前傾姿勢を引き出す介助の重要性と実践方法

2018-01-22

人材不足が深刻な介護業界では、利用者様の介助方法に関してはさまざまな方法があるでしょう。移乗介助や排泄介助などの介助場面では、利用者様の状態に応じた介助が必要です。しかし共通して求められる視点に「前傾姿勢」をしっかり引き出すことが挙げられます。今回は前傾姿勢が必要な理由と、その実践例をご紹介していきます。

なぜ前傾姿勢が必要なのか?

介護現場において、次のような課題を感じていらっしゃる方はいないでしょうか。

「移乗の介助がしにくい」

「食事の時にお尻が前にずれてくる」

「トイレでなかなか排便ができない」

これらの生じる要因としては、さまざまな問題が挙げられるでしょう。しかし共通した点として、「前傾姿勢がとれないこと」が考えられます。なぜなら体を動かそうとするとき、「体を前に倒す」という動作が必要になるためです。

例えば、以下のステップを実践してみてください。恐らく、体を前に倒せないと非常に立ちにくい(もしくは立てない)ことを実感できるはずです。

では、食事場面ではどうでしょうか。背もたれのある椅子に座った状態で、背もたれにしっかりもたれかかってみてください。すると、徐々にお尻が前にずれるはず。そのまま顔が少し上を向いたで、食事するとどうでしょうか。恐らく食事動作がしづらく、食べ物も飲み込みにくいでしょう。

また、トイレの排泄でも前傾姿勢が大切です。しっかり前傾姿勢をとることで腹圧をかけやすくなり、尿道や肛門の位置も排泄のしやすい状況になります。そのため、理想の排泄姿勢は前傾姿勢にあるのです。

ただ前にかがめば良いの?正しい前傾姿勢

前傾姿勢が「体を前にかがんだ姿勢」ということは、恐らくお分かりのことでしょう。しかし前傾姿勢を取る際、気をつけなければいけないポイントがあります。それは「骨盤の傾き」、もしくは「股関節の角度」です。

骨盤は前傾と後傾というように前後に傾きます。体が前にかがむということは、骨盤が前に傾いていくこと。また、骨盤の下には両脚が付いていますが、骨盤と下肢の骨は股関節で繋がっているのです。

前かがみになって骨盤が前傾すると、足の付け根の関節である股関節は曲がった状態(屈曲位)になります。このように、骨盤前傾や股関節の屈曲ができると体の重心をしっかり前に移動させられ、さまざまな動作につながる活動的な姿勢になります。

しかし前にかがんだつもりでも、この骨盤前傾や股関節の屈曲が出ていない場合があります。それは、背骨だけが曲がった状態です。そうなると重心は後ろに残ったままになり、立ち上がりにくかったり、後ろへ反り返ったりするのです。そのため、前傾姿勢を取れているかどうかの判断は、骨盤の傾きや股関節の曲がり具合をチェックするようにしましょう。

介護現場で前傾姿勢を促すには?

実際に介護現場で前傾を引き出す方法はたくさんあります。まずは立ち上がりの場面。しっかり前傾姿勢を引き出して、両足に体重が移ってから立ち上がるように誘導もしくは声かけをしましょう。介助の際に上に持ち上げてしまうと前傾姿勢は引き出せず、後ろへ突っ張る立ち上がりを招いてしまいます。

また、よく介護事業所で立ち上がりの練習を行うことがあるでしょう。しかし、手すりを利用するために壁を正面にして座って立ち上がり練習を行うと、前傾ができず上肢で引っ張る力で立ち上がろうとしてしまいます。特に片麻痺の方でその動きを続けると、後ろへ突っ張るように体の緊張が高まり、その他の動作や姿勢に悪影響を及ぼしてしまう可能性があるのです。そのため、あくまで前傾姿勢ができるように立ち上がりを工夫しましょう。

また、座り直しや起き上がりの介助でも、単に抱える前傾させることを意識して行うことが大切です。これによって、前傾姿勢に必要な体の柔軟性が維持されます。いつの場面でも、前傾姿勢を促す介助を意識してみましょう。

ただし、股関節に痛みがあったり人工関節が入ったりしているなど、無理な前傾が負担となる場合もあります。しっかり医療専門職との連携を行ったうえで、介助方法を選択してください。

まとめ

利用者様の体の動きを改善したり、動きやすい体を作ったりするのは、何もリハビリ専門職や看護師などの医療スタッフだけではありません。ぜひ前傾姿勢を意識した介助を行い、利用者様の生活の質を高めていきましょう。

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