では日本語能力がN3(日常的な場面で使われる日本語を理解できる)レベルで入国可能となっています。実際、2014年度〜2017年度まででベトナムからの介護福祉士候補者は600人弱受け入れられています。

このような流れから、ベトナムでは多くの日本語学校が設立されたり、看護大学でも日本語教育過程があったりと日本へ行く看護・介護人材育成が進められています。日本の企業や学校との提携も進んでおり、今後はシームレスな外国人介護人材の育成が期待されています。

課題も多いが優秀な人材確保を期待

介護人材の不足は大きな課題なのは言うまでもありません。だからと言って、外国人介護人材を気軽に採用するのは、まだまだ課題も多く、簡単ではないでしょう。日本人介護スタッフの低賃金解消や人材育成を先にすべきという意見もあるはずです。

しかし、日本人介護人材の育成を効果的に行なっており、きちんとした経営指針で運営できている法人にとっては、優秀な人材を外国から確保できるシステムは非常に魅力的です。今年度、私の働く法人でも外国人介護人材の雇用を行う予定ですが、外国人介護人材が働く上での工夫をしっかり考えていけば、今後の人材確保の方策として活用することができるのではないかと思います。

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