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何となく腑に落ちない。「介護度」ってどう決まるの?

2018-07-05

介護の現場にいると、「Aさんは要介護1なのに、Bさんは要支援2。どう見てもBさんの方が介護度は高いと思うのに……なぜ?」という疑問を持つことはありませんか? 介護度はどのようにして決まるのか?介護度の疑問について考えてみます。

「介護度」とは

介護度は介護サービスを保険給付で受けるために必要なものであり、調査を経て認定されます。認定を受けるには、(1)各自治体に申請、(2)主治医による意見書をもらう、(3)認定調査員による基本調査を受ける、(4)コンピューターによる1次判定を受けるという流れがあります。1次判定では、各項目においてどれくらい介護の手間が掛かるか、客観的な判断に基づいて数値化され介護度が決まります。さらに1次判定結果と基本調査による特記事項、主治医意見書などを基に介護認定審査会にかけられ、最終的な介護度が決まります。

1次判定はチェック項目のみを見られる

コンピューターによる1次審査では、客観的数値に基づく判定がくだされ、特記事項等は一切加味されません。例えば1ヶ月前にできなかった項目が今日できたので「できる」にチェックを付け、特記事項に「日頃はできないこともあるが調査時は可能だった」と書いたところで、1次判定では一切検討されないのです。

もちろん、日頃の状態を勘案してチェックする項目もあります。しかし、例えば2ヶ月前は頻回だったのに、ここ1ヶ月で1回しか出現していない症状があった場合などは「時々ある」にチェックされ、「頻回にある」にはチェックされない決まりになっています。

1次判定は機械的に行われるため、特に認知症の周辺症状などによる介護の手間は反映されないことがしばしば見られます。

2次判定は有識者の眼と意見により決定される

2次審査では、1次判定だけでは実状に添わない可能性のある判定結果について、認定審査会の委員が検討します。1次判定結果と特記事項、主治医意見書を確認し、コンピューターが仮判定した結果を精査して協議します。特に、認知症の有無やチェック項目からは読み取れない介護の手間などは、この2次判定によって介護度に大きく影響します。1次判定では要支援2だったケースが、2次判定では要介護2になるといったことも往々にして見られます。

しかし逆のこともありえます。1次判定では要介護1だったケースが、2次判定では要支援1になるといった判断も見られます。

なぜ介護度の疑問が生じるのか

介護度というのは、「介護の手間」を数値化したものとも言えます。極端な例で説明すると、寝たきりで全介助の被保険者よりも、足腰は自立していて認知症とBPSD症状が顕著に出現する被保険者の方が介護の手間がかかるため、前者は要介護4だけど後者は要介護5、というケースもあります。

また、認知症のために受け答えが難しく、発語もあまりせずにじっとしているAさんという方がいるとします。これに対して、中度の認知症で他者へ過干渉で活発なBさんがいれば、Bさんの方が介護度は重いという場合もよく見られます。現場で働く者からすると、日頃の状態を知っているだけに、AさんとBさんが逆転したように感じてしまうかもしれません。

まとめ

介護職員として働くうえで、介護度は直接関係ないものかもしれません。しかし、居宅のケアマネジャーから受け取る事前情報の一つとして、参考になる場合は多いでしょう。その際に介護度だけでイメージを膨らませるのではなく情報の一つとして捉え、利用者の全体像を他の情報からも収集する必要があります。

実際に関わってみてあまりに自分の想像している介護度と乖離している場合は、担当のケアマネジャーに情報提供すると良いでしょう。ケアマネジャーにとっては重要な情報で、次回の介護度判定の際の参考になるかもしれません。もしそういった情報があれば、どんどん提供していきましょう。

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