地域福祉から生まれる居場所 - 1.

2016-01-20

今まで高齢者支援に注力してきた筆者が、なぜ肢体不自由児を対象とした「放課後デイサービス」を始めたのか? 重要なのは、本人や家族のニーズに応えるためにスキルを磨き、すべきことに向き合う姿勢が、専門職として求められているのではないか。

肢体不自由児を対象とした放課後デイサービスを立ち上げたのはなぜか?

この夏、私は1つの法人を立ち上げ、最初の事業として肢体不自由児を対象とした「放課後等デイサービス」を始めた。今回のコラムでは、これまで未経験であった児童支援の事業を立ち上げるに至った経緯を綴っていこうと思う。

そもそも、私自身の15年の福祉経歴を振り返れば、そのほとんどを高齢者支援の担い手として活動してきている。3年前から中途障がい者の就労支援に携わるようになったが、それは若くして脳梗塞などで半身不随マヒなどになってしまった方々の居場所づくり(当時は、高齢者のデイサービスやデイケアなどに行く以外に行き場がほとんどないのが現状だった)がきっかけで始めたので、障がいサービスという分野に関しては、俗に言う「専門性」というものはほぼない状態からのスタートであった。

重要なのは「専門性」? それとも、どこから見ているかという「視点」か?

「専門性」のほとんどない状態ではあるもの、今回、法人設立と同時に肢体不自由児の放課後等デイサービスを立ち上げたのには明確な理由がある。

一つは、神奈川県藤沢市周辺では肢体不自由児が通える放課後の場が少なく(当時、藤沢市には20程度の放課後等デイサービスがあったが、肢体不自由児を主たる対象としていた事業所は2ヵ所しかなかった)、受け入れ人数も10名/1日と決して充足した状態ではなかったためである。日々、待機児童が存在するような状態にあった。一般的に放課後等デイサービスは増加傾向にあり、量だけで見ると充足していると判断されてもおかしくないように思われている。しかし、それだけ増えているにもかかわらず、肢体不自由児の行き場が増えているという話はほとんど聞こえてこなかった。

理由は各市町村によって異なるだろうが、以下にあげることは少なからず関係しているように思う。

まずは、「医療ケア」の必要性が高く、看護師の配置を求められること。

次に、支援員にもそれ相応の『専門性』が求められ、「安全」「安心」を守ることを同時に求められることである。

その他の理由としては、送迎車両(車いす乗車が必要な児童が多い)の整備や、配置職員を通常の放課後等デイサービスより多く必要とすることもあるようだ(身体的な関わりが多いことや、知的障がいも重複している児童が多いので、より個別性を求められるという理由からである)。

これらは、支援者側から聴いた話である。

これだけを聞いてしまうと、これまで障がい児の支援に関わったことのない方だったら、肢体不自由児の放課後等デイサービスを立ち上げるという選択をすることはないかもしれない。

本人や家族の思いは違う。「遊びたい」「自由に身体を動かしたい」

では、ちょっと視点を変えて肢体不自由児童本人とご家族からの話はどうかというと、児童からは「遊びたい」の一言につき、ご家族からは「自由に身体を動かせてあげたい」「リハビリの機会が少ないので、もっと持ちたい」「チャレンジさせてあげたい」「社会体験を積んでいってほしい」といったことが、先であった。

もちろん、「医療ケア」「安全」「安心」という言葉が出なかったわけではないが、それよりも『活動』と『経験』を大切にしているということが伝わってきた。

私たち福祉に携わる者がすべきことは、本人やそのご家族の「ニーズ」に対応していくことであって、支援者の「ニーズ(不安)」に対応していくものではない。

専門職としての在り方では、自分が「出来る」ことに役割を見つけ出す時代はそろそろ終わりを迎えるのではないか? むしろこれからは、「すべきことに向き合う」、そのために自分自身のスキルを高めていく。そんな人材が求められる時代が来るのではないか。

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