サービス管理責任者(サビ管)の仕事は大変・きついって本当?向いている人の特徴や将来性について解説

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サービス管理責任者(サビ管)の仕事は大変・きついって本当?向いている人の特徴や将来性について解説

障がい者支援の現場において、支援の品質やスタッフの動きを管理する重要な役割を担うサービス管理責任者。

障がいを抱える人を導く、やりがいに溢れた仕事ですが、実際にサービス管理責任者を経験した人の中には「大変」「きつい」という意見があるのも事実です。

サービス管理責任者を目指す方や興味がある方は「自分にできるだろうか」と不安に思うことも多いのではないでしょうか?

本記事では、サービス管理責任者は本当に大変な仕事なのか、きついと言われる理由や向いている人の特徴、将来性について詳しく解説していきます。

サービス管理責任者とはどんな仕事?

サービス管理責任者とは、障がいを抱える方の支援計画の基盤を作り、適正に支援が行われるようにサービスの質を管理したり、スタッフの指導や教育を行ったりするリーダーのような役割を担う職業です。

サービス管理責任者になるためには5年〜8年の実務経験と、2つの研修を修了する必要があるため、相談や支援業務の経験が豊富なベテランのスタッフが務める傾向があります。

ここからは、サービス管理責任者の具体的な仕事内容について掘り下げて紹介します。

個別支援計画の作成とモニタリング・進捗管理

サービス管理責任者の業務の中で最も重要な業務は、個別支援計画の作成です。

個別支援計画とは、利用者がどんな障がいを抱え、日常生活においてどんなサポートを必要とし、何を目標として支援を受けるのか、目標や支援の内容などを詳細にまとめたものです。

サービス管理責任者は利用者やその家族にヒアリングを行います。その上で会議を行い、実際に支援を提供するスタッフと、どんな支援を行えば良いか、現実的に可能な支援は何かをすり合わせて個別支援計画を完成させ、交付します。

個別支援計画が交付された後は、実際に支援が提供されます。その際、サービス管理責任者はこまめにモニタリングを行い、支援内容が合っているか、進捗に問題は無いかを確認していき、必要に応じて内容の修正を行います。

スタッフの指導や研修の実施

スタッフの指導や育成もサービス管理責任者の大切な業務です。

個別支援計画を作るのはサービス管理責任者の仕事ですが、実際に利用者に接して支援を行うのは生活支援員や職業指導員などのスタッフです。どんなに凝った支援計画を作っても、支援を提供するスタッフのスキル面が不足していては利用者にとってベストな支援を提供することはできません。

そのため、サービス管理責任者は支援の場に立ち合ってスタッフに助言を行ったり、研修や資格取得の促進を行ったりして、成長の機会を提供する必要があります。

医療機関や行政とのつながりを作る

利用者の支援をスムーズに行う上で、医療機関や行政との連携は欠かせません。理由は、利用者のニーズは日々変化するため、当初支援計画には組み込まれていなかった支援が急に必要になることもあるからです。そういった事案が発生した時、サービス管理責任者は医療機関や行政と連携を取り合い、利用者にベストな支援を提供できるような体制を作ります。

その他にも、利用者が複数のサービスを使い分けて生活している場合、支援計画においてイベントへの参加など地域との関わりが必要な場合などでも関係機関との協力体制が重要になります。

サービス管理責任者(サビ管)の仕事が大変・きついと言われる3つの理由を解説

サービス管理責任者(サビ管)の仕事が大変・きついと言われる理由は大きく分けて3つあります。

  • 業務量が多い
  • 責任が重い
  • 人間関係やスタッフとの接し方で悩みを抱えやすい
  • ここからは、なぜ上記のような事が起こるのか、サービス管理責任者の特性を踏まえて詳細に説明していきます。

    ①業務量が多い

    サービス管理責任者の仕事が大変・きついと言われる理由の1つ目は業務量が多いことです。

    サービス管理責任者の主な業務である個別支援計画の作成は、利用者一人ひとりに合わせた完全オーダーメイドなので、簡単に短時間で作成できるものではありません。支援計画は、利用者や家族の意向に耳を傾けるだけでなく、スタッフの意見や関係機関との調整を行いながら作っていくものなので非常に時間がかかります。

    さらに、交付後はモニタリングを行い、半年に1度は見直しをする必要があるため、複数人の利用者を担当することになれば多くの業務を抱えることになります。

    また、スタッフからの相談や利用者と家族からの相談が不定期で入ったり、スタッフの退職等が重なって生活支援員の業務を一部兼務したりと、状況によってはさらに多くの業務を抱えることもあります。

    もちろん、事業所によってはサービス管理責任者を多めに配置していて、業務過多にならないよう調整しているところもありますが、上手く人員を確保できていない事業所に勤務すると「業務量が多くて大変」と感じることがあるでしょう。

    ②責任が重い

    2つ目の理由は責任が重いことです。

    サービス管理責任者はその事業所が提供する支援の質を左右し、サービスそのものに責任を持つ職業なので、関係者からのクレームがあれば、その対応に追われることもあります。

    サービス管理責任者本人に何も落ち度が無くとも、スタッフの間違いによって責任を追及される場合もあります。

    裁量が大きい分、多方面に気を配って業務を行う必要があるため「責任が重い」「プレッシャーを感じてつらい」と感じる方が多いのも事実です。

    ③人間関係やスタッフとの接し方で悩みを抱えやすい

    3つ目の理由は、人間関係やスタッフとの接し方で悩みを抱えやすいことです。

    前述の通り、サービス管理責任者はスタッフに指導を行い、束ねる立場です。スタッフも人それぞれ考え方が違うため、指導の方法によってはサービス管理責任者に不満を感じる場合があります。

    また、勤務する事業所によっては、年齢や支援経験も上のベテラン職員に指導を行わなければならない場合もあります。サービス管理責任者はスタッフの特性や考え方を理解し、その都度一人ひとりに合った指導方法や伝え方をしなければなりません。

    しかし、人と人の関わりなので相性の良し悪しがあることも事実です。サービス管理責任者の努力だけではどうにもならない場合もあります。そのような状況に陥った時に「大変」「つらい」と感じるケースが多いようです。

    サービス管理責任者(サビ管)の仕事を続けるメリットとは?

    ここまで大変な面を紹介していきましたが、それでもサービス管理責任者の仕事を続けるメリットはあるのでしょうか?

    ここでは、サービス管理責任者が感じる仕事の良さややりがいについてご紹介します。

    利用者の成長を見届けられる

    サービス管理責任者(サビ管)の仕事を続けるメリット1つ目は、利用者の成長を見届けられることです。

    サービス管理責任者を目指す方の中にも「人の役に立ちたい」「障がいを抱えて生きる人々を支えたい」という気持ちを持つ方も多いのではないでしょうか。

    実際、サービス管理責任者は支援の土台から作り上げていく仕事のため、自分が携わったことによって利用者の目標が達成された時や、「ありがとう」という言葉をもらえた時はやりがいを感じます。

    確かに業務量も多く、大変に感じることも多い仕事ですが、その分他の仕事では味わえない瞬間に立ち会えることは大きな魅力です。

    一緒に働くスタッフと何かを成し遂げる達成感が味わえる

    2つ目のメリットは、一緒に働く職員と何かを成し遂げる達成感が味わえることです。

    障がい者支援の現場は、個人プレーではなくスタッフ同士で協力し合いチームで行います。サービス管理責任者だけでは十分な支援はできません。一緒に働く生活支援員や職業指導員、世話人などの多数のスタッフが支え合うことで、はじめて利用者にとってベストな支援を提供できるようになります。

    そのため、利用者や家族から感謝された時や、難しいと思っていた目標を達成できた時は、支援に関わったスタッフと一緒に喜びを分かち合うことができます。

    サービス管理責任者は、多くのスタッフを導く立場だからこそ抱える悩みもありますが、その分喜びや達成感を共有できる場面も多い仕事です。

    支援計画を1から作るやりがいを感じられる

    3つ目のメリットは、支援計画を1から作るやりがいを感じられることです。

    現場で実際に支援を提供する生活支援員や職業指導員を長く経験していると、「自分ならこういう支援をしたい」「もっと良い方法がある」など、支援計画そのものに意見を持つケースも少なくありません。

    もちろん、個別支援計画を作る際は会議を行って改良を重ねていくため、意見が反映されることもありますが、最終的に計画を仕上げて交付するのはサービス管理責任者の役割です。

    自分で考えた支援計画を磨き上げて実行し、その支援によって利用者が目標を達成していくやりがいは他の職種ではなかなか味わえないものです。

    障がい者支援のキャリアを積むことができる

    4つ目のメリットは、障がい者支援のキャリアを積むことができる点です。

    サービス管理責任者は、業務を通じて様々な立場の人とコミュニケーションを取る必要があります。利用者やその家族からニーズを引き出す際や、医療機関や行政などの関係機関との調整、スタッフを教育する時など、コミュニケーションスキルが磨かれる場面が多数あります。

    日々の業務の中で自然に学べることも多く、障がい者支援の分野において確かなキャリアを積むことができる仕事です。

    将来的に上位の管理職を目指している方や、自分で障がい者支援事業を立ち上げたい方などにとっては非常に魅力的なポイントになります。

    サービス管理責任者に向いている人の特徴3選

    サービス管理責任者の大変な面・良い面がわかったところで、実際に働くにはどんな人が向いているのでしょうか?

    サービス管理責任者に向いている人の特徴は下記の3つです。

  • 責任感がある
  • コミュニケーションスキルがある
  • 向上心がある
  • ここからはそれぞれの特徴がサービス管理責任者の仕事とどうマッチしているのか、詳しく解説していきます。

    ①責任感がある

    サービス管理責任者に向いている人の特徴1つ目は、責任感があることです。

    前述の通り、サービス管理責任者は非常に責任が重い仕事です。支援計画を安全かつスムーズに提供していくためには、担当する利用者のことはもちろん、支援を行うスタッフや関係者にも気を配る必要があります。自分以外のことを「関係ないから」という理由で突き放してしまうようでは務まりません。

    そのため、サービス全体に"自分が関わっている"という意識を持てる、責任感がある人が向いている仕事です。

    ②コミュニケーションスキルがある

    2つ目はコミュニケーションスキルがあることです。

    サービス管理責任者は、事業所内外問わず多くの人とコミュニケーションを取り、業務を進めていきます。

    その際、話す力と聞く力のどちらか一方が優れていれば良いわけではありません。利用者や家族のニーズを引き出して傾聴する力と、自分の考えや持っている情報を上手くスタッフや関係機関に伝える力の両方が必要になります。

    ③向上心がある

    3つ目は向上心があることです。

    ①の責任感も②のコミュニケーションスキルも、最初から十分に備わっている方は多くありません。しかし、どちらも本人の向上心や日々の業務への向き合い方でいくらでも高めることができます。

    マニュアルに沿って淡々と作業するのではなく、日々の業務の上手くできなかったことを整理し、次はどう乗り越えていくかを考え続ける向上心が、サービス管理責任者として活躍できるかどうかを左右します。

    サービス管理責任者に向いていない人とは?

    それでは、サービス管理責任者に向いていない人はどんな人なのでしょうか?

    ここからはそれぞれの傾向と特徴について紹介していきます。

    実際に利用者に接して支援を行いたい人

    サービス管理責任者に向いていない人の傾向の1つとして「実際に利用者に接して支援を行いたい人」が挙げられます。

    サービス管理責任者の主な業務は支援計画の作成やプロセス管理であり、支援員などに比べると直接利用者と関わる機会が多くありません。介護やケアと兼務の場合もありますが、本務ではないため、支援計画の作成業務が入ればそちらを優先しなければなりません。

    「利用者と接してサポートしたい」「ケアにやりがいを感じる」という方は、物足りなさを感じてしまう可能性があります。

    スケジュール管理が苦手な人

    サービス管理責任者に向いていない人の傾向の2つ目として「スケジュール管理が苦手な人」が挙げられます。

    前述の通り、サービス管理責任者は業務が多く、内容も多岐にわたります。目の前の業務が終わらないうちに相談業務が入ったり、利用者や家族の対応に追われて自分の業務に手をつけられないまま退社時刻を迎えたりすることもあるでしょう。

    また、事業所によっては担当する利用者だけではなく、スタッフなど事業所関係のスケジュールの管理もサービス管理責任者が行う場合があります。自身のスケジュール管理にも手一杯になってしまう方には「荷が重い」と感じることがあるかもしれません。

    サービス管理責任者の仕事は大変だが将来性があるって本当?

    サービス管理責任者の業務は大変な面もありますが、非常に将来性がある職業です。

    ここからは、なぜサービス管理責任者が「将来性がある」と言われるのか、その理由を2つの観点から説明していきます。

    障がい者支援事業は今後も増加傾向にある

    サービス管理責任者の「将来性がある」と言われる理由の1つとして言われているのが、障がい者支援サービスの増加です。

    障がい者支援サービスの増加の裏には、障がいを抱える人の人口が増えていることが要因となっています。厚生労働省の調査では、何らかの障がいを抱えて生活する方の人口は2006年から2018年で約300万人増加していることがわかっています。

    障がいを抱えて生活する方の人口の推移 ※出典:障害者数の推移|厚生労働省(平成30年度)

    その背景には、メディアによる発達障害に対する認識の変化や、医療の発達による平均寿命の伸張と障がいを抱えて生きる高齢者の増加など、様々な問題が絡んでいます。

    そのため、障がい者支援に対するニーズも年々高まっており、障がい者支援分野のほとんどのサービスが増加傾向をたどっています。

    障がい者福祉事業におけるサービス別事業所数の推移 ※出典:障害福祉サービス等事業所・障害児通所支援等事業所の状況 |厚生労働省(令和2年)

    サービス管理責任者は、入所系であれば利用者30名に対し1人以上、通所系・就労支援系であれば60名に対して1名以上の配置が義務付けられているため、事業所が増えれば必然的にサービス管理責任者のニーズも増えていきます。

    サービス管理責任者の平均給与額は上昇傾向にある

    サービス管理責任者の「将来性がある」と言われる理由2つ目は、サービス管理責任者の平均給与額が上昇傾向にあることです。

    厚生労働省の統計によると、サービス管理責任者の平均給与額は平成31年から令和2年にかけて2万円以上アップしています。

    厚生労働省が算出したサービス管理責任者の平均給与について ※出典:令和2年度障害福祉サービス等従事者処遇状況等調査(臨時調査)結果の概要|厚生労働省

    その背景には、前述の通り障がい者支援サービスのニーズ自体が増えていることと、それに伴う有効求人倍率の上昇などが考えられます。

    サービス管理責任者は、障がい者支援の領域において豊富な経験と高いスキルが求められる仕事のため、簡単に採用できる人材ではありません。各事業所はサービス管理責任者を採用するために給与額を上げたり、手当を充実させたりと様々な取り組みを行います。すると、全体の給与平均額は自然と上昇していくため、今後も給与額は上がっていくことが考えられます。

    まとめ

    今回は、サービス管理責任者の仕事の大変な点、きついと言われる理由や向いている人の特徴、将来性について紹介しました。

    利用者や家族の意向を汲み取り、スタッフに伝えていくコミュニケーションスキルや調整力、スタッフを指揮するリーダーシップや責任感、スケジュール管理能力など求められることが多いサービス管理責任者ですが、最初から全てを兼ね備えている方はほとんどいないのではないでしょうか。

    どんな仕事においても大変な面やきつい面はあり、それに都度対応していくことでその仕事に合った能力が身についていくもので、サービス管理責任者だから特別大変できついということはありません。

    しかし、利用者の成長を見届けられる幸せや、他のスタッフと協力することで生まれる喜びはサービス管理責任者でなければ得られないものです。

    本記事を読んでサービス管理責任者の仕事をしっかり理解し、自分に向いていると感じた場合はぜひ目指してみてはいかがでしょうか。

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