リハビリはセラピストだけではない、介護職でもできるリハビリとは

2017-12-11

一般的にリハビリと言えば、理学療法士や作業療法士などセラピストが機能回復を行うイメージがあるでしょう。しかし、特に高齢者におけるリハビリにおいては、機能回復を図る事だけが目的ではなく、日々の機能を維持していくということも目的も含まれてきます。実際、高齢者を取り巻く在宅・施設介護双方において、専門職であるセラピストがマンツーマンで直接的に行うリハビリは回数や時間的な制限がある中で行われており、医療機関での手厚いリハビリとは少し異なってきます。その反面、高齢者の方々は身体を動かさないと運動機能の低下が進行してしまうリスクが高く、機能維持のためにも何かしらの手段で運動など身体を動かす機会が必要になってきます。そこで今回は、専門職のセラピストが行うリハビリではなく、高齢者に最も多い頻度で関わる介護職が行うリハビリについて具体的な場面などを挙げながら見ていきましょう。

介護職は日常的にリハビリを行っている

介護職は介護業務の中で、当たり前のように高齢者に対しリハビリを行っているでしょう。しかし意外と、その介護の効果にまで意識を向けていない現状があります。もちろん、ただ身体を動かしてもらえば良いというわけではありません。また、リハビリの中には専門職の評価やアドバイスのもとに行わなくてはならないものもあります。急性期や回復期など、場面によってはやはりリハビリ専門職が行うことが望ましい場合もあるでしょう。

しかし前述したように、急性期や回復期のリハビリも重要ですが、実際には短期的なリハビリが行われる時期よりも、維持期に該当するそれ以降の時期の方が高齢者本人にとってはずっと長い期間になります。その維持期とされる日々においてリハビリを行うことは運動機能の低下を防ぎ、これによって健やかな生活を過ごせることは当然でしょう。そしてその支援のためには、リハビリ専門職だけではなく介護職におけるリハビリが必要となると考えます。

ただ歩く事が目的ではなく、自宅などその人の生活圏域に沿った移動の訓練

では具体的に、どのような場面で介護職のリハビリが行われているのでしょうか。例えば「歩行リハビリ」というと、平行棒や下肢に負荷をかけたいわゆる「歩行訓練」をイメージしがちです。実際、介護度を決めるために行われる認定調査項目において、「歩行」の評価は「(自力または何かの支えで)何m歩けるか」という評価になっており、歩くという項目に注視されています。

しかし実際、高齢者の生活圏においては、どのくらい歩けるかということよりも、歩くことが目的達成のための手段であり、具体的には「トイレに自分の気が向いた時に行ける」「お腹が空いたから冷蔵庫に向かう」など、自分の目的のための移動能力が重要でしょう。そのため、高齢者自身のライフスタイルを把握している介護職であれば、その人の目的を叶えるための移動手段を一緒に考え、それに即したリハビリを行うことが可能ではないでしょうか。

例えば、住宅改修で手すりを設置したものの、家具などの配置を変えたためにそれまで住んでいた空間と異なってしまった場合。かえって移動しにくくなった高齢者の方に、動線の有り方を介護職が一緒に考えます。手すりと家具を上手く活用し、寝室からトイレに行くまでの途中に休憩スポットを設置すれば、寝室からトイレまで一気に歩行できる能力がなくても問題はありません。

大事なのは、その人に沿った生活圏での移動能力を維持できるリハビリを、生活目線で介護職が行うこと。無理に機能向上を目指さなくても、十分な目標達成になります。

トイレでのズボンを下げる動作

他にも、例えばトイレのシーンで便座に座ることは可能ながら、下衣を上げ下げできるほど体を曲げられない場合。自力での上げ下げの動作を目的にすることも重要ですが、目的を上げ下げだけに限定するなら、別に手で上げ下げする必要はないでしょう。マジックハンドのようなものや自助グッズを使って上げ下げができれば、自力動作は可能です。そのため、自助グッズ等の使い方を訓練したほうが、ずっと早く効果が出る場合もあります。

もちろん、その方の能力やさまざまな環境要因も関わります。そのため、少し極端な例かもしれませんが、実際にそういう方法で自活されている高齢者の方も数多くいらっしゃるのが現状です。

関節の拘縮を予防するため、ベッド上での関節可動域訓練

高齢者は認知症や身体合併症が進行して寝たきりの状態になってしまうと、関節の拘縮が進み、褥瘡をはじめさまざまな身体的リスクが悪化します。関節が拘縮しないようにリハビリ専門職が個別でリハビリを行ってくれますが、1日何時間も1人の方だけにリハビリを行うことは物理的に厳しいでしょう。

そこで、日々の生活支援を行っている介護職の方々が1日1回でも拘縮予防の関節可動域訓練を行えば、大幅に拘縮の予防が期待できます。最後はセラピストの協力やアドバイスが必要になりますが、実際に介護老人保健施設などでは実施している施設が少なくありません。

もちろん、知識を持たず闇雲に関節可動域訓練を行えば、逆に利用者にとって負担がかかります。そのため、一人一人に合ったプログラムは必要ですが、リハ専門職の適切なアドバイスの基に行うことは可能です。

まとめ

リハビリテーションというと、セラピストによるリハビリが一般的かもしれません。しかし高齢者におけるリハビリは、「生活リハビリ」という視点からも身近な介護職が行うことがより効果的な場合もあります。発想とやり方によっては、介護という専門職の視点から逆提案するくらい、リハビリの在り方について考えることも時には重要かもしれません。

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