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改定介護保険法による介護老人保健施設の方向性

2018-05-10

今回の介護保険法改正により、老健の基本報酬が「スコア型」と呼ばれる加点方式に変更されました。これは10個ある評価項目に点数が割り振られ、最高90点のうち各施設が取った点数に応じて「超強化型」「強化型」「加算型」「基本型」「その他型」の5つに分類されるというものです。改正内容を踏まえ、老健の方向性を考えます。

今改正により老健の役割がより明確に

老健は在宅復帰を目指す施設として位置づけられており、これまでそれに対する評価も行われてきました。それが今回の改正によって、在宅復帰に加え在宅支援を推進する事も評価するとされています。

例えばスコア項目にある「入所前後訪問指導割合」や「退所前後訪問指導割合」は、在宅と施設を繋ぐ重要な役割と再認識され、スコア項目に含まれました。

また、在宅サービス実施数やリハビリ職員の割合なども、施設から在宅まで切れ目のない機能訓練・機能回復を老健に求められているものと言えるでしょう。こういったスコア評価からも、老健は地域包括ケアにおける在宅支援を担う施設サービスの一つとして、目標が明確になっています。

その他にも、「かかりつけ医連携薬剤調整加算」という、入所前のかかりつけ医と入所後の老健側のかかりつけ医が連携・情報共有して多剤投与を減らしたときに評価される加算なども新たに創設されました。これも医療面から在宅と施設を繋ぐ大きな指針の一つであると言えるでしょう。

従来の老健はどうなっていく?

現状、地域の特性やニーズから在宅復帰支援を行っていない(行えない)老健があるのも事実です。在宅復帰型に移行できない施設は、今後どうなっていくのでしょうか。それらの従来型の老健についても、目指すべき指針がスコア評価項目に出ています。それは「要介護4・5の割合」、「喀痰吸引の割合」、「経管栄養の実施割合」など、いわゆる重度者を多く受け入れている施設に対しても、一定の評価がされるという点です。

重度者に対し、状態を悪化させないために一定数以上のリハビリ職員が配置されていれば評価され、結果的に「基本型」のスコアである20点を超えることができます。今改正では、こういった重度者への対応と手厚いサービスを行っている老健も、評価するしくみになっています。

まとめ

今回の介護報酬改定率は最終的にプラス0.54%となりました。全体としてはプラス改定でも、サービス種別によってはマイナス改定となっているものもあります。その中でも老健は、はっきりとした目標に向かって適正なサービスを行っている事業所に関してはプラス改定という結果となりました。すでに次期改定へ向けた議論が始まる中、老健側も自分たちが進むべき方向をしっかりと見定め、施設全体で目標に向かっていく必要があるでしょう。そうしなければ近い将来、経営が成り立たなくなってしまう恐れもあるのです。

そして老健だけでなく介護保険法全体の改正からも、高齢者の自立支援と重度化防止が謳われるほか、地域包括ケアに伴う総合事業の開始、地域での認知症支援など日本が抱えるさまざまな課題に対する対応策が発表されています。私たち介護事業者は、国の目指す方向性をしっかりと見極め、きたるべき波に乗り遅れないようにしていくことがより重要になってくることでしょう。

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