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病院と老健の働き方、意識の違い

2018-04-09

介護職員と言えば、一般的に介護サービス事業所に従事しているイメージを持たれがちです。しかし中には、療養病院を代表に、医療機関に従事している人も少なくありません。今回は医療系施設の中でも、病院と介護老人保健施設の2つについて、介護従事者としての意識や働き方の違いをお話します。

病院に従事する介護職員の意識や働き方

療養病床を始め、高齢者が多く入院している病院において、介護職員はどのような業務を中心に行うのでしょうか。

病院では当然ながら何かしらの疾患を抱え、その治療のために入院をしています。しかし、中には大きな治療は必要ないが自宅で過ごすことが困難で入院している、高齢による保存的治療が目的で入院している社会的入院も少なくありません。特に療養病棟においてその傾向は高く、そういった病棟では日々の療養生活の支援が中心となる場合がほとんどです。

ただ、入院中は診療計画や看護計画を立案し、それに基づきサービスを提供していきます。そのため、サービス内容は医療に基づく支援が中心のものになっていきます。

また、医療現場では医師の指示を頂点とし、看護師、そしてコメディカルというトップダウンのピラミッド型の構図です。そのため、医療現場に従事する介護職員の業務内容は、患者さんの治療をベースとした支援が中心となっています。

例えば常食で食事摂取が困難な患者さんに対し、リスク(医療事故)を最優先に考え、安全に食事をとってもらえるような食事形態に変更する。あるいは、無理な食事摂取は行わないといったことを考えます。また、認知症疾患があって通常の治療提供が難しい場合、治療を提供するためにも身体拘束や投薬による安静を促す場合も当然あるでしょう。

あくまで治療することが目的なため、介護職員の意識も「患者さんの病気を治してあげたい」という点に重点が置かれ、業務を行っていくこととなります。

介護老人保健施設に従事する介護職員の意識や働き方

一方、同じ医療系から、時代の流れに伴って介護へと転換された介護老人保健施設はどうでしょう。まず、先述した医療におけるピラミッド型の構図と比較すると、介護老人保健施設は医師・看護師・コメディカル系の全てが横並びのドーナツ型となり、多職種協働が前提となっています。そのため、医療系は医師・看護師、栄養系は管理栄養士、生活系は介護職員といったように、各専門分野についてそれぞれの見解を議論し、サービス内容を決定していくのです。

また、老健は介護保険施設であるため、利用者の生活を支援することが一番の目標です。その目標に対して、ICFと呼ばれる生活モデルに基づき支援を行います。

例えば脳梗塞で左足に麻痺が残り歩けなくなってしまった利用者がいた場合。医学モデルであれば問題は「歩けないこと」であり、目標を「再び歩けること」に設定します。一方で生活モデルにおいては、歩けなくても車椅子で自由に移動ができれば問題ありません。それよりも、車椅子になって社会参加が低下しないよう、環境を整えてあげる方が目標に掲げられるのです。

こういった考え方のため、介護職員の意識は当然ながら生活の質を高めることに点に重点が置かれ、それに沿い業務を行っていくことになります。

まとめ

病院と介護老人保健施設は、それぞれの異なるニーズに応じ医療介護のサービスを行っています。当然、その中で働く介護職員も、各ニーズに応じた業務や考え方に沿って働かなくてはなりません。

今回お伝えした以外に、介護施設においても介護老人保健施設と特別養護老人ホーム、グループホームなどで目的が異なり、そこで働く介護職員の働き方や意識も異なってきます。介護業界で働くうえでは、自分の持つ介護観をもう一度内観し、自分の合った場所で働くことが大切と言えるでしょう。

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