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「ニーズ」とは?


東京都、神奈川県、静岡県のケアマネジャー実務者講習会で社会福祉士の先生から「ニーズは、利用者の希望(want)や要望(demand)を基に専門職としての必要性を判断したものである」と習いました。恐らくJonathan Bradshawの定義を参考にしていることと思います。
俺は、介護保険分野で仕事をしていた時はこの考え方に賛成でした。いわゆる利用者の想いを傾聴してQOLを高める或いは自立支援をするためにニーズを把握するという意味で。
けど、今、自立支援法分野の現場で介助業務をしていると「当事者こそが専門職である」(当事者主権)という考え方も理解できるんだよね。そして「当事者主権」(岩波新書)によれば、「当事者主権とは、私が私の主権者である、私以外のだれも−国家も、家族も、専門家も−私がだれであるか、私のニーズが何であるかを代わって決めることを許さない、という立場の表明である」と書かれてあるんだよね。これも理解できる。
さて、認知症の高齢者や精神障害、知的障害の方々を支援している方はこのような考え方についてどう思いますか?

RE:「ニーズ」とは?

◎「当事者こそが専門職である」(当事者主権)素晴らしい考え方であると思います。しかしながら、自己決定については制限があります。「公共の福祉に反しないこと」「判断能力があること」です。私たちは公共の福祉との均衡を図り、判断を助けることで、当事者主権を支える立場にあると考えます。

◎大切なことは「当事者主権」ということをベース思想のひとつにおくことです。そうしないと、「この人のため」という大義名分で周囲の都合を対象者に押し付けるようになります。そのような観点からも「当事者主権」には賛成です。

RE:RE:「ニーズ」とは?

ひよこさん、貴重なコメントありがとうございます!
ひよこさんは、高齢者福祉に携わっていらっしゃるかと思いますが、実際に認知症等で判断能力が低下している場合、日々の自己決定をどう支援していますか?どんなことに気を使っていますか?可能な範囲で教えて下さい!
他介護保険制度が施行されたのも、成年後見人制度が施行されたのも同じ200年。他皆さん、一般的に後見人制度が活用されているのでしょうか?普及しているのでしょうか?

後見制度

グループホームにて後継人制度を利用している方は少ないです。認知症になる前に申請が必要だからです。
在宅で一人後継人制度を利用していた方がいらっしゃいました。資産家の方で遺産分与の関係で制度を利用したと思われます。
絶対条件はどんな状態になっても施設には入れないと言うのが条件でした。
大変必要な制度ですよね。

答えになってませんね。

RE:RE:RE:「ニーズ」とは?

◎自己決定を支える事はとても難しいことですね。私は施設勤務なのですが、利用者の訴えや、その内側にあるものを考え、可能な範囲で実現していくことに尽きると思います。これがまた難しいのですが・・・答えになっていなくてすみなせん。

◎成年後見制度については、あまり活用されていないようです。契約を強く謳う介護保険制度を支える位置づけで見切り発車してしまった成年後見制度ですが、私の施設や関係機関でも活用事例は少ないです。手続きが煩雑であることや費用の問題などがあります。選任までの期間も費用も保護者選任のようにはいきません。

◎詳説は割愛しますが、厳密に言ってしまえば中等度〜重度の認知症がある方は、青年後見制度を活用しない以上、契約を前提とする介護保険各サービスを利用することができません。措置時代の方が良く福祉が機能していたのではないかと思ってしまうほどです・・・自治体によりますが・・・

◎自己決定を支援する法律として整備されたはずの成年後見制度です。利用しやすい制度への転換を期待したいと思います。

◎法律のことは専門家に任せるとして、私たちの現場の立場では利用者や家族にとって良い選択肢を提示できるよう努めることを一義的に考えていきたいと思います。

RE:RE:RE:RE:「ニーズ」とは?

見つけました!
日本社会福祉士会による『新社会福祉援助の共通基盤』(中央法規出版)では、Jonathan Bradshawによるニーズの定義を以下のような整理をしています。

①ノーマティブ・ニード(規範的ニード)
専門職や社会の側が認めるある一定の水準に対して何らかの乖離があることから、それがニーズと認められるもの。

②フェルト・ニード
要援護者が感じているニーズ。wantと同じような意味に理解される。

③エクスプレスド・ニード
要援護者によって、フェルトニードが表現されたもの。demandと同じような意味に理解される。

④コンパラティブ・ニード
すでに何らかの援助を受けている人と比較して、同じような状態にあることで、同様のニーズを有していると理解されるニーズ。

この考え方は、俺は共感していて使い分けているつもりですが、一般化しているのでしょうか?

RE:RE:RE:RE:RE:「ニーズ」とは?

私も社会福祉学に携わっている者として、この定義の定着は、保健医療福祉分野に浸透させたいと思う次第です。
私は、この用語の使い分けをすることで、利用者にも専門職同士でも分りやすく、そして適格・正確に情報共有ができるものと信じております。
まさに日本社会福祉士会に音頭をとってもらい、普遍化させたいものですね。

RE:RE:RE:RE:RE:RE:「ニーズ」とは?

よかった〜理解者がいて。
俺も関係者がしっかりと用語の使い分けをするだけでも効率化されると思うんですよね。
一緒に学校で学んだ者同士って話が通じるっていうのは、こういうことかもしれませんね。そのためには「共通用語」が必要ってことですね。
確かに「福祉住環境コーディネーター」の本来的な役割は、ソフトとハードに携わる専門職(スペシャリスト)が双方の掛け渡しをする意味もあって、ジェネラリストをして活躍するって背景があった位ですからね。そのため、資格の意味を正しく理解している教育機関では、用語の定義とそれぞれの分野の特徴をしっかり指導していますもんね。
ちょっと話を自ら脱線してしまいました(理解者がいてうれしかったもので)。

RE:「ニーズ」とは?

皆様の介護に対する真摯な思いを読ませていただきました。ご本人の「ニーズ」を大切にしなければならない。と言うのは分かっていてもケアの現場で、なかなか実行できないことが問題だと思います。
認知症ケアに関わっておりますが、たとえ、ご本人が歩きたい(徘徊)、どこかへ行きたい、と考えたとしても、歩行不安定な方であれば「ココに座って!」と、止めてしまうのが現状ではないでしょうか。そういうケアが、より筋力低下し転倒し車椅子生活になると見えていても目先の危険が優先されます。先のことまでをニーズに踏まえてキーパーソンと相談できるスタッフが少ないのが現場です。ご入居者の「本当のニーズ」を把握し、ケアしていくには、現介護保険の人数配置(3:1)では危険判断を出来ない認知症ケアに「ニーズ」を生かしていくことは難しいですね。
成年後見人を立てられた入居者は、これまでに3名。弁護士でした。他の方は血縁の保護者が決定しています。いくら契約社会でも、現行制度は利用しにくいと思います。まず、医師の診断確定に最低5万円以上。家庭裁判所申請。血縁関係者の了承など。ヨーロッパ並みに認知症認定できなくても後見人が認められる必要があると思います。

RE:RE:「ニーズ」とは?

mammamiaさん、ご意見参考になりました。
確かに現場の職員配置状況の余裕のなさは日本全体の問題かと思います。
ただ、それが解決されたとして如何でしょうか?
認知症の方の気持ちと想いを理解することは、その方の生活歴、性格、表情、態度、行動等から察することができる専門職とそうでない専門職とでは相当な能力差があるかと思います。そしてそこまでの教育がされていないことも現状です。
そうしたらできるようになるのでしょうか?

RE:RE:RE:「ニーズ」とは?

俺も現場にいてよく心配になります。
意思疎通の困難な方々と関わる際に「一体どこまで気持ちや思いを理解できるんだろうか」「どこまで理解したのだろうか」って。
先日も障害を抱えた利用者さんに言われました。
「どんな障害があろうと、どんな理由で意思疎通が困難であろうと、それを知ろうとする姿勢を持ち続け、少しでも理解できる人が専門職である」と。
「逆に言うなら、理解できないなら、専門職ではない」と。
いや〜厳しいご指摘でしたが、最もですよね!

RE:RE:RE:RE:「ニーズ」とは?

mammamiaさん、こんばんは!
[9]へのコメントお待ちしております。よろしくお願いします。

当事者主権について

「当事者主権」(岩波新書)によれば、「当事者主権とは、私が私の主権者である、私以外のだれも−国家も、家族も、専門家も−私がだれであるか、私のニーズが何であるかを代わって決めることを許さない、という立場の表明である」と書かれている。
障害者支援をしている俺にはよく理解できるフレーズです。
高齢者福祉分野で「専門職」として働く皆さんはどう受止めますか?お考えを教えて下さい。

RE:当事者主権について

私も障害者福祉の勉強も少々かじった経験があり、大学の社会福祉援助技術演習で、小山内美智子さんの「あなたは私の手になれますか?」というタイトルのビデオを見てショックを受けたことがあります。彼女は先天性の脳性麻痺ですが、自らの経験に基づき、「障害者も障害のない人と同じように生活すべきだ」、「障害が重い人ほどケアを受けるプロなんだ」、「障害者が自立生活をするのは、人間が月に行くより難しい」といった独特の持論を持っていらっしゃり、「すべての障害者はケアの教師になれる。」という発言どおり、看護学校で講師をしたりしている。スウェーデン旅行で、初めて自分が「人間であること、女であることを学んだ」という言葉は、裏を返せば、日本では、「女でもなければ、人間でもない」扱いしか受けられなかったということでもある。つまり、当事者主催ということが如何に大切であるかということである。それはそれで十分理解できた。しかし、そもそも、介護保険がケアマネジメントを導入したのは何故かを考える必要がある。小山内さんのように、障害者の方は社会資源を自らのニーズに基づき選択する力を備えている場合が多い。しかし、環境等の制約によりそれが発揮できないのが問題となっている。それを克服するのがバリアフリーという概念である。一方、高齢者については、自らのニーズについての自覚も曖昧であり、経済学的な個人の市場における選択メカニズムが適切に機能しないのである。そのため、必要であるにもかかわらず、それを求めようとしなかったり、求められなかったりするのである。そこで、高齢者の潜在的ニーズを顕在化し、社会資源に適切に結びつけることを目的にケアマネージャーが誕生したのである。だから、基本的には当事者主催で良いと思うが、それが上手く機能しないのが高齢者なのである。
よって、マーケティングなどの手法が上手くできない分、高齢者の真のニーズを適切に把握しきれないところに、高齢者福祉の難しさがあるということになると考える。

RE:RE:当事者主権について

学校の講義以上にこのタイトルは勉強になっています。SocialJusticeさんにお聞きできないのが残念な限りです、、、。

dendenさんがおっしゃる「高齢者については、自らのニーズについての自覚も曖昧であり、、、」は違和感があったので友達とも議論しました。

老人福祉法の第2条「老人は、多年にわたり社会に進展し寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、、、」と第3条「老人は、老齢に伴って生ずる心身の変化を自覚して、常に心身の健康を保持し、、、」を参考にすると、「当事者主権」を支えるのが専門職のような気がしています。

RE:RE:RE:当事者主権について

 Aさんこんばんは。度々ご指摘いただきありがたいかぎりです。
 Aさんはニーズについて老人福祉法を参考にされたそうですが、第一章第一条にあるとおり、老人福祉法は措置法ですので、何を持ってニーズを考える際の参考にされたのかが理解できません。
 しかも、当事者主権を考えているにもかかわらず、老人福祉法の第2条を持ち出すこと自体、ナンセンスだと感じます。再度、意味を考えながら読み直してみてください。
『(基本的理念)
第二条  老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものとする。』(老人福祉法第一章第二条)
「敬愛される」とか「保障される」というのは、高齢者を客体と見ているのです。じゃあ、主体として敬愛するのは、保障するのは誰ですか?つまり、老人福祉法においては、老人は主権者ではないのです。ただ、私はAさんと同じように高齢者にも当然、主権が存すべきと思います。ただ、それを保障するのは、なかなか難しいと言っているのです。ニュアンスは伝わりますでしょうか。
 勉強のためにも再度お伝えしておきますが、当事者主権を語るときに老人福祉法を引き合いに出すのは慎んだ方がよろしいかと思います。
 では、すばらしいソーシャル・ワーカーになられてくださいね。

RE:RE:RE:RE:当事者主権について

dendenさん詳しいコメントありがとうございます。
確かに旧措置法は行政が主権者であったので、その中で当事者主権を語ることは、、、という指摘は最もかと思います。
そして介護保険法や障害者自立支援法で、いわゆる「措置から契約へ」と移行したにも関わらず、今尚、一部のケアマネジャー及び家族が措置時代と変わらぬような利用者不在、当事者不在の中でケアマネジメントを進めている現状に対して議論すべきことかと思いました。

私としては、ここでは、私も障害者福祉に携わる以前は馴染みのなかった「当事者主権」という考え方に対して、高齢者福祉に携わる方々がどう思うのかを聞いてみたかったんです。

imagine最終投稿

皆さんともっと議論したかった、、、残念!

RE:imagine最終投稿

imagineさん、お疲れ様でした!
傍観者の一人として恥ずかしく今になっての参加です。
もっと勉強しようと思います。
様々な情報提供ありがとうございました。

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