児童指導員とは?役割・業務内容・必要な資格や要件について徹底解説

児童指導員とは?役割・業務内容・必要な資格や要件について徹底解説

2012年に児童福祉法が改正され、療育施設の増加に伴って年々需要が増えている児童指導員。

子どもが好きな方や療育・ケアなどの仕事に興味がある方は一度は目にしたことがあるのではないでしょうか?

そこで今回は児童指導員どんな仕事なのか?また、役割や業務内容、目指す上で必要な資格・要件について詳しくご紹介します。

児童指導員とは?

児童指導員とは、様々な事情により放課後等デイサービスや児童養護施設などに入所・通所する子どもたちの成長をサポートする職員のことを指します。

児童指導員の仕事・役割は勤務する施設や担当する子どもたちによって変わります。児童養護施設では虐待やネグレクト、経済的な事情により、家族とともに暮らせない子どもたちの日常生活の支援、学習や遊びのサポート・指導を行います。

一方、児童発達支援施設や放課後等デイサービスでは、発達障害や知的障害を抱える子どもたちが将来的に自立できるように自活に必要な知識や技能を教えたり、集団生活への適応のための訓練を行ったりします。

中には、心に傷を抱えて入所する子どもたちもおり、児童指導員は子どもたちの精神的な支えであり、家族や兄弟のような存在でもあると言えます。

児童指導員の具体的な業務内容って?

児童指導員の主な業務内容は、入所・通所する子どもたちの身体や心のケアに始まり、日常生活のサポートや将来的な自立のための指導などです。

ここからは児童指導員の仕事内容について詳しく説明していきます。

生活指導

児童指導員の業務のメインは、子どもたちの生活全般の指導です。

具体的には、朝は子どもたちに食事を食べさせて学校へ送り出し、子どもたちが帰ってきたら学校の勉強のフォローや身の回りのお世話などを行います。

児童養護施設の子どもたちの多くは、保護者から食事作法や基礎的な礼儀などを学べないまま入所しているケースが多くあります。児童指導員は親代わりとなって挨拶や礼儀作法、食事の食べ方、社会ルールの教育などを行います。

障害児が入所・通所する施設に勤務する場合は、一人ひとりの状況や特性に合わせて作られた個別支援計画に基づいて、療育や自立のための訓練・サポートを行います。

生活指導計画の立案

生活指導計画とは、障害を持つ子どもが将来的に自立できるよう、特性や発達状況に合わせて作る支援・サポートの計画のことです。

子どもたちの発達状況や苦手なこと、得意なことはそれぞれ異なります。一人ひとりの個性を理解し、健全に成長していくために必要な「できること」を増やせるように目標設定を行い、サポートしていくことが求められます。

生活指導計画の作成は、主に子ども達が学校に行っている日中の時間帯に行います。

学校や児童相談所との連携

子どもたちが通う学校と連携をとることも児童指導員の大切な仕事です。

学習内容やクラスメイトとの関わり方などを教員と共有し合い、子どもたちのケアや生活指導に役立てていきます。

また、子どもと保護者の関係の変化や虐待・ネグレクトの兆候などに気づいたら、学校や児童相談所と情報を共有することも大事な仕事です。子どもの命を守るためにも、些細なことに目を配る注意力や危機管理能力などが重要となります。

保護者との面談

子どもたちの引き取りに関する保護者面談も児童指導員の大切な業務です。

とくに、児童養護施設や乳児院などに入所している子どもの中には、親が「子育てがうまくできない」「自分一人で生きていくのに精一杯で…」という理由で、一緒に暮らせないケースも多くあります。

しかし、子育てに問題を抱えているからと言って、その問題を放置したまま子どもを預かることは根本的な解決にはなりません。

保護者の悩みに寄り添ったり、一緒に解決の糸口を探したりすることで子どもとまた一緒に暮らせるようになるケースもあります。そのために、保護者と接する時間を設け、適切な親子関係・家族関係に改善するサポートを行うことも大切になってきます。

進路相談

子どもたちの進学・就職相談にのることもあります。

中学卒業時または高校卒業時の進路相談で、一人ひとりに合わせた進学や就職のサポートを行います。

どんな進路に進みたいか、将来どんな仕事に就きたいか、そのためにどんな高校・大学を目指すかは一人ひとり違うので、子どもが考える将来像を理解した上でサポートしていく柔軟性が必要です。

そのためには子どもたちとの関係性作りが重要になります。日頃からコミュニケーションをとって、強固な信頼関係を築くことが大切です。

児童指導員の1日のスケジュール例

児童指導員の1日のスケジュールは勤める事業所や担当する子どもたちの年齢や状況によって大きく変わります。

ここでは、児童養護施設に勤めた場合の早番・遅番のそれぞれスケジュールを例としてまとめてみました。

早番のスケジュール例

6:00 出勤・宿直スタッフとの共有
7:00 子どもたちの起床
8:00 朝食・歯磨き・学校へ送り出し
9:00 施設の清掃や衣類・シーツの洗濯
12:00 休憩
14:00 生活記録の記入や支援計画の作成など
15:00 退勤

遅番のスケジュール例

14:30 出勤・早番スタッフとの引継ぎ
15:00 レクリエーション
17:00 学習指導(宿題や授業でわからなかったことのサポート)
18:30 夕食
19:00 入浴
21:30 就寝の見回り
23:00 退勤

児童指導員になるには?必要な資格・要件を解説

児童指導員になるには「児童指導員任用資格」が必要です。

しかし、「任用資格」というのは通常の資格のイメージと異なり、専門の試験を行って取得するものではないため、「児童指導員」という名前の資格があるわけではありません。

児童指導員として就職するには、特定の資格を保有していたり、専門課程を修了したりなどの条件をクリアした場合に得られる任用資格を証明するための書類(卒業証明書や実務経験証明書など)が必要になります。

児童指導員任用資格を得るには?

児童指導員任用資格を得るには大きく分けて5つの方法があります。

それぞれの方法によって任用資格を証明するための書類の内容が変わるため、児童指導員を目指す方は自分の今いるステップを踏まえて改めて確認しておきましょう。

社会福祉士・精神保健福祉士の資格を保有

国家資格である社会福祉士、または精神保健福祉士の資格を取得していれば、児童指導員任用資格も自動的に得ることができます。その際、社会福祉士または精神保健福祉士の資格を取得した時点で発行される資格証の写しが児童指導員任用資格の証明書となります。

社会福祉士や精神保健福祉士は、国家試験に関わる専門の科目を設けた大学で4年間学習してからでなければ国家試験を受験することができません。

一般の大学・短大を卒業している、または社会人や主婦(夫)の方がこれから取得を目指す際は、社会福祉士や精神保健福祉士の一般養成施設を卒業した場合のみ国家試験を受験することができます。

大学や大学院、養成学校で専門課程を修了

通信制の大学含む4年制大学や大学院で社会福祉学、心理学、教育学、社会学を専門で学ぶ学部や学科、研究科を修了した場合、または都道府県が指定する養成校を卒業した場合に児童指導員の任用資格を取得可能です。その場合は、学校の卒業証明書または履修科目証明書などが任用資格の証明となります。

教員免許状を保有

幼稚園・小学校・中学校・義務教育校・高等学校・中等教育学校のいずれかの教員免許を保有しており、厚生労働大臣または都道府県知事から「適当」と認められた場合、児童指導員の任用資格を得られます。

その際、免許状の写しがあれば児童指導員任用資格としての証明になります。保育士資格は該当しないため注意が必要です。

高校卒業に加えて児童福祉施設で2年以上の実務経験がある

高校あるいは短大を卒業した人の場合、卒業後に児童福祉施設で2年以上の実務経験を積むと、児童指導員任用資格が得られます。

この場合は、高校あるいは短大の卒業証明書と実務経験証明書の提示が必要です。

3年以上児童福祉事業に従事し厚生労働大臣または都道府県知事から認定を受ける

高校を卒業していなくとも児童指導員の任用資格を得ることは可能です。

児童福祉事業所で3年以上の実務経験を積み、厚生労働大臣または都道府県知事から「適当」と認められた場合、児童指導員任用資格を取得することができます。この場合は、実務経験証明書が児童指導員任用資格の証明となります。

児童指導員の勤務先

児童指導員が働ける勤務先は、児童養護施設、障害児入所施設、通所施設、放課後等デイサービスなど、さまざまあります。

しかし、勤務する施設によってサポートを行う子どもの境遇や、支援を必要とするのか療育が必要なのか、業務内容等も大きく変わります。

そのため、勤務可能な各施設の特性を理解して、改めて自分が子どもたちとどう関わっていきたいのか、どんな児童指導員になりたいのかを明確にして施設選びをすることが大切です。

児童指導員が勤務可能な各施設の特徴について見ていきましょう。

児童養護施設

児童養護施設は、事故、災害、病気、虐待、ネグレクトなどさまざまな理由で家族や保護者と一緒に暮らせなくなってしまった1歳〜18歳までの子どもたちを保護して支援している施設です。

施設で共同生活を送るにあたり、勉強のサポートや生活における礼儀作法の指導などを親兄弟の代わりとなって児童指導員が行います。

また、家庭に戻るための保護者との面談や児童のサポート、進路相談なども必要となるため、子どもたち一人ひとりの状況に合わせたコミュニケーションや柔軟性が必要になります。

障害児入所施設

障害児通所施設は、身体障害、知的障害、精神障害、発達障害などの障害を持った子どもが入所する施設です。対象年齢は0歳から18歳までで、福祉型と医療型の2種類の施設に分けられます。

子どものできること・苦手なことにより療育やケアの内容は異なりますが、児童指導員は主に日常生活の介助(食事・入浴・排泄)や将来的な自立を目指して日常生活に必要な知識・技能・コミュニケーション能力向上のための指導を行います。

児童発達支援施設

児童発達支援施設は、小学校に入学する前の障害を持った児童が通う施設です。児童発達支援施設にも2種類あり、福祉サービスをメインとする福祉型と、医学的なケアもあわせて行う医療型があります。

児童指導員は一人ひとりの状況に合わせて、日常生活における基本動作の指導や、知識・技能の習得、集団生活に適応していくための訓練などを行います。

乳児院

乳児院は、児童相談所などに「家庭での生活が困難」と判断された0~2歳の乳児が入所する施設です。子どもたちの入所理由はさまざまで、保護者の疾病や虐待以外にも、ネグレクト、受刑、虚弱児や障害があることが理由で入所に至るケースもあります。

児童指導員は、保育士や看護師、栄養士、ソーシャルワーカーなどと協力しながら、子どもたちの療育・支援を行いつつ、無事に家庭復帰できるよう保護者をサポートすることも必要になります。

放課後等デイサービス

放課後等デイサービスは、小学生~高校生(6~18歳)までの障害を持った子どもたちが支援や療育を受けるために放課後や休日(夏休みなど)に通う施設です。

児童指導員は個別支援計画に基づいて集団生活になじむための訓練をしたり、コミュニケーションの取り方を教えたり、子どもたちがより良い日常生活を送れるように支援を行います。

児童指導員の仕事は将来性がある?

児童指導員の仕事はとても重要視されている仕事です。

2012年に障害者自立支援法が見直されたことにより、障害児支援の強化策として「放課後等デイサービス」が新設され、以来同事業所を利用する子どもたちは増加し続けています。

※出典:障害児サービスに係る利用児童数等の推移(サービス種類別)|厚生労働省(令和3年7月5日)

近年ではSNSの普及等により、発達障害が社会で広く認知されはじめていて発達障害とみなされる児童も増え続けているため、新たな児童指導員を必要とする放課後等デイサービス等の施設も増えていくでしょう。

しかし、課題もあります。

それは障害児支援施設を利用する児童の数は増えているにも関わらず、児童指導員の待遇や労働条件等は2012年の法改正以前から大きく変わっていないということです。

もちろん、なかには公務員として安定的に働ける公共の支援施設に就職する道もありますが、そうした職場で働けるのは厳しい採用競争をくぐり抜けた一部の児童指導員だけです。

児童指導員は業界として注目されているものの、業務量や待遇面などはまだまだ改善の余地が残されている職業であると言えます。

児童指導員の仕事探しのポイント2選

ここからは、児童指導員として転職を考えている方向けに、児童指導員の求人の中でチェックしておきたいポイント2選をご紹介していきます。

①残業の有無・業務量

児童指導員の求人の中でチェックしておきたい項目は残業の有無や業務量です。

前述の通り、児童指導員はニーズが高い職業である分、担当する子どもが多くなってしまって業務量が増えてしまうケースもあります。

また、子どもたちに寄り添う仕事のため、夜勤が多くなったり、生活が不規則になってしまったりすることも往々にしてあります。

その事業所の働き方が自分の生活スタイルと合っているか、3年後・5年後も無理なく働けるかをしっかり見極めることが重要です。

②こまめに相談できる環境か

次に、児童指導員の求人の中でチェックしておきたい項目はこまめに相談できる環境かどうかです。

児童指導員がケアを行う子どもたちは、心に傷を抱えていたり、障害を抱えていたりとさまざまです。昨日できていたことができなくなったり、何かの拍子に心を開いてくれなくなったりと思うようにケアが進まずに悩むこともあります。

そんな時、ケア内容や接し方を相談できる環境にあるかどうかは、児童指導員としてキャリアを重ねていく上で非常に重要になります。

もし求人内容だけでわからなければ、面接前の施設見学をお願いしてみても良いかもしれません。

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まとめ

今回は児童指導員とはどんな仕事なのか、目指す上で必要になる資格や将来性についてご紹介しました。

児童指導員は大変なこともありますが、子どもたちのできることが増えていったり、心を開いていく過程が見えたりととてもやりがいを感じられる仕事です。

また、困難を抱える子どもたちを支える非常に大切な仕事であり、場合によっては子どもたちにとって血のつながった家族よりも大切な存在になることもあります。

子どもが好きな方、療育やサポートに興味がある方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか?

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監修者 カイゴジョブ編集部

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